夜な夜なシネマ

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『セントアンナの奇跡』

2010年02月05日 | 映画(さ行)
『セントアンナの奇跡』(原題:Miracle at St. Anna)
監督:スパイク・リー
出演:デレク・ルーク,マイケル・イーリー,ラズ・アロンソ,
   オマー・ベンソン・ミラー,ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ他

社会派で名高いスパイク・リー監督の戦争ドラマ。
前述の『縞模様のパジャマの少年』のこともあったものですから、
テンション低めで観始めましたが……。

1983年のニューヨーク。
郵便局で切手販売を担当する初老のヘクターは、
その日、切手を買いに来た男性客を見るや顔をこわばらせ、
カウンター越しに銃を発射、即死させる。

定年まであとわずか、経歴には何の汚点もなく、
第二次世界大戦では受勲しているヘクターが、
なぜ残りの生涯を台無しにするような事件を起こしたのか。
その理由は1944年のイタリアでの出来事までさかのぼる。

第二次世界大戦下のイタリア、トスカーナ地方の山中。
アメリカ軍の黒人兵士のみで構成される歩兵師団は、
前線でドイツ軍と激しい戦闘を交え、作戦どおり渡河に成功したのは、
スタンプス、ビショップ、ヘクター、トレインの4人だけ。
ただちに本部に救援を依頼するが、白人である上官は、
彼らの渡河を信じず、まさに彼らがいる地点を攻撃。

とにかくその場を離れなければと周辺をさまよううち、
ドイツ軍の砲撃によって負傷した少年を見つける。
少年との出会いに何か神懸かり的なものを感じたトレインは、
足手まといになると他の者から言われても、少年を抱えたまま。
4人は少年を連れて山間の村の家へと駆け込む。

村には、今はドイツ軍の姿は見えないが、どこか近くにいるはず。
また、ナチスやファシストと戦うパルチザン部隊も山中に潜んでおり、
ヘクターらは一時も気を抜くことができない状況。
本部からは、捕虜のドイツ兵を確保のうえ再連絡するようにとの無茶な要求。
しかし、ドイツ兵を捕まえたパルチザン部隊が村へ下りて来たため、
そのドイツ兵を一日借りるということで話をつけるのだが……。

まず、郵便局での射殺のシーンがあり、
その後、新米の新聞記者がなんとかスクープを手にしようと、
身柄を拘束されたヘクターに面会を求めます。
ここから120分強に及ぶヘクターの回想シーンが始まります。

163分の大長編ですが、いたるところに伏線がちりばめられていて、
それをひとつずつ拾って観て行くと、本当におもしろいです。
これぞ映画の醍醐味。

人間性について考えさせられるとともに、
「奇跡」を信じたくなる物語でした。

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