ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
毎日更新しています。

愛と青春の旅立ち

2010-11-28 11:39:26 | 宝塚コラム

ネタバレ及び、本当に辛口なのでファンは読まないように。

いかなる反論もなしでお願いします

 

 愛と青春の旅立ち 

 

構成・演出について

原作があるもの。映画がベースになっていたものを新たに舞台化するって本当に

難しいんだなと思いました

何気なく「カサブランカ」を見て感動していましたけど、映画では語られなかった部分を

わかりやすく、また映画とは違った感動を与えてくれた小池先生は素晴らしい

映画がベースと言えば、帝劇の「レベッカ」もそうだったんですが、こちらは楽曲のよさ

に随分助けられていたし、セットも舞台ならではのゴージャスさで脚本の不備を

補っていたと思います。

しかし、今回の「愛と青春の旅立ち」は単に映画をそのまま舞台化しただけの

安っぽいコピーにしか見えず、しかも肝心の「水中訓練」「低酸素訓練」などのシーンが

フォーリー軍曹の台詞だけで語られているので、映画を見ていない人には

何が何だかわからなかったと思います

この映画を最初に見た時から「ヅカ向き」であるんじゃないかとは思っていました。

でもこれって決して綺麗な話じゃないし、何よりも訓練の厳しさや挫折をどう描くのか

というのが最大の難問だと感じていました

ゆえに舞台化は出来ないな・・・・とも。

綺麗な話じゃない部分 

→ ザックの生い立ち、ポーラとリネットの置かれている

   環境やものの考え方。それらが次第に明らかになって

   いく事で人間が持つどろどろとした感情が描かれるのが

   この映画のよい所。これを綺麗にまとめてしまうと、薄っぺら

   な内容になります。

訓練の厳しさや挫折 

→ ザックは障害物競走でトップを走るけど協調性に欠ける。

   それは水中訓練でも同じで、一人DORしていく

   また、罰を受けるザックに意地悪をするベイリンがやがて彼と若いするとか、

   低酸素訓練でパニックを起こしたシドをザックや回りが一生懸命助けようと

   するとか・・・・そういう積み重ねがザックを変えて行く筈。

   しかし、舞台ではそれらが一切語られず「私は変わりました」と言うので、

   は?ってな感じ

 

私だったらもっと舞台転換を少なくしてザックとフォーリー軍曹、ザックとポーラ、

ザックとルームメイト達の会話を重要視した正塚風に脚色するけどなあ・・・・

ラストの方でシドがリネットに「君の事で悩んだから低酸素訓練を失敗した」と

告白するのはいくらなんでも男らしくないっていうか、実際のシドにそんな台詞ないし。

映画では絶望したシドがモーテルを借り、管理人の前で婚約指輪を飲んでみせる

事で自殺をほのめかしていましたが、舞台の方は「僕だって壁を越えられる」と

わめいて袖にはける・・・これって「リラ壁」となんら変わりない?ような?

しかも「水死体で見つかった」とまたまた死ぬシーンなし。映画は首吊りだけど

せめてナイフでぐさっでザックが見つけるとかしないと、盛り上がりません

ラストシーンも、映画はテーマ曲が流れる中で工場の中に入って来た白い制服の

ザックが後ろからいきなりポーラにキスして抱き上げ、みんなが祝福していく中を

悠々と歩いていく・・・という女の子の究極の憧れシーンなんですけど、これが舞台では

傷ついたんだ」と二人しかわからない台詞の応酬。

せめて銀橋を抱き上げて歩くくらいは見せて欲しかったぞ

 

全体的に急ぎすぎではしょりすぎで。

音楽も80年代ポップスを意識したんでしょうけど、だらだらした歌い方にちょっと

怒りモード。

時間が限られているのをわざわざ押し込めようとするわけですから映画と同じようには

ならないと覚悟して頑張るべきでした。

 

出演者について

 

柚希礼音・・・・ザック。

          演じ方としては間違いないと思います。相変わらず一人で頑張って

         いるような印象で。一人だけ上手でも浮くんだよ・・・・

         役柄の年齢設定も人格的に未熟な部分も本人に似合っていました。

         フォーリー軍曹に散々苛められるシーンで「私には帰る場所がない」と

         すがりつく所は泣けちゃったし。

         も欲を言えば・・・もう少し色気が欲しい 強がって悪なんだけど猫

         みたいに臆病な男に女は惚れるの。

 

夢咲ねね・・・ポーラ。

         映画のポーラはもっと大人でリネットと大きく違っていたと思います。

         パブで他の男といる時にザックに「感謝している」といわれた時の

         「ああそうよかった。私、役に立ったんだーー」の台詞は

        もっと大人っぽく抑制すべきだったと思うのですが、子供が言い訳している

        みたいでした。

        もうちょっと細かい演技をしないと観客には伝わりませんよ

 

凰稀かなめ・・・フォーリー軍曹。

          映画のルイス・ゴセット・ジュニアを見ちゃうと誰がやっても不満に

          見えちゃうと思います

          でも、そこは映画とすっぱり離れて「凰稀」ならではのフォーリー軍曹

          を構築しました。声の高さと台詞の軽さを生かして、ねちねちと

          いじめる軍曹に映画とは別の意味の迫力を感じました

          ただ、最後の背中を見せるシーンではもうちょっと教官としての

          哀愁を感じさせてくれた方がよかったなあ。

 

紅ゆずる・・・シド。

        何を演じても同じ印象。シドならではの苦悩とか生活環境に対する

        不満とか、ザックへの友情とか・・・そういうものを感じさせて欲しかった

        見た目がいいのは認めるけど、正直、演技・歌・ダンス、どれをとっても

        ひどすぎ。そして今の星にはそれを補う人材もない

        柚希と並ぶとよけいに欠点が目立つようで困ります。

 

涼紫央・・・ベイリン。

       そつなくこなしていたような気がしますが、元気がないなあ

       本当はもっと包容力があって熱い演技をする人なのに。

       磨かれたバックルとブーツを見つけた時も、本来ならもっと表情が変わる

       だろうになあと思いました。

 

白華れみ・・・リネット。

         演技は文句なしですが見た目が貧相 もうちょっと太るべき?

 

他にはシーガーの音波みのりが見た目と演技でよかったのと、真風涼帆の見た目が

一番よかった事でしょうか。

 

その昔、「技術がない分やる気でカバーします!」の台詞がよかった

絵麻緒ゆう主演の「夢・シェイクスピア」いかにも星組っぽい台詞だなあと感心した

ものです。今は・・・何が問題なのか組子がわかってないし、意志の統一がされ

ていないので、それぞれが頑張ってるけど大きな力になりえない危うさをもって

いるわけです。

それは星に限らずどこの組も一緒で・・・先行きが心配。

 

VISA貸切の最後のご挨拶の柚希礼音。

みなさーん。楽しんで頂けましたか?」と笑顔満面。台詞をかんで言い直す

のは昔から変わらず。そんな天真爛漫で優しい笑顔の柚希礼音。

ショーで泣いた友人も「今日の舞台でこの挨拶が一番よかった」って言ってまし

た。私もそう思います。 

なぜに舞台で「らしさ」を発揮出来ずに突っ張らないといけないのか・・・気の毒です。

              

 

コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宝塚 花の踊り絵巻

2010-11-28 09:51:01 | 宝塚コラム

ネタバレ及び超辛口なのでファンは読まないように・・・・・

それというのも、昨日、一緒に観劇したお友達が(いつも一緒なの)このショーを

見終わった後、涙を拭いていたのね

いつも冷静な彼女がなぜ?感動したのか?と思ったら

悲しくて涙が出る」と・・・・・で、その後、「出来ないならやるな

 とまあ・・・・こんな具合。

その理由はおいおい

私は昨日、午前の部,午後の部(VISA貸切)をみたのですが、双方で全く

お客の反応が違っていた事にちょっと危機感を覚えました。

午前の部は一つだけ建設会社の団体が入っている以外はほとんど身内

そして午後はいわずもがなの「ファンってわけじゃないけど」系が多かった。

拍手の大きさ、お客の反応、組子のやる気・・・・・全てにおいてORZ・・・・・

これってもしかしたら「星組の危機」なんでは?

 

 宝塚 花の踊り絵巻 

 

構成・演出について

構成・演出は酒井澄夫。

サブタイトルに「秋の踊り」とあるように、秋から次の年の春にかけての

非常に静かで上品な、そして情緒にみちたショーでした。

振り付けに藤間勘十郎を迎えての「菊慈童」「驟雨」は秀逸な場面でした。

チョンパで始まるわりには全体的に静けさが漂うショーで、何となく客席も荘厳な

気分にさせられるというか、いかにも日本物らしいわびやさびを感じさせるものでした。

衣装も色がとても綺麗で(特にピンクやローズ系)四季がある日本っていいなと。

日本物のよさの特徴として、やっぱり「季節感」が絶対条件。

そういう意味で、秋から春というのはとてもいいと思いました

名曲「花の舞拍子」も聞けたしね

 

プロと学芸会の狭間で

しかしながら、せっかくの構成・演出に組子の技術がついていっていないというのが

実情

トップの柚希礼音自体、バレエの人だし下級生も現代っ子が多いのか日本物の

本当のよさを理解していないような気がして・・・・

もったいないことだなあと思いました。

夢咲と松本理事が同じ振りで踊っているのに、全く別物に見えたのも事実です。

宝塚は日本舞踊のプロじゃないし、歌舞伎役者でもないのだから、そんなに本格的に

やる必要はないという意見もあるでしょうが、じゃあ、今までの上級生さん達の

やって来た事はなんだったのか?

例えば「驟雨」で何度か柚希が見得を切るようなシーンがありましたが、とても

かっこよく拍手喝采シーンだったのに、はっきりいって「溜め」がないというか

自分をきっちりと見せていなかったと思います

洋物と違って日本物は、ど真ん中が大見得切ってオーバーにポーズをつける事で

「スター性」を演出するわけですが、あんなにガタイがよく見目もよく技術力がある

柚希にしては全く「スター性」を感じられませんでした

不得意なものは不得意なものとして、でも最低限の「一生懸命さ」を見せて

欲しいのに、「この程度」で流してしまっている所が残念です。

それは柚希以外の組子も同じで、全体的に「この程度でいいや」って感じ。

若い組なのに若さを感じず、努力のあとも見えず・・・・・

不得意なものをやっているわりにはいいじゃん」ではないの。

下手だけど一生懸命やってます。お客様、見てみて」じゃないと

星組ってそういう組だった筈なんですよ。

何がここまで士気を下げたのか・・・・・・・

 

出演者について

柚希礼音 → 彼女はヨン様級トップスターの筈です。体格・見た目・声・演技。

          どれをとっても男役の為に生まれてきたような雰囲気がありますし

          彼女なりに努力しているのは認めます

          でも、今一つ自分の見せ方がわかっていないというか、自分が目指す

          理想の男役像が見えてないんだなあと。

          「驟雨」は早乙女太一の方が上手だったかもしれません

          私が彼女に多くのものを要求しているんだろうなとは思いますが

          それでもそろそろトップらしさを発揮して欲しいと思います。

夢咲ねね → 日本舞踊が苦手なのはよくわかりました。

          いい意味でも悪い意味でも現代っ子なんですね

          もう少し男役に寄り添う姿勢を示してくれないとトップが引き立ちません。

凰稀かなめ → 日本物に関してはここが限界点なのかもしれません

            そつなくこなしているのはよくわかるのですが、もうちょっと必死さが

           欲しいというか。ムードを大事にして欲しいのね。

          「麦や節」は論外。

涼紫央 → この人が一番やる気をなくしているのではないか?と思います。

        本来はもっと技術力がある人だし、生き生きしていたのに。

紅ゆずる → 化粧が下手すぎ。あまりにも全てにおいて未熟。

          いつまでも新人公演気分でいられたら困りますっ

 

友人が泣いた理由

友人は多分観劇歴が30年くらいになるんじゃないかな。

その割には私のように変な「こだわり」がなく、全てにおいて鷹揚というか

「いいんじゃない?」と受け止める人です。

私がジェンヌさんや作品に文句をつけると必ず「仕方ないよ。宝塚なんだもん」とか

「そこまで求めるのは酷じゃない?」という人で。

そんな彼女がショーの幕が閉まった直後にハンカチで涙を拭いて

悲しくて涙が出る」と言った事はかなり重要ではないかと思うのです。

私が「昔のショーと比べて悲しいと思うの?」と聞いたら

比べてはいけないのはわかってる。でも、昔のジェンヌさん達は得意も不得意も

なくきっちりとやるべき仕事をやってくれていたよね」

今の星組には甘えがあるって事?」

そう。比べたくないけどOGはみんな真剣だったんだなあって。今日程舞台が

スカスカに見えたことはない。やる気がないのか?」と。

確かに、午前の部はテンションが高かったんです。

でも貸切になったら疲れが出たのか全体的にテンションが低くて、ゆえになのか

客席の反応も今ひとつ・・・拍手が少ないなあと思いました

まだ初日があけたばかりなのに、午前と午後でテンションが変わるほど体調が

違うのかしら?

舞台は一期一会という事を忘れているのではないかと。

大好きな星組がこんな風になっているのは悲しい限りです。

 

コメント (15)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする