夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

喋る人、喋らない人。

2011年10月07日 | 映画(番外編:映画と読み物)
映画なら、女性が涙を流しているシーンよりも、
男性が涙をこらえているシーンのほうにグッと来ます。

それと同じなのか何なのか、もともと私は男なのか(笑)、
本に関しては女性作家よりも男性作家のほうが好みです。
そう思って読んでいるわけではないのに、
読み終わると「なんだかなぁ」の感想を抱いてしまうのは女性作家のほう。

今月に入ってから読んだのは、
沼田まほかる(♀)の『九月が永遠に続けば』と海堂尊(♂)の『ブラックペアン 1988』。

『九月が永遠に続けば』は、ホラーサスペンス大賞の受賞作。
高校生の息子・文彦とともに暮らすバツイチ、41歳の佐知子。
別れた夫の雄一郎は精神科医で、患者だった亜沙実と再婚。
その亜沙実の娘・冬子は、文彦と同じく高校生で、誰もが振り返るほどの美少女。
車の教習所に通い始めた佐知子は、若い教官に熱を上げる。
その教官の意中の人が冬子であると偶然知った佐知子は、ちょっと邪悪な思いもあり、
みずから教官に誘いをかけて関係を持つ。
ホテルからの帰り、文彦に見られたような気がしないでもない。

ある夜、ゴミを出しに行った文彦がそのまま失踪する。財布も携帯も持たずに。
翌朝、教官が電車のホームから転落死。
文彦が教官を押したのではないか。そんな考えも頭をよぎる。
近所に住む文彦のガールフレンドとその父親の助けを受け、
佐知子は文彦を探し始めるのだが……、という物語です。

500頁ほどの文庫本で、かなりグロい描写もあるのですが、
終盤近くまではぐいぐい引き込まれます。
亜沙実の忌まわしい過去が強烈だし、登場人物の信じがたい一面もあって、
どう決着をつけるのかが気になって仕方なく、一気に読みました。

が、最後の最後がこれかよ~とガクッ。う~ん。
全然関係のない人を犯人に持って来たとまでは言いませんが、
さんざん振り回しておいてそのオチはないなぁ。

それに対して『ブラックペアン 1988』。
東城大学医学部付属病院に赴任してきた講師が、食道癌手術の新兵器を導入。
これが嵐を巻き起こし……という、ごく簡単な説明で失礼。
『チーム・バチスタの栄光』で描かれていたバチスタ・スキャンダル。
そこから遡ること20年。本作の講師というのが、のちに院長となる高階で、
映画版では私の大好きな國村隼が演じていました。

“チーム・バチスタ”シリーズをすべて読んでいたこともあって、
楽しく読むことはできたのですが、途中の感想は、「まぁ普通」。

が、最後の最後にやられました。ガツンと。
その裏話は衝撃的で、「え、え、え~っ!」と泣きそうに。

あっちでもこっちでもで喋らずにはいられない女と、
誤解を受けていたとしても自己防衛のためだけには喋ろうとしない男。
最後の直前までは前者のほうが圧倒的に面白かったのに、
読み終われば後者に感動させられていたのでした。

ところで、“ソーシャルライブラリー”、ご存じですか。
http://www.sociallibrary.jp/
私はmixiのアプリとして知りました。
読んだ本や買った本を忘れてしまうことがたまにあるので、
メモ代わりに使用しています。
本棚を見るのが楽しくてオススメです。

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