ふぶきの部屋

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さよなら天寿光希2

2022-07-25 07:02:00 | 宝塚コラム

沢山の作品に出演し、その個性を発揮してきた天寿光希ですが、ファンなら絶対「もう一度みたい役1位」に指名するだろう作品が「かもめ」のトリゴーリンでしょう。

礼真琴初主演の「かもめ」(2014)はロシア文学の小難しい不条理劇を小柳奈緒子が宝塚で上演するという結構無謀な挑戦をした作品です。

私達世代も含め、今時の人達がどれほどロシア文学に理解を示すかというのは極めて大きな問題だと思います。

外部では藤原竜也主演などで何度も上演されてきたチェーホフの「かもめ」は決して面白い作品か?と言われたらそうでもなく、未だにあれこれ考えてしまうものですが、この中のトリゴーリンが、文学や小説を通じて、パトロンがいながら素人の女の子を誘い込み、その結果、あっさり捨ててしまうという見た目と軽薄さが売りのプレイボーイは、天寿にはぴったりの役でした。

なぜなら「かもめ」は膨大なセリフ劇であり、しかもかなり難解な解釈を求められる作品でした。それをきっちりと観客に届ける為には滑舌のよさと表情の細かさが要求されます。

そんな彼が最後に「コスチャが拳銃で自分を撃ちました」と言われた時の表情の変化は本当に素晴らしく、これぞ天寿光希といえる作品でした。

我が家の姫はカーテンコールの挨拶で、しょっちゅう天寿の方を見ながら喋る礼真琴と「大丈夫だよ」っていう感じの天寿のやりとりに目が💓になっておりましたが。

私としては「ドクトル・ジバゴ」のコマロフスキーも同等に素晴らしいと思います。

どうも天寿はロシア人が似合うようですね。

有沙瞳の操を奪ってしまうコマロフスキーの迫り方がもうなんというか、目の前で見てても恥ずかしくなるほどすごくて。

で「スパシーボ!」は長い事、我が家の流行りになっておりました。

 

天寿光希の才能を見つけ開花させたのは小柳奈緒子と小池修一郎だと思っていますが、それ以上に天寿に期待し鍛えて、上に引っ張り上げた存在は紅ゆずるですね。

紅ゆずるがトップになってからの天寿光希の活躍ぶりは非常に目立つものでした。

学年的には大きく路線を外れ、実力派の上級生として頑張っていた時期ですが、初演の「スカーレット・ピンパーネル」では名もなき役だったのが再演では涼紫央がやっていた役にまで出世。

そして「ベルリン・我が愛」(2017年)のライマンは、出番こそ少なかったものの、非常にインパクトがあり紅のみならず観客をぐいっと舞台に引き込んだ名演技だったと思います。

KILLER ROUJE」(2018年)では大劇場版ではわりと脇に寄っていたのに、台湾版では華形ひかるの場面に入り、特に大階段に坐って歌うシーンにはそのかっこよさにびっくりして、久しぶりにドキドキしたのを覚えています。

一定の学年を超えたあたりから結構上げ下げが厳しくなっていたと思うのですが、どんな役に当たっても精一杯演じてくれたのでファンとしても納得できたでしょう。

GOD OF STARS」(2019)のミッキー・チョウは紅とかっちり組んでその存在感を示し、ショーでも紅の為にソロがあり、トップを支える別格の男役に成長したんだなと感じました。

また瀬央ゆりあ主演の「龍の宮物語」(2019年)の龍神様は、そのメイク、その演技全てが突出して素晴らしく、威厳と落ち着きに男役の集大成を見た感じです。

本人もそれがわかっていたのでしょうね。

柳生忍法帖」(2021年)の沢庵和尚のセリフ「北へ」は今となっては、退団を予期させるものだったと思います。

 

天寿光希は非常に演出家にもトップスターにも頼りにされた男役だと思います。

その事が証明されたのが、退団にあたって行われたミュージック・パフォーマンスです。正直、路線でない男役がここまでの扱いを受けるのは珍しいのではないかと思います。

さらにいうならさよならの「Gran Cantante(グラン カンタンテ)!!」のエトワールやソロなどの破格の扱い。

スカイステージの番組内でもその貢献度が認められたんだなと思いました。

そういう意味では恵まれた男役だったと思いますし、幸せな人だと思います。

出来れば専科でそのバイプレイヤーぶりを発揮してほしかったなとも思うのですが、

退団を選んだ天寿光希の意志を尊重したいです。

これからの人生の方が長い。

この先、何をどうするにしても、宝塚で学んだことや経験した事は必ず+になると思うし、助けてくれる人もいると思います。

暫くは放心状態になるかもしれないけど、必ず第二の道を究めて下さい。

あなたの今後の活躍を望んでいます。

今まで本当にありがとう。そして充実した人生を送って下さい。

 

 

 

 

 

 

 

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さよなら天寿光希

2022-07-25 07:00:00 | 宝塚コラム

まず、天寿光希にはお礼を言いたいです。

我が家の姫の心の支えになってくれてありがとう。

宝塚という趣味の世界で「天寿光希」という「ご贔屓」を得ることで、我が家の姫の人生には色が一つ増えました。

コロナの辛い自粛生活の中を耐えることが出来たのも彼女の舞台を見る為に頑張らないといけないと思えたからでしょう。

部屋の中はどこも天寿光希だらけでその写真らを見る度に元気を貰ってお仕事にまい進出来ている事が嬉しいです。

私が天寿光希を始めて意識したのは「リラの壁の囚人たち」(2010年」です。

無論、その前に「太王四神記2」新人公演のプルキルをちらりとスカステで見た事があるのですが、主役がつまらないのにこの人だけは生き生きしているなと感じた程度です。

生で「リラ壁」を見た時、ひとりだけ発声がよく演技力が素晴らしく、またハンサムな男役を見つけました。結構学年が上なのかしら?と思っていたらそれが天寿光希でした。

その後、「めぐり会いは再び」のユリウスでその滑舌のよさを発揮。組長とのコンビも面白くセンスがある人だと思っていました。

我が家の姫はその頃はまだ名前を知っている程度だったのですが、紅ゆずるの「BrilliantDream」の芝居で完全に落ちました。

紅5に入った頃は一番下級生で何も出来なさそうであか抜けない感じだったのが、最後の「理想の男役」を演じた時には、何というか光り輝き、あまりのかっこよさにこちらもドキドキしてみていました。

結果的に、この事がきっかけとなりブレイクに至ったと思っています。

ただ、いかんせん小柄だったのが残念な所。

彼女としては実力でその背の低さをカバーしていたんですよね。

小柄だけど実力ありを見せつけたのが2010年の「ロミオとジュリエット」のパリスでした。ひょうきんでおバカでだけど明るくてすぐに人の言葉に乗ってしまう・・そんなパリスをもっともよく演じたのは天寿しかいないと思います。

初演ではパリスだたのが再演ではマーキューシオにまで出世。赤い髪を刈り上げて、大げさすぎる程のリアクションで最後は泣かせてくれました。

そして再再演の時はジュリエットの父であるキャピュレット卿。

ロミジュリは何度も見ていますが、ここまで父親の悲哀を感じた役はなかったなと。

ソロシーンでは思わず泣いてしまう程。

そしてこの再再演では、久しぶりに真ん中降りをして来たことで我が家の姫が号泣していましたっけね。

 

話は元に戻りますが、天寿光希の魅力は何と言ってもその名バイブレイヤーぶりだと思います。王族から語り部まで何でもきっちりと出来る。

宝塚には滑舌のいい男役ってわりと少ないのですが、天寿光希はその中にあって霧矢大夢や北翔海莉と並ぶ滑舌のよさでした。

それが「めぐり会いは再び」のユリウスとなって、長台詞をガンガン言うけど決して飽きさせない魅力に通じたのだと思います。

めぐり会いは再び2」では、物まねまで披露。そして「めぐり会いは再びーNEXT JENERATION真夜中の依頼人」では小さな双子を保護するユリウスが、一番可愛がっていたルーチェを慰め、元気づける役になっていました。

思えば「ロミジュリ」も「めぐり会い」も3度も上演され、それによって役がどんどん上がって行き、天寿光希という人がどんな風に成長して行ったかつぶさに見ることが出来た・・・それがファンとしての幸せであり、演じた彼女にとっても大変幸せで名誉なことだったのではないでしょうか。

 

天寿光希は91期の中でもトップの成績を誇る優等生でした。

その為、下級生からはちょっと恐れられる存在になり、真風涼帆みたいに「天寿さんに叱られるのが快感」とまで言われるようになったんですよね。

下級生の頃から主役の子供時代を演じてきました。

エル・アルコン鷹」の少年ティリウスは、上手過ぎて新人公演世代とは思わなった自分がいます。

そんな子役を彷彿とさせたのが「眠らない男ーナポレオン」(2014年)で演じたナポレオン2世で、個性的な役を演じる事の多かった天寿が、久しぶりに真っ白で素直な青年を演じた事に新鮮さを感じました。

また、この役はストーリーの合間を埋める役とも言えたし、時間の経過を知らせる役でもありましたので、本当に素晴らしかったです。

この作品には北翔海莉が出演していましたが、稽古場では天寿が北翔の役を演じていたと言いますから、演出家からも大きく評価されていたのではないでしょうか。

また、天寿光希は轟悠との共演も多く、

おかしな二人」(2011年)「南太平洋」(2013)「ドクトル・ジバゴ」(2018年)「シラノ・ドベルジュラック」(2020年)と4度も共演しており、いかに名わき役としての位置を期待されていたかわかります。

ただそのせいで全ツに参加出来なかったのは、ファンとしては寂しい限りでしたね。

 

 

 

 

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