夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

ついでに、ラース・フォン・トリアー。

2003年05月27日 | 映画(番外編:映画とこの人)
「観るのに忍耐力を要する監督」と書いたので、
ついでにそのラース・フォン・トリアー監督について。

デンマーク出身のトリアーは、
病院を舞台にしたTVドラマ、『キングダム』で人気を博しました。
本国ではものすごい視聴率だったようです。
スティーヴン・キングも絶賛したこのドラマは
ヨーロッパ版『ツインピークス』と評された気色悪いホラーです。
出演者にウド・キア。この人はトリアー映画の常連さん。
ライオンの歯磨きのCMで、奥菜恵と共演していたDr.ナビックと言えばわかるかも。
歯科医の演技をしていても、
私にはウド・キアの顔はホラー向きに見えて仕方がありません。

トリアーは「ドグマ95」という誓いを打ち立てています。
これはなんぞやと簡単に説明しますと、
「手持ちのカメラonlyで、撮影はロケのみ。セットなどは当然使用しない。
人工的な照明は禁止、CGなどに頼らない」。
ほかにも何箇条かありますが、だいたいこんな感じです。

その誓いを守って撮った作品で
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)よりも前に話題になったのが『奇跡の海』(1996)。
新婚ラブラブの夫婦。
ある日、鉱山で働く夫は事故に遭い、下半身不随になってしまう。
自分の身体の状態を嘆く夫は、妻にほかの男と寝ることを勧める。
ほかの男と寝ることが夫への愛の証だと信じて疑わない妻は
それから村中の男と寝始める。
めちゃめちゃヘヴィーな話でしょ。
夫役のステラン・スカルスゲールドは、
『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』(1997)で
主人公の才能をうらやましく思う数学教師を演じた人。

『イディオッツ』(1998)は
知的障害者のふりをして人々の反応を確かめようとするグループの話。
ひとつまちがえばものすごく悪趣味なのですが、
そこにあえて挑もうというのがこの監督。
いや、本人は挑んでいる気なんてなくて、
タブーをタブー視していないから撮れるのかもしれませんね。
彼の作品のネタを考えると、
タブーには触れずにおこうとしている自分に気づかされます。

観るのにとっても忍耐力を要しそうなネタばかりでしょ。

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