伊集院静の小説がいい。
週刊誌に載るような作家に偏見があったが。
藤沢周平や山本周五郎のようなヒーローが出てこない視座が素晴らしい。
『オール読物』に掲載された短編6作品が収められた『冬のはなびら』。
逆境にいる人、挫折経験者、無器用な職人、最愛の人を失った人など等、現代の時流に乗れない人々が登場する。
そんななかで伊集院は、「心棒」というものを大切に貫こうとしている。
仕事のなかでも人生のなかでも「心棒」というものがある、と。
各作品の最後の一行は深い余韻を与える。
生きる「心棒」を絶望の中で捕まえた人間が発するおとしどころだ。
それをふりかざしもせず、強要もせず、悲哀の状況の中に希望を忘れない。
作品全体に流れる静謐と希望とが、われわれを生きる原点にさしもどしてくれる。
テレビや本の劇場型構成やヨシモト流空気感の風靡が、はかなく見えてくる。
無頼派の真骨頂を静かに提示する。
軽佻浮薄さえ取り入れながらも、ぶれない「心棒」を貫徹。
夏目雅子は伊集院の中で生きている。
週刊誌に載るような作家に偏見があったが。
藤沢周平や山本周五郎のようなヒーローが出てこない視座が素晴らしい。
『オール読物』に掲載された短編6作品が収められた『冬のはなびら』。
逆境にいる人、挫折経験者、無器用な職人、最愛の人を失った人など等、現代の時流に乗れない人々が登場する。
そんななかで伊集院は、「心棒」というものを大切に貫こうとしている。
仕事のなかでも人生のなかでも「心棒」というものがある、と。
各作品の最後の一行は深い余韻を与える。
生きる「心棒」を絶望の中で捕まえた人間が発するおとしどころだ。
それをふりかざしもせず、強要もせず、悲哀の状況の中に希望を忘れない。
作品全体に流れる静謐と希望とが、われわれを生きる原点にさしもどしてくれる。
テレビや本の劇場型構成やヨシモト流空気感の風靡が、はかなく見えてくる。
無頼派の真骨頂を静かに提示する。
軽佻浮薄さえ取り入れながらも、ぶれない「心棒」を貫徹。
夏目雅子は伊集院の中で生きている。