夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ナイロビの蜂』

2007年01月05日 | 映画(な行)
『ナイロビの蜂』(原題:The Constant Gardener)
監督:フェルナンド・メイレレス
出演:レイフ・ファインズ,レイチェル・ワイズ,ユベール・クンデ,
   ダニー・ヒューストン,ビル・ナイ他

新年最初の映画は、一昨年、脳天を直撃されたような、
もの凄い衝撃を受けた『シティ・オブ・ゴッド』(2002)のフェルナンド・メイレレス監督による作品。
そう、私がなぜか惹かれるポルトガル語圏の監督です。
原作は英国出身のジョン・ル・カレの同名ベストセラー小説。
『イングリッシュ・ペイシェント』(1996)と同じくアフリカが舞台で、
どちらもレイフ・ファインズ主演であることから
勝手に壮大なメロドラマを想像していたら、おみそれしました。圧巻。

原題の“The Constant Gardener(=絶え間ない園芸家)”が示すとおり、
主人公のジャスティンはガーデニングが趣味で、
政治にはまるで無関心の英国外務省一等書記官。
上司の代理を務めた講演で、政府の事なかれ主義について
人権活動家の若い女性テッサから激しい抗議を受ける。
それをきっかけに、お互いを求めあうようになるふたり。
ケニアのナイロビ駐在のジャスティンにテッサが逆プロポーズ。
ふたりは夫婦として幸せな生活を始める。

結婚後もジャスティンはテッサの活動には口出ししない約束。
テッサは医師のアーノルドとともにナイロビのスラム街をまわり、
妊娠してからも精力的に貧困者の救済活動を続ける。
しかし、ある日、出かけた先でテッサが惨殺される。
同行していたはずのアーノルドは行方不明。
不倫の果ての殺人事件だと取り沙汰される。

妻の死の理由を知りたいと願うジャスティンは自ら調査に乗り出す。
その結果、事件が国際的陰謀であることがわかってくる。
製薬会社が貧困者を利用して結核治療の人体実験をおこない、
英国の政治家がその利権を得ようと目論んでいる。
薬の致命的な副作用を承知していながら、
金儲けに走る会社や政治家は売り込みを開始。
それを追及しようとしたテッサは殺されたのだ。
真相に迫るとともに、彼もまたその命を狙われることとなり……。

同僚に深追いするなと諭され、自分の命も危うくなると知りながら、
「彼女を裏切った。彼女を疑ったから」と真相を追うジャスティンの姿に感銘。
めっちゃ骨太、男臭く、なおかつ繊細なミステリーでラブロマンス。

ラストシーンを見れば、キャッチコピーも胸を打ちます。
「地の果てで、やっと君に帰る」。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする