夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ツレがうつになりまして。』

2011年10月11日 | 映画(た行)
『ツレがうつになりまして。』
監督:佐々部清
出演:宮崎あおい,堺雅人,吹越満,津田寛治,犬塚弘,
   田山涼成,山本浩司,中野裕太,大杉漣,余貴美子他

この間、「アオイ」なら、宮崎あおいより蒼井優派だと書きましたが、
宮崎あおいちゃんが嫌いなわけではありません。
ただ、彼女のさびしげな笑顔を前面に打ち出した出演作よりも、
どこかたくましさを感じる作品のほうが好きなのです。

『NANA』(2005)や『好きだ、』(2005)のときは、
けなげな少女役がぴったりで、本当に可愛いなぁと思っていました。
『初恋』(2006)のときもその感想は変わりませんでしたが、
『ただ、君を愛してる』(2006)の辺りで見飽きてしまい、
『ソラニン』(2010)になると、もうお腹いっぱい。
『少年メリケンサック』(2008)の啖呵を切る彼女は大好きでしたけれど。

『オカンの嫁入り』(2010)では、大竹しのぶ演じる型破りな母親のことが
心配でたまらない娘役で、けなげながらもビシッとしていました。
先週末公開の本作は、それに近い感じですが、さらに上を行きます。
このあおいちゃんは好きだ~。

あおいちゃんの話が長くなってしまいましたが、あらすじを。

売れない漫画家のハルさん。
5年前に結婚した夫のことを「ツレ」と呼ぶ。

サラリーマンのツレは、とても几帳面な性格。
毎朝自分のお弁当を作り、そのお弁当には曜日毎に異なるチーズを入れる。
そして、曜日毎に着けるネクタイも決めている。
髪の毛には寝癖がついたままのことが多いが、ゴミ出しも怠らず、
ハルさんが漫画に専念できるのもツレがツレだから。

ところが、近頃ツレの様子がどうもおかしい。
ゴミ集積場のゴミを見ては何やら悲しそうにしているし、
食欲もないようで、お気に入りのチーズすら残す。
これではさすがのハルさんもちょっと心配。

病院へ行ってみると、典型的なうつ病の症状だとの診断。
それでも会社に迷惑がかかるからと休めないツレ。
ハルさんから「会社を辞めなければ離婚する」と言い放たれ、
ようやく退職を決意するのだが……。

予告編でも流れる、「ツレがうつになりまして、仕事をください!」。
こりゃ泣けます。
それ以上に泣かせてくれるのが、余貴美子演じるハルさんの母。
ラスト近くのツレが公園で電話するシーンは、
電話の相手である余貴美子の声しか聞こえていないのにボロ泣き。
私はこの人にはいまや「日本の母ちゃん」の印象を抱いていて、
その昔、甲斐バンドのアルバムジャケットのモデルを務めていたことを忘れそうです。
いや、いまも艶っぽさはある人ですけれど。

それと、地味なところでは出版社の編集者役、山本浩司が気になります。
別に見ていたい顔ではないのに(笑)、いつも不思議な味があって。

うつ病に対する理解を深められたか。
それはむずかしいけれど、知るきっかけにはなると思います。

割れずにここにいることが大事。

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