管轄国イギリスもアメリカの船会社も頬被(ほおかぶ)りし、ニューヨーク・タイムスは日本叩き。この仁義なき国際社会での戦い方は。
(アメリカも表舞台には立たず)
頬被りはアメリカも同様だ。世界の感染症対策で最も権威のあると見なされているアメリカのCDC(疾病対策センター)は、日本政府の努力を称賛しつつも、次のような声明を出している。
__________
ダイアモンド・プリンセス船上で検疫対策を遂行する日本政府の格別の努力を称賛する。その検疫は潜在的には伝染を遅らせて公衆衛生上、重要な貢献をしたが、船上の人から人への伝染を防ぐには十分ではなかった、というのがCDCの評価である。
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さすがに専門機関だけに、NYTのようなセンセーショナルな悪罵は投げつけていないが、いかにも上から目線の、他人事のような口調である。そもそもアメリカ企業の運営する船なのだから、日頃の防疫上の危機管理を自分たちがもっと監督すべきだったと反省するなり、日本政府のやり方に不備があるなら専門機関として具体的なアドバイスするのが筋だろう。
NHKの報道では、日本政府と米国との間で以下のようなやりとりがあったようだ。
__________
日本政府が、当初、アメリカ人乗客の早期下船と帰国を提案したのに対し、アメリカ政府は日本側の対応に謝意を示したうえで、CDC=疾病対策センターなどと議論した結果、「乗客を下船させ、横田基地などに移動させれば、感染リスクが高まることが予想される。船は衛生管理がきちんと行われており、船内にとどめてほしい」と要請していた。[NHK]
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何の事はない。船上で14日間留め置く案は、CDCの意向だったのだ。結局、この要請をしたアメリカも表舞台には立たずに、日本だけがワンマンショーをさせられ、一身に非難を浴びたのである。しかも、「船内にとどめてほしい」と頼むときは「船は衛生管理がきちんと行われており」と持ち上げ、世界への発信では「不十分だった」とこきおろす。
こうして見ると、日本の善意の行動が、いかに「この世界の常識」から(良い方向に)外れたものだったかが分かる。イギリスもアメリカも頬被りして、危険で厄介な仕事を日本に押しつけた。国際社会とは、各国が自国の国益を守るために、時には仁義を無視して振る舞っている世界なのである。
(アメリカの「朝日新聞」)
国際社会での国益追求のゲームに、中心的な役割を果たしているのが、冒頭に紹介したNYTのようなマスメディアである。この記事の執筆者を調べると、記事で船籍国を伏せているのは単純な無知からではなく、意図的な反日プロパガンダかも知れない、という疑いが湧いてくる。
記者の名は"Motoko Rich"。日本人の母親を持つアメリカ人のようだ。肩書きは同紙の東京支局長。NYTの東京支局は朝日新聞社内にあるというから、それだけでも怪しげだ。朝日新聞が提供した反日ネタをNYTが記事にすれば、「アメリカでも批判の声があがっている」と巧みな手口が即座にできる体制になっている。
過去を調べてみると、このMotoko Rich氏は韓国人記者らと共同で、昨今の日韓の確執の原因が「強制労働と性奴隷」にある、などと書いている点からも、その事実を無視した強弁ぶりは明らかだ。
今回の記事で船籍国を明らかにしてしまえば、日本叩きの構図が崩壊してしまう。ちょうど職業的慰安婦であった事実が「性奴隷」キャンペーンをぶち壊してしまうように。国益をかけた「仁義なき戦い」は、主にこうしたプロパガンダ戦で行われる。
(仁義に基づいた広報外交は世界のためにもなる)
プロパガンダの飛び交う仁義なき国際社会では、我が国の戦い方ももう一工夫する必要がある。アメリカから「船内にとどめてほしい」と依頼を受けた事実が後から明らかになったり、麻生副総理が「元々責任はお前らじゃないの」と後でこぼしても、もはや負け犬の遠吠えである。イギリスやアメリカの頬被りや、NYTの明らかな誤報記事の余地を与えないような戦い方が必要だ。
たとえば、日本が検疫をするのは良いとしても、それを始める前に、英米の大使を呼んで3カ国合同の記者会見を開く。その場で、英米両国の「依頼」に応えて日本が検疫に乗り出す、と発表する。これにより、日本は検疫を実施する義務も権限もないが、管轄国の英国と、船会社を持つアメリカの両国の依頼に応えて、「善意の協力」を行うという立場を国際的に明らかにする。
その上で、世界で最も権威のある米国CDCの「助言」に従って船内で14日間の隔離を行うが、乗客の引き取りを希望する国があれば船なりチャーター機を派遣して欲しい、乗客の移動に関しては日本政府が最大限の協力を行う、と表明する。
こうする事によって、同じ検疫をするにしても、日本の善意を世界に明らかにし、英米のみならず他国に対しても、道徳的な高みに立つことができる。船内に閉じ込められていた乗客の不平も、自国政府に向かう。NYTのような事実に悖(もと)る批判記事も出る余地はなくなる。
この案は一例に過ぎないが、仁義なき国際社会で国の名誉と国益を守っていくには、このように日本の仁義を世界に見えるようにする「広報外交」が欠かせない。この意味では、平成27(2015)年の日韓慰安婦合意で、両国外相が握手する姿がテレビ放映されたのは良い前例である。このシーンによって、以後の韓国側の合意蒸し返しの試みが説得力を欠いたものとなった。
広報外交としては韓国の「強制労働と性奴隷」などの反日キャンペーンが大先輩だが、虚偽を振りまく「広報外交」と、仁義に基づく「広報外交」は本質的に異なる点に留意しなければならない。
嘘に基づいた広報外交は、いつか嘘がばれて国際社会での信頼を失ってしまう。仁義に基づいた広報外交は誠実な実行を伴うだけに、心ある人々、国々を味方につけ、さらに諸国民を啓蒙する効果もある。
すなわち、仁義ある広報外交は日本のためだけでなく、世界のためにもなるのである。これこそが「和の国」の目指すべき外交であろう。
(アメリカも表舞台には立たず)
頬被りはアメリカも同様だ。世界の感染症対策で最も権威のあると見なされているアメリカのCDC(疾病対策センター)は、日本政府の努力を称賛しつつも、次のような声明を出している。
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ダイアモンド・プリンセス船上で検疫対策を遂行する日本政府の格別の努力を称賛する。その検疫は潜在的には伝染を遅らせて公衆衛生上、重要な貢献をしたが、船上の人から人への伝染を防ぐには十分ではなかった、というのがCDCの評価である。
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さすがに専門機関だけに、NYTのようなセンセーショナルな悪罵は投げつけていないが、いかにも上から目線の、他人事のような口調である。そもそもアメリカ企業の運営する船なのだから、日頃の防疫上の危機管理を自分たちがもっと監督すべきだったと反省するなり、日本政府のやり方に不備があるなら専門機関として具体的なアドバイスするのが筋だろう。
NHKの報道では、日本政府と米国との間で以下のようなやりとりがあったようだ。
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日本政府が、当初、アメリカ人乗客の早期下船と帰国を提案したのに対し、アメリカ政府は日本側の対応に謝意を示したうえで、CDC=疾病対策センターなどと議論した結果、「乗客を下船させ、横田基地などに移動させれば、感染リスクが高まることが予想される。船は衛生管理がきちんと行われており、船内にとどめてほしい」と要請していた。[NHK]
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何の事はない。船上で14日間留め置く案は、CDCの意向だったのだ。結局、この要請をしたアメリカも表舞台には立たずに、日本だけがワンマンショーをさせられ、一身に非難を浴びたのである。しかも、「船内にとどめてほしい」と頼むときは「船は衛生管理がきちんと行われており」と持ち上げ、世界への発信では「不十分だった」とこきおろす。
こうして見ると、日本の善意の行動が、いかに「この世界の常識」から(良い方向に)外れたものだったかが分かる。イギリスもアメリカも頬被りして、危険で厄介な仕事を日本に押しつけた。国際社会とは、各国が自国の国益を守るために、時には仁義を無視して振る舞っている世界なのである。
(アメリカの「朝日新聞」)
国際社会での国益追求のゲームに、中心的な役割を果たしているのが、冒頭に紹介したNYTのようなマスメディアである。この記事の執筆者を調べると、記事で船籍国を伏せているのは単純な無知からではなく、意図的な反日プロパガンダかも知れない、という疑いが湧いてくる。
記者の名は"Motoko Rich"。日本人の母親を持つアメリカ人のようだ。肩書きは同紙の東京支局長。NYTの東京支局は朝日新聞社内にあるというから、それだけでも怪しげだ。朝日新聞が提供した反日ネタをNYTが記事にすれば、「アメリカでも批判の声があがっている」と巧みな手口が即座にできる体制になっている。
過去を調べてみると、このMotoko Rich氏は韓国人記者らと共同で、昨今の日韓の確執の原因が「強制労働と性奴隷」にある、などと書いている点からも、その事実を無視した強弁ぶりは明らかだ。
今回の記事で船籍国を明らかにしてしまえば、日本叩きの構図が崩壊してしまう。ちょうど職業的慰安婦であった事実が「性奴隷」キャンペーンをぶち壊してしまうように。国益をかけた「仁義なき戦い」は、主にこうしたプロパガンダ戦で行われる。
(仁義に基づいた広報外交は世界のためにもなる)
プロパガンダの飛び交う仁義なき国際社会では、我が国の戦い方ももう一工夫する必要がある。アメリカから「船内にとどめてほしい」と依頼を受けた事実が後から明らかになったり、麻生副総理が「元々責任はお前らじゃないの」と後でこぼしても、もはや負け犬の遠吠えである。イギリスやアメリカの頬被りや、NYTの明らかな誤報記事の余地を与えないような戦い方が必要だ。
たとえば、日本が検疫をするのは良いとしても、それを始める前に、英米の大使を呼んで3カ国合同の記者会見を開く。その場で、英米両国の「依頼」に応えて日本が検疫に乗り出す、と発表する。これにより、日本は検疫を実施する義務も権限もないが、管轄国の英国と、船会社を持つアメリカの両国の依頼に応えて、「善意の協力」を行うという立場を国際的に明らかにする。
その上で、世界で最も権威のある米国CDCの「助言」に従って船内で14日間の隔離を行うが、乗客の引き取りを希望する国があれば船なりチャーター機を派遣して欲しい、乗客の移動に関しては日本政府が最大限の協力を行う、と表明する。
こうする事によって、同じ検疫をするにしても、日本の善意を世界に明らかにし、英米のみならず他国に対しても、道徳的な高みに立つことができる。船内に閉じ込められていた乗客の不平も、自国政府に向かう。NYTのような事実に悖(もと)る批判記事も出る余地はなくなる。
この案は一例に過ぎないが、仁義なき国際社会で国の名誉と国益を守っていくには、このように日本の仁義を世界に見えるようにする「広報外交」が欠かせない。この意味では、平成27(2015)年の日韓慰安婦合意で、両国外相が握手する姿がテレビ放映されたのは良い前例である。このシーンによって、以後の韓国側の合意蒸し返しの試みが説得力を欠いたものとなった。
広報外交としては韓国の「強制労働と性奴隷」などの反日キャンペーンが大先輩だが、虚偽を振りまく「広報外交」と、仁義に基づく「広報外交」は本質的に異なる点に留意しなければならない。
嘘に基づいた広報外交は、いつか嘘がばれて国際社会での信頼を失ってしまう。仁義に基づいた広報外交は誠実な実行を伴うだけに、心ある人々、国々を味方につけ、さらに諸国民を啓蒙する効果もある。
すなわち、仁義ある広報外交は日本のためだけでなく、世界のためにもなるのである。これこそが「和の国」の目指すべき外交であろう。
(文責:「国際派日本人養成講座」編集長・伊勢雅臣)
---owari---
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