もう何十年も前になる。
言論人としての清水幾太郎氏が、
ある雑誌の巻頭言(かんとうげん)で、
「なぜ笑う」という一文を書いておられた。
ロッキード事件に関連した、
右翼(うよく)の大物の自宅に、
プロペラ機で突入して、
命を落とした若者を、
嘲笑(ちょうしょう)するマスコミや国民を叱(しか)ったものだった。
細かな内容は忘れたが、
オピニオンリーダーだった清水氏の、
その寸言(すんげん)は、
私の胸にも、
ある種の衝撃(しょうげき)を与えた。
一人の人間が身命(しんみょう)を賭(と)して、
政治的行動を起こした時に、
その善悪や成否は別にして、
簡単にバカよばわりしてはならないし、
人はその事実の前に、
厳粛(げんしゅく)であるべきだということだろう。
私はテロリズムの類(たぐ)いを擁護(ようご)するつもりはない。
ましてや一般人を巻き込む爆弾(ばくだん)テロなど、
もってのほかだ。
ただ悪を見て義憤(ぎふん)を起こす人をバカにし、
何もしないことをもって、
知恵ある者のごとく装(よそお)う、
冷めた人々の態度(たいど)には共感できない。
世を救わんとする人々を「なぜ笑う」。
行動する人々を「なぜ無視する」。
答えよ。
---owari---
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