水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

暮らしのユーモア短編集-36- 薄味(うすあじ)

2018年06月20日 00時00分00秒 | #小説

 日々、暮らす中で、主婦の方々に言えることだが、料理で薄味(うすあじ)は欠かせない。無論、このことは当然、主夫の方々にも言えることなのだが…。^^
 とある中年夫婦の食事どきの会話である。
「おいっ! コレ、少し濃(こ)いんじゃないかっ!!」
「嫌(いや)なら食べないでよっ! 私が食べるからっ!!」
「そういう意味じゃないっ。もう少し、薄味の方が俺の好みだってことさ…」
 主人は俄(にわ)かの敵の反撃に、撤退(てったい)を余儀(よぎ)なくされた。
「私の好みなんだから、いいじゃないっ!!」
 主婦は、なおも猛攻を続ける。
「…」
 防戦一方となった主人は、ついに押し黙った。
 薄味は、沈黙を呼ぶようである。加えて、ひとつ、これは聞いた話だが、薄味は濃い味より中年以降の健康に、いいらしい。まあ、どうでもいい話だ。^^

                                完


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