1865年五島各地のキリシタンたちは、
信仰の安住の地を求めて外海地方から移住してきた。
伝えられるところによると、中谷惣八一家が中ノ浦から移り住んだのが、
この地の教会の祖先だと言われている。
その中谷宿老宅を三代に渡り家御堂として永らく利用していたが、
その後、戦後の混乱期は復員や帰郷による人口増加でいよいよ教会が必要となってしまった。
これを受けて新築の計画が進み、途中、資金不足などで挫折しかかったが、
当時の佐野原青年会の頑張りにより昭和25年(1950年)、小さな仮聖堂を建立した。
しかし、その10年後には、仮聖堂もやがて老巧化が進み、立替を検討せざるをえなくなった。
そして、昭和38年(1963年)、当時の鯛ノ浦小教区主任司祭であった
浜口師の奔走の甲斐あって教会が落成。
実に慶応年間に入植してから百年以上の歳月が経っていた。
山口大司教によって祝別、献堂されたのである。
五島では数少ない、海の見えない山の奥にある教会である。
豊な緑に包まれ、素朴な島人の暮らしに息づきながら、
今も祈りと篤い信仰が守られている。
所在地 / 長崎県新上五島町東神の浦郷佐の原
教会の保護者 / 聖ペトロ