生物見遊散歩

「生物」を「見」て「遊」ぶ「散歩」を「(生)物見遊散(歩)」と呼んで、「自然観察」を楽しんで行こう。

大阪・関西万博に係る市長意見について対応・更に続き

2022年04月28日 | 自然保護

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「市長意見」は、大阪市環境影響評価条例に基づく環境影響評価準備書を踏まえて、博覧会協会に向けたものですが、この「市長意見」が対象にしている場所(環境)について、大阪港湾局が先行して損なってしまう地盤整備(地盤改良工事)を行っています。

これでは、開発ありきを前提にしながら、形だけの環境配慮を言葉にしているものと言わざるを得ません。

この内容については、「団体との協議等のもち方に関する指針」に則り「公益社団法人・大阪自然環境保全協会」(ネイチャー大阪)が「大阪港湾局」と協議を行います。(この協議は5/11に開催され、論議する場が公開されていますので傍聴も可能です。)

この論議の要旨を次に示しますので是非お読み下さい。

前提となる「市長意見」(2/9)これは夢洲の環境保全について博覧会協会に求めたものです。

・「動物・生態系」に関しては、専門家等の意見を聴取しながら、工事着手までにこれら鳥類の生息・生育環境に配慮した整備内容やスケジュール等のロードマップを作成し、湿地や草地、砂れき地等の多様な環境を保全・創出すること。

・「植物」に関しては、早急に現地の状況を確認した上で、本事業の工事により生息環境への影響が想定される場合は、関係機関と協議の上、環境保全対策を実施すること。

ネイチャーおおさか・要望(3/11)

「市長意見」における「動物・生態系」および「植物」には、「専門家等の意見を聴取しながら、工事着手までにこれら鳥類の生息・生育環境に配慮した整備内容やスケジュール等のロードマップを作成し、湿地や草地、砂れき地等の多様な環境を保全・ 創出する」とありますが、大阪港湾局による土地整備の時点も含めて遵守し、具体的な 計画を即時示して下さい

大阪港湾局・回答(4/21)

現在、土地造成を行うため、水位を一時的に下げたことで、ウォーターワールドの水域部分 の一部が陸域化し、湿地帯が自然発生したことで、ヨシ群落などが形成され、鳥類などの生育 やカワツルモなどの絶滅危惧種が生息していることが確認されているところです。

このウォーターワールドとなる 2 区水面エリアは、造成途上で軟弱な浚渫土砂が厚く堆積しており、万博開催時の来場者への安全性確保の観点からも地盤強度を一定確保するための地盤改良を実施する必要があります。

これら造成途上に生じた自然環境については、万博開催時の来場者の安全確保はもちろん、将来の土地利用の必要性から存続させることはできないものの、専門家と相談したうえで、現存している希少種等の生息場所の土砂を採取し、将来緑地として利用予定の夢洲(1区北側水面等)に移植及び一時保存を行うことで自然環境の再生を図ることとしています。

今後も水辺環境の保全方法について専門家と相談しつつ検討してまいります。

ネイチャーおおさか(5/11質問予定)

「回答」によって、「ウォーターワールドの水域部分の一部が陸域化し、湿地帯が自然発生したことで、ヨシ群落などが形成され、鳥類などの生育 やカワツルモなどの絶滅危惧種が生息していることが確認されている」と記述されている場所は、「市長意見」に記載されている「動物・生態系」と「植物」に該当する場所とみなされます。

にも拘わらず、更に「回答」によって、この場所については「土地造成を行うため、水位を一時的に下げた」とあり、「将来の土地利用の必要性から存続させることはできない」とも記述されています。

博覧会協会に求めている「ロードマップを作成し、湿地や草地、砂れき地等の多様な環境を保全・創出する」ことや、「関係機関と協議の上、環境保全対策を実施する」ことについては、大阪港湾局の地盤改良工事が行われる以前の環境が評価されての事であります。

市長意見において、この場所について「環境を保全・創出する」とか「環境保全対策を実施する」と求められているにも関わらず、「土地造成を行う」場所で「存続させることはできない」場所と認識されているのであれば、市長意見の策定過程において、大阪市の関係部局の間で、この場所については、どの様な論議が行われて、この様なことを博覧会協会に求めることになったのか、また、この場所で行われようとしていた地盤完了工事が先行する事が分かっていたのであれば、博覧会協会に求めるものとは具体的にどの様なものを想定していたのか、について明らかにして下さい。

「市長意見」を、そのままに受け取るならば、次の様に考えられます。

博覧会協会に求めているものについて、大阪港湾局の地盤改良工事が影響を与えるものであれば、大阪港湾局は博覧会協会と連携して、博覧会協会に求めたものが損なわれない様に対応するのが当然であると言えます

また、博覧会協会も市長意見が求めたものについて、実行して行くためには、環境影響評価書に先駆けて、大阪港湾局と連携して「ロードマップを作成し、湿地や草地、砂れき地等の多様な環境を保全・創出する」ことや、「関係機関と協議の上、環境保全対策を実施する」ことを、早急に進めて行く必要があります

更に、これらについては、「市長意見」が実行されている事を確認するべき大阪市の関係部局が、主導して行くべき内容でもあります。


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