人間社会では、どのような場合にも言えることだが、最大効果を得る・・というのが、物事を実施する場合の必要不可欠の鉄則(てっそく)となる。確かに、多大の犠牲(ぎせい)を払った挙句(あげく)、ぅぅぅ…と涙するような突破、完成という事態もあるが、はっきり言って、犠牲は最小限にとどめねばならない。
春とはいえ、五月半ばの日中ともなると、さすがに暑くなってくるから、早朝、夕暮れどきの作業の方が、汗の出が少なくて済む。
整枝を終えた切り枝が畑に置かれている。昨日の切り枝だから、まだ生々しい。農川は深く考えもせず、草焼機で焼却を始めた。ところがである。11時を回った頃で、すでに辺りの気温は25℃近くにもなろうとしていた。深い考えもなかったから当然、長袖(ながそで)である。最初の数分はよかったが、たちまち身体に汗が出始めた。やがてその汗は、下着を濡らすまでになってきた。このままではビッショリした汗で濡れ鼠(ねずみ)になることは必定だった。農川は体内の全軍に撤退命令を下した。家の中へ入り、とりあえず着替えをした農川は、ふと、巡った。この焼却の最大効果を得るには、1.として、数日、そのまま置いておいて天日(てんび)干(ぼ)しにし、十分に乾燥させる。2.として、早朝や夕方の冷んやりした頃に焼却する・・といった最大効果を得る方法が浮かんだ。これだっ! これを先に思いつかなければ、司令官としては失格だっ! とジェネラル[アメリカの将官]にでもなった気分で偉(えら)そうに思った。汗は掻くわっ、着替えは出るわっ、疲れるわっ・・で農川の体は戦闘で多くの犠牲を出していた。サッパリの農川はジェネラルは無理だな…と思った。ただ、それに気づいたのだから、見込みはあるにはあるのだが…。^^
このように最大効果を得るには、まず犠牲を最小限に食い止める・・ということが、何よりも必要となる。
※ 最近の日本は暮らしにくくなり、野焼きは出来ないそうですから、ご注意をっ! ^^
完