フェンネル氏の奇妙な生活

気付いた世界の中の小さな出来事と水彩画と時たま油絵と思いついたことを爺さんが一人語りいたします。

空を歩む

2008-10-12 20:16:18 | Weblog
It walks the sky,clouds,clear:the moon alone
空を歩む
朗々と月ひとり
       荻原井泉水

月も一人なら、私もひとり 一人なるがゆえ朗々と自由に歩む。
さすが、種田山頭火などを育てた自由句の先生だ。気概が違うんだね。広々と高らかに自分の気持を歌い上げるって大声ではないんだ。ボソッと吐かれたこの言葉、宇宙の深さを感じさせてくれる。17音、31音の言葉の中に広がる世界が、日常的にすぐ傍にある日本の暮らしは改めて素晴らしいとおもう。
困ったとき、孤独を感じるとき、ふとこの句を口ずさめば生の岸辺に辿り着ける勇気をもらったように感じる。ただでさえ、疲れる時があるからね、この社会は。そこで、もうひとつ、自由律短歌
Too dark,too dark
scream this body
as I haul it into the brightness
of the sun
暗い、暗い
とわめいてゐる体を
明るい日のなかに
持ち出してやる
       前田夕暮
こうやって、昔の人は、自己介護を自然としてたんだなと思う。何時から、僕らは、自己介護を放棄したんだろう。固まり、乾いていく脳に潤いをもたらす言葉を何時から求めなくなったんだろう。

いくたびも
雪の深さを
尋ねけり
    正岡子規
Again and again
I ask how high
the snow is

体が弱かった僕にはこの句の素晴らしさが殊のほかよく分かります。今では、丈夫でそれこそグリズリ-のような体ですけど。空想って平等だから面白い。明日のために心のビタミン補給しました。僕はまだ、自己介護ができる絶滅品種なんだと実感した。」


コメント
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