このゆびと~まれ!

「日々の暮らしの中から感動や発見を伝えたい」

平凡のなかの悟り

2018年05月28日 | 人生

あなたがたの心のなかには、

実はどうすることもできない粗暴な大男がおり、

またその大男に対して、おびえ、恐れおののく、

小心な自分というものがある。

 

誰の心のなかにも、こうしたものはあるのだ。

自分の心を統御しようとしても、

どうしても欲望にひかれてゆく心があるはずだ。

 

その欲望にひかれている心は、

たとえば、異性を見ては、心が狂い、

金銭を見ては、心が狂い、

また他人の持ち物を見ては、心が狂い、

あるいは、他の人が幸福になるという話を聞いては、心穏やかではない。

 

そうした荒れ狂う台風のように統御できないものが、

自分のなかにあるはずだ。

その統御できないものこそ、

心のなかの大男であるのだ。

 

しかし、この統御できない大男も、

かつて鎖につながれていた時に、

どこかの誰かに統御されてきた、

支配されてきた、

飼い慣れされてきたという、懐かしい気持ちが残っている。

 

その懐かしい気持ちを想い起こさせたならば、

すなわち懐かしい笛の音を聞かせてやったならば、

この大男をおとなしくすることはできるのだ。

それは、もっともっと力の弱い、小さな者であっても、

その大男を統御することができる。

 

その通り――。

まず恐れというものをなくさねばならない。

自分の心は自分の手に負えぬものだと思ってはならない。

自分が自分でないような、

まったく魔に踊らされ、魔に自由にされるような、

そんな自分であると思ってはいけない。

 

自分は必ず、自分自身の心を統御できると思わなくてはならない。

そして、統御する方法はというと、

実は決して腕力によって統御するのではない。

脅かしたり、傷つけたりすることによって、統御するのではない。

 

これは何を言っているかわかるだろうか。

それは決して難行・苦行によって、

自分の心を統御することができるわけではない。

ということを言っているのだ。

 

滝行をしたり、あるいは断食行をしたり、

いろいろな難行・苦行があるが、

難行・苦行によって、

その心をなだめよう、心を統御しようとする試みは、

弓矢を射かけたり、あるいは罠をしかけたりして、

大男を何とか取り押さえようとするのと同じで、

かえって大男を凶暴にさせてしまうことになるだろう。

心はいっそう自由にならなくなる。

 

そうではない。

もっと平和的で、

もっと小さな気づきを用いて、

もっと楽しい方法によって、

心というものは統御できるのだ。

 

つまり、私は、

決して非凡な世界のなかに悟りというものがあるのではない。

決して非凡な経験のなかに悟りというものがあるのではない。

ということが言いたいのだ。

 

日々の平凡な生活のなかに、実は悟りへのよすががある。

実は、悟りへの道があるのだ。

そして、平凡な日々のなかの、

平凡な一日一日のなかの悟りとは、

実は、ほんの小さな発見にあるということを、私は言いたいのだ。

 

ほんの小さな発見とは何であるか。

それは、かつて、私たちが実在界・天上界にいた時に、

知っていたところの音色だ。

その音色を想い起こすということなのだ。

 

私たちが悟りに到るためには、

実在界で味わっていたところの、その音色を思い出すことだ。

それが、大事なのだ。

 

実在界で味わっていた音色とは何であるか。

それは、人に対する優しい気持ちでもあっただろう。

人に対する祝福の気持ちでもあっただろう。

また欲望を強くせず、足ることを知る心でもあっただろう。

 

あるいは、共に相和し、共に協力し合い、

共に生かし合う姿であっただろう。

決して、自分一人が幸福になろうとする心ではなく、

また我欲をつっぱるのでもない、

そういう姿があっただろう。

 

限りなく透明感に溢れ、限りなく優しい、限りなくあたたかい、

そうした気持ちがあったであろう。

 

しかり、そのような世界こそが天国である。

このように地上に降りて生きていても、

この天国のことを思い出して、日々、生きることだ。

天国の生活を、日々、想いにおいて描いて生きることだ。

 

さすれば、その時に、大男は静まり、やがてあなたがたの敵ではなくなるだろう。

あなたがたを味方し、あなたがたの思いのままに動いてくれる、

大切な大切な力となるであろう。(仏法真理)

 

---owari---

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