夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ウェディング・ベルを鳴らせ!』

2010年02月12日 | 映画(あ行)
『ウェディング・ベルを鳴らせ!』(英題:Promise Me This)
監督:エミール・クストリッツァ
出演:ウロシュ・ミロヴァノヴィッチ,マリヤ・ペトロニイェヴィッチ,
   リリャナ・ブラゴイェヴィッチ,ミキ・マノイロヴィッチ他

セルビア/フランスの作品。
監督はユーゴスラビアのサラエヴォ(現ボスニア・ヘルツェゴビナ領)出身。
ユーゴスラビア人の映画監督は、私はこの人しか知りません。
『黒猫・白猫』(1998)を観たとき、独特の笑いのセンスに最初は引き気味、
次第にのみ込まれて、いまや大好きな監督です。
本作はレンタルにて。現在、同監督作の『マラドーナ』が公開中。

セルビアの山奥ののどかな村。
12歳の少年ツァーネは、お茶目な祖父と2人で暮らしている。
ある日、自らの死期が近いと悟った祖父は、
自分がいなくなっても孫がしっかり生きていけるようにと、
次の3つの約束を果たすまで村へ帰ってきてはならないと言って、
ツァーネを町へ送り出す。

祖父が課した3つの約束事とは、
ひとつ、聖ニコラスのイコン(聖画)を買う。
ふたつ、ツァーネ自身への土産を買う。
みっつ、お嫁さんを見つける。

12歳にして婚活を強いられたツァーネは、
乳牛を連れて町へと向かうのだが……。

ハチャメチャです。
町へ出ると、村ではありえないヘソ出しルックのお姉ちゃんがごろごろ。
嫁なんて早すぎると思っていたツァーネも目が釘付け。
そして、とびきりの美人女子大生、ヤスナに一目惚れしてしまいます。
およそ恋愛の対象になるとも思えないツァーネが、
食べ物や仮病を使ってヤスナの気を引こうとする様子が可愛い。

セルビアに世界貿易センタービルを建設して儲けたい新興マフィアは、
風俗店の接待で役人を落とすため、ヤスナを風俗嬢にしようと企みますが、
このマフィアのボスがまたマヌケでワラかしてくれます。
おつきのチンピラたちも個性豊か。

そのほか、とにかく登場人物が魅力的。
頼る相手のいないツァーネを助けるマッチョ系男子。
ツァーネの祖父に長らく想いを寄せている巨乳の熟女教師。
ヤスナにアタックするツァーネに駄目出しする向かいのおばちゃんまで。
いたずら好きの祖父と彼の血をばっちり受け継ぐツァーネが
あれこれ考える仕掛けにも大笑い。

音楽も愉快で、この監督の作品は必ず踊りたくなります。
ウルトラ級ハッピーエンドで、み~んな幸せ。
民族紛争が絶え間ない国で、こんな作品が生まれる不思議。

それにしても、出演俳優が見事に「なんとかヴィッチ」さん。

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