小田原周辺のマイナースポットや些細な出来事を少しずつ
小田原の端々



このブログの一番最初の記事で紹介した小田原市荻窪にあるたかん堂には早咲きの桜の木が一本だけ植えられている。先日、近くを通ったらその桜の花が咲き始めていた。県道74号小田原警察署入口交差点近く。駐車場横の一段高くなった場所に小さなお堂がひっそりと建っている。お堂の前には一本の早咲きの桜の木が植えられている。品種は良く分からないが河津桜のようで、例年3月に入った頃に花を咲かせるが今年は遅く今頃になってやっと開花。黒いお堂の屋根と桜が良いコントラストでなんとも言えない。このたかん堂は、荻窪字宮窪にあるので宮窪観音堂とも呼ばれている。江戸天保年間(1840年代)に編算された風土記稿にもこの宮窪観音堂の記載があり、かつては銅製の聖観音を祀っていたとのこと。たかん堂の入口はガラスの格子戸になっており格子の隙間から堂内の様子を伺える。堂守がいるようで中の備品の配置などがたまに変わっていたりする。8畳ほどの堂内には彩色された聖観音の石造と地蔵像と自然石が安置されている。地蔵像の下の礎石には墨書で明治5年7月造立と記されている。このたかん堂では昭和の初め頃まで念仏講が行われ、周辺に在住の女性を中心に講が結成されていたと近在の古老の方から聞いたことがある。このたかん堂の入口には傘付きの庚申供養塔のほかに、石仏の数基まとまって置かれている。その石仏はおそらく廃仏毀釈の際に一回破壊されたものを後年、コンクリートで補修したようで少し違った顔立ちの石仏になっている。この馬頭観音像も、顔の部分を仏師じゃない人物がコンクリートで補修したようで、なんとも素朴で人間臭い顔立ちで気に入っている。今年も変わらずに桜とお堂の佇まいが見れて良かった。

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