ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

姉の話

2018-02-19 | わたしの思い

cfaithministries.org

 

1人の姉は、小さな頃は、よく泣き、またぐずぐずとする子供だったそうで、母は、「この子は、繊細過ぎて本当に心配だわ。」とよく言っていたのを覚えている。「その点、この子は、小さなことを気にせず、むしろ、ずぼらだから、なんとか生きていける人間みたい。」と私の頭をなでながら、言っていた。よく泣き、ぐずぐずとしていた、というその姉が、義理の母、母、姉、弟を最後まで手厚く看病し、看取ったのだった。弟が、初雪の朝、息を引き取った時、「もうこれで看取るのはいやだ。」と姉は小さく言って泣き暮れた。

 

この姉は、ある日、自宅の前に黒い、歯のない、そして声の出ない、実際汚いとしか思えない、痩せた野良猫がいるのを見た。 姉は、躊躇せず、早速家に入れて、丁寧にきれいにしてやり、歯がないので、餌を柔らかくして、スプーンで食べさせていた。獣医に、いろいろ手当を施してもらったが、獣医は、その猫は、おそらく奇形で生まれ、声が出ず、歯がほとんどない状態だったようだと推察した。そう長いことはない、とも言った。誰からも愛されてはいなかった、この障害を持つ猫の生涯が、どんなものかは、簡単に想像でき、姉はそれならば、少なくとも最後は愛してあげたい、と抱きしめたのだった。その猫は、思ったよりも長生きしたが、それでもほんの数か月だけであった。必死の看護にも関わらず、姉の腕の中でその猫は逝った。姉は、それまでの飼っていた動物が、供養されているところに、その猫も埋葬した。


Photo Credit: Care Like I Do

https://carelikeido.com/category/cat-rescue/

 

子供の頃ぐずぐずとすぐ泣いたという姉は、本当は強く、弱い動物や病気の人には、誰よりも心を砕き、寄り添って生きて来た人である。そんな人が姉でよかった。

 

 

コメント (2)
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