ベランダでジュウシマツのペア、つがいを飼っています。この連載で一度、書きましたが、自宅近所に落ちていたヒナ鳥を拾ったことから飼鳥物語は、はじまりました。あまりにかわいそうで、またかわいいヒナだったものですから、思わず拾って持ち帰りました。
図書館に行き、子ども向け『小鳥の飼い方ずかん』を借り、初級編を読んでみました。そして一羽だけではさみしそうなので、近所のペット屋さんに出向きました。ところが十姉妹は売っておらず、かわりに、これまたかわいい手乗り文鳥の赤ちゃんを買い求めてしまいます。
しかしわたしの育児力の未熟故に、この子を失ってしまいました。遺骸は布にくるみ川に流し、水葬にしました。自虐の気分に、少し落ち込みました。しかしひとり孤独に、ピーピー鳴く残された一羽をみていると、かわいそうになってきます。さて、どうしたものか。
電話帳で小鳥専門店を調べ、車で小一時間も離れた一軒をみつけました。訪ねてみると、いるわいるわ、十姉妹だけで五十羽ほど。自宅の鳥はオスなので、というのは「ピッピッ」と鳴くのはオス。「グジュグジュ」というのはメスと本に書いてあったから、わたしにもわかるのです。やはりメスは、グジュグジュいうのです。
さて雌雄の番い[つがい]にするか、それとも男ばかりの所帯にするか、悩みました。夫婦だと子を産む。子だくさんから、十姉妹というのだろうか。十人兄弟姉妹になっても困る。
この鳥は、江戸時代に中国から輸入されたコシジロキンパラに改良を重ねて人工的につくられた、まったくの飼い鳥。野に戻しても、エサを自分では採れない。餓死してしまいます。放生などといって、野にも放てない。
どんどん増えてくる子どもたちを、責任をもって育てることができるか? 自信がありません。また不妊手術のことは、本にも書いてない。
結論は同性、男だけの楽園をつくろうということでした。ホモたちといわれてもいい。本当の友人は同性に限る、とかなんとか勝手に決めつけ、小鳥屋さんには「オスを一羽ください」
ところが何と、持ち帰ったオスのはずの小鳥は、「グジュグジュ」と鳴くのである。これはメスです。わたしは愕然としてしまいました。返品交換してもらおうかと思ったのですが、この二羽、相当相性がいいようで、すぐに恋人同士のようになってしまった。十姉妹の語源は、同室群居しても、みな姉妹兄弟のように仲がいいから、そう呼ぶのだそうですが。
さてまた図書館に行って、こんどはおとな向け『飼鳥図鑑』を調べてみました。するとエサの種類で、発情するしないが決まるとある。人間と違って、エサ次第でエッチするかしないか、行動がかわるのです。
もしかしたら人間も同様で、肉やウナギばかり食べていたら、エッチ願望が増加するのであろうか。しかし貧乏人の子沢山ともいう。穀類と野菜だけでも、人間にはたくさんの子どもができるのだから、やはりヒトにはエサは無関係かも知れぬ。
ところでこのペアは、見ていても当方が恥ずかしくなるほど、仲がいい。メスはグチュグチュいいながら、キスはする。オスの頭や頸、胸などをクチバシでつつく。愛撫である。オスは小さな目を、気持ちよさそうに閉じている。さらには大胆に、オスの背にメスが乗っかかる。これは交尾のスタイルです。本来はオスが上、メスが下なのですが、このメスは逆上位を繰り返す。挑発です。
これには参ってしまった。二羽は、特にメスは出産育児を望んでいるのです。しかしわたしは、貧乏人の子だくさんになってしまう。
近所のペット屋に行き、相談を持ちかけてみました。「ジュウシマツに子が産まれたら、無料で引き取ってくれませんか?」。すると答えは「一般の飼い主から引き取ることは、法律で禁じられています」
それならばと、小学校に電話してみました。「小鳥の小屋はありますか? ジュウシマツはいりませんか?」。返事は「いま二十羽ほどいますがほぼ満室で、どれもインコばかり。喧嘩やイジメは大丈夫でしょうか。一度、学校までお越しください。子どもたちにプレゼントすることを考えてもいいかもしれません」。この先生は口端だけで、本心は「ノー!」なのです。本音はすぐに見透かされてしまうものです。ハードルはあまりにも高い。
夏場は巣引き、すなわち繁殖には適さぬ季節という。初秋にエサを発情型に切り替えれば、すぐに卵を六個や八個ほども産むらしい。どなたか産まれる予定のヒナを、もらってくれませんか? 両親ともに賢く性格もいい。もちろん子どもたちもみな揃って、立派なのがぞくぞくと誕生するに違いありません。
それと思いついたのですが、近所のショッピングセンターの掲示板に「あげます、買います」コーナーがあります。「十姉妹のヒナが秋に産まれたら、無料でもらってくれませんか? 飼い方マニュアルもサービスで付けます」。これから書きに、行ってきます。なおマニュアルは、図書館で借りた本のコピーですが。
<2008年7月13日 産ますか産まさざるべきか…ハムレットの悩み>
図書館に行き、子ども向け『小鳥の飼い方ずかん』を借り、初級編を読んでみました。そして一羽だけではさみしそうなので、近所のペット屋さんに出向きました。ところが十姉妹は売っておらず、かわりに、これまたかわいい手乗り文鳥の赤ちゃんを買い求めてしまいます。
しかしわたしの育児力の未熟故に、この子を失ってしまいました。遺骸は布にくるみ川に流し、水葬にしました。自虐の気分に、少し落ち込みました。しかしひとり孤独に、ピーピー鳴く残された一羽をみていると、かわいそうになってきます。さて、どうしたものか。
電話帳で小鳥専門店を調べ、車で小一時間も離れた一軒をみつけました。訪ねてみると、いるわいるわ、十姉妹だけで五十羽ほど。自宅の鳥はオスなので、というのは「ピッピッ」と鳴くのはオス。「グジュグジュ」というのはメスと本に書いてあったから、わたしにもわかるのです。やはりメスは、グジュグジュいうのです。
さて雌雄の番い[つがい]にするか、それとも男ばかりの所帯にするか、悩みました。夫婦だと子を産む。子だくさんから、十姉妹というのだろうか。十人兄弟姉妹になっても困る。
この鳥は、江戸時代に中国から輸入されたコシジロキンパラに改良を重ねて人工的につくられた、まったくの飼い鳥。野に戻しても、エサを自分では採れない。餓死してしまいます。放生などといって、野にも放てない。
どんどん増えてくる子どもたちを、責任をもって育てることができるか? 自信がありません。また不妊手術のことは、本にも書いてない。
結論は同性、男だけの楽園をつくろうということでした。ホモたちといわれてもいい。本当の友人は同性に限る、とかなんとか勝手に決めつけ、小鳥屋さんには「オスを一羽ください」
ところが何と、持ち帰ったオスのはずの小鳥は、「グジュグジュ」と鳴くのである。これはメスです。わたしは愕然としてしまいました。返品交換してもらおうかと思ったのですが、この二羽、相当相性がいいようで、すぐに恋人同士のようになってしまった。十姉妹の語源は、同室群居しても、みな姉妹兄弟のように仲がいいから、そう呼ぶのだそうですが。
さてまた図書館に行って、こんどはおとな向け『飼鳥図鑑』を調べてみました。するとエサの種類で、発情するしないが決まるとある。人間と違って、エサ次第でエッチするかしないか、行動がかわるのです。
もしかしたら人間も同様で、肉やウナギばかり食べていたら、エッチ願望が増加するのであろうか。しかし貧乏人の子沢山ともいう。穀類と野菜だけでも、人間にはたくさんの子どもができるのだから、やはりヒトにはエサは無関係かも知れぬ。
ところでこのペアは、見ていても当方が恥ずかしくなるほど、仲がいい。メスはグチュグチュいいながら、キスはする。オスの頭や頸、胸などをクチバシでつつく。愛撫である。オスは小さな目を、気持ちよさそうに閉じている。さらには大胆に、オスの背にメスが乗っかかる。これは交尾のスタイルです。本来はオスが上、メスが下なのですが、このメスは逆上位を繰り返す。挑発です。
これには参ってしまった。二羽は、特にメスは出産育児を望んでいるのです。しかしわたしは、貧乏人の子だくさんになってしまう。
近所のペット屋に行き、相談を持ちかけてみました。「ジュウシマツに子が産まれたら、無料で引き取ってくれませんか?」。すると答えは「一般の飼い主から引き取ることは、法律で禁じられています」
それならばと、小学校に電話してみました。「小鳥の小屋はありますか? ジュウシマツはいりませんか?」。返事は「いま二十羽ほどいますがほぼ満室で、どれもインコばかり。喧嘩やイジメは大丈夫でしょうか。一度、学校までお越しください。子どもたちにプレゼントすることを考えてもいいかもしれません」。この先生は口端だけで、本心は「ノー!」なのです。本音はすぐに見透かされてしまうものです。ハードルはあまりにも高い。
夏場は巣引き、すなわち繁殖には適さぬ季節という。初秋にエサを発情型に切り替えれば、すぐに卵を六個や八個ほども産むらしい。どなたか産まれる予定のヒナを、もらってくれませんか? 両親ともに賢く性格もいい。もちろん子どもたちもみな揃って、立派なのがぞくぞくと誕生するに違いありません。
それと思いついたのですが、近所のショッピングセンターの掲示板に「あげます、買います」コーナーがあります。「十姉妹のヒナが秋に産まれたら、無料でもらってくれませんか? 飼い方マニュアルもサービスで付けます」。これから書きに、行ってきます。なおマニュアルは、図書館で借りた本のコピーですが。
<2008年7月13日 産ますか産まさざるべきか…ハムレットの悩み>