夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『縞模様のパジャマの少年』

2010年02月02日 | 映画(さ行)
『縞模様のパジャマの少年』(原題:The Boy in the Striped Pyjamas)
監督:マーク・ハーマン
出演:エイサ・バターフィールド,ジャック・スキャンロン,
   デヴィッド・シューリス,ヴェラ・ファーミガ他

同名小説“The Boy in the Striped Pyjamas”を映画化。
今まで観たどんな戦争映画よりも強烈な反戦映画と言えるでしょう。
感動的なラストを期待していると、奈落の底に突き落とされます。

第二次世界大戦下のドイツ、ベルリン。
8歳のブルーノは、豪邸で両親と姉とともに暮らしていたが、
ナチス将校である父親の転属で、田舎へ引っ越すことに。

殺風景なその土地には、学校もなければ子どももいない。
都会から離れたくなかったブルーノは気落ちするが、
窓の遠く向こうに見える農場らしきものに興味を引かれる。

あの農場に行けば、誰かと友だちになれるかもしれない。
そう考えたブルーノが、農場へ遊びに行ってもいいかと両親に尋ねると、
農場へ行くどころか、敷地内からは決して出てはいけないとの答え。
しかし、退屈していたブルーノは、裏庭の扉が開いている隙に、
森を抜けてこっそり“農場”へと向かう。

鉄条網が張り巡らされた“農場”。
そこで働く人びとは、全員、縞模様のパジャマを着ていた。
隅っこに隠れるように座り込む少年を見つけて話しかけると、
彼はシュムエルと言い、ブルーノと同い年であることがわかる。
以来、ふたりはフェンス越しに話をするようになるのだが……。

“農場”は、言うまでもなくユダヤ人収容所のことです。
もし、ホロコーストについて何も知らない人がいたとしても、
この作品に前知識は必要ありません。
ブルーノと一緒に“農場”を見て好奇心を持ち、
ユダヤ人に関する家庭教師の教えや、父やその部下の態度に疑問を感じつつも、
父の仕事は有意義なことだと信じようとし、
けれど、母が半狂乱で泣いているのが気になって仕方ない。
そんなふうに、ブルーノと一緒に、ひとつずつ知ってゆきます。

そして、ブルーノは知らないまま、
私たちがすべてわかったときは、時すでに遅し。
例えようのない衝撃を受け、しばらくは立ち上がることができません。
タイトルが別に指していたものを悟り、呆然とします。

二度と観たくないけど、一度は観るべき、
また、どんな人にも観てほしい作品です。

余談ですが、前述の『ヴィクトリア女王 世紀の愛』
心優しきアルバート公を演じたルパート・フレンドが
ナチスの中尉を演じていたギャップで衝撃度も増しました。

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