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自分の適性・才能を見極める方法

2020年04月10日 | 人生
(「学部の向き不向き」は入ってみないと分からないもの)
「好き嫌い」というか、才能的に見て、「向き不向きの適性」というのは、どうしてもあります。

大学に進学する際には、学部を選択します。偏差値で選んだか、就職の人気の高さで選んだかは分かりませんが、本当は、その選んだ学部が向いている人と向いていない人とがいるのです。

ただ、学部の向き不向きというのは、入ってみないと分からないことが多く、事前にはなかなか分からないものです。

例えば、医学部に入った人のなかには、「血を見たら引っ繰り返る」という人もいます。そういう人は、単に、「偏差値が高いし、医者は収入も高い」という理由だけで医学部に入ったのでしょう。

医学部には、「解剖(かいぼう)を見て卒倒(そっとう)しそうになった」という人が三分の一ぐらいはいるようですが、はっきり言って、そういう人は医者に向いていないので、医学部に行くべきではなかったのです。

要するに、自分の偏差値が高かったために医学部へ行ってしまったのでしょうが、やはり、解剖が好きで、“魚屋”ができたりするぐらいの人でなければ、本来はあまり行くべきではないと思います。

(法律の勉強に向いていなかったことが幸いしたゲーテ)
古い例で言えば、*ゲーテというドイツが誇る文豪(ぶんごう)がいます。彼は詩人であり、芸術家でもありますが、実は、大学では法学部に入って法律の勉強をしていたのです。

しかし、“幸い”なことに、親の期待に反して、彼は法律の勉強があまりできませんでした。法律を勉強しても、全然、面白くなく、頭に入ってこなかったのです。そこで彼は、法律以外の文学や芸術、その他の雑学のほうに手を出して、「教養」を身につけていきました。その結果、そちらのほうが、あとで実りを生んだわけです。

法律のほうの才能はあまりなかったのですが、彼の場合は、それがかえってよかったのです。もし、法律の勉強がよくできたならば、感性のほうが死んでいった可能性は高いでしょう。

そういう意味では、ゲーテの場合、「見切った」というよりも、学問のほうから「見切られた」のかもしれません。そのように、学問との巡り合わせがうまくいかず、相性がよくなかった場合には、必ずしも「頭が悪かった」とは言えません。

今、「ゲーテは頭が悪い」という人はいないでしょう。彼は、ドイツ人でも屈指(くっし)の天才です。ただ、「学問的に、法律には向いていなかった」ということです。

そのように、自分のほうが見切ったのか、学問のほうに見切られたのかは分かりませんが、できなかったことが幸いし、「“副業”として自分の好きなことをやっていたものが、実りを生む」という幸運もあるのです。

(東大法学部卒とは思えない三島由紀夫の小説)
また、日本では、*三島由紀夫(みしまゆきお)という作家がいます。彼は東大法学部卒で、本名を平岡(ひらおか)と言い、法学部の先生が、「平岡君の答案は、それは見事なものでしたね」などと言っていました。

ただ、文名が上がり、作家として有名になってから、そのように言うのは簡単ですが、答案を読んだときに、本当にそう思ったかどうかは少し怪(あや)しいと思います。本当は、「私が教えた」ということを言いたかっただけではないでしょうか。

三島由紀夫の書いた小説を読むかぎり、「法学部の卒業生」ということが微塵(みじん)も感じられません。法律を勉強しなかった人とほとんど同じぐらい、まったく跡形(あとかた)もないのです。

普通、法律の勉強をしたら、小説を書こうと思っても、あまり面白いものは書けなくなります。犯罪小説以外は書けないと見てよいでしょう。「犯罪者を逮捕し、裁判をして、刑務所にぶち込む」というような内容の小説なら書けるかもしれませんが、それ以外はだいたい駄目です。専門性が強くなりすぎて、面白くなくなるのです。

しかし、三島由紀夫の小説を読んでも、そういう印象はまったく受けないので、彼が本気で法律を勉強していなかったことは、ほぼ明らかです。法学部の先生は後追いで、「立派な答案だった」と言われたのではないでしょうか。

「才能を開花させる」ために必要なことは、「才能というものは、相性のよいものと出合わないと、なかなか開花しない」ということです。

実際、仕事においては、学生時代に本業の勉強以外に趣味で読んでいた本や、社会人になってから帰宅後に読んでいた本の影響が、とても大きかったと感じています。


*ゲーテ(1749-1832):ドイツの詩人、小説家、劇作家。ワイマール公国の宰相としても活躍。25歳で発表した「若きウェルテルの悩み」がヨーロッパ各地で高い評価を得、ドイツ文学史上の一時代を築く。代表作に『ファウスト』などがある。

*三島由紀夫(1925-1970):小説家、劇作家。幼少期から創作活動を始め、16歳のときに「文藝文化」誌上で小説「花ざかりの森」を発表。代表作に「潮騒(しおさい)」「金閣寺」「憂国」「豊饒(ほうじょう)の海」などがある。晩年は民兵組織「楯(たて)の会」を結成し、右翼的政治活動に身を投じた。

---owari---
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