Ａ容疑者

　逮捕されてなお、本人は容疑を認めていない、というのだから仮にＡ容疑者・・・としておこう。

　何を話そうとしているかお判りだろうか？

　そう、冷凍商品への農薬混入事件である・・・


　ただ、昨日の夜の一連の報道番組を見ていて気付いたことがある。今朝の新聞は名前すら出していないのに、テレビでは、しっかり顔と名前を出していた。これは、いったい何？

　しかも、最近、ブルーのバイクに換えました・・とか、それが事件とどう関連するの？？といった、本人のプライバシーにかかわることまで根ほり葉ほり取り上げて、事をおもしろおかしくしているのだ。

　なぜ、私がこんな事をいうのかというと・・・

　容疑者にも家族がいるからである。このような全国放送のテレビで扱われた家族、妻や子供はどんな思いで今日からの日々を送るのか・・・

　報道に責任は無いのか・・・？？


　ただ、おもしろおかしければ、それでいいのか？人が不幸のどん底に落ちていく姿をおもしろおかしく見ているその姿は鬼畜以外の何物でもない、毒物混入の罪と大差は無い、と私は思うのだ。

　

　なぜ、ここまで言うか・・・それは、第二のＡ容疑者を生む社会構造に現代の日本はなっている、もうすでにどこかに第二・第三のＡ容疑者は、いる・・・ということなのだ。そして、それは、あなた自身かもしれない。ということも付け加えておこう。

　この事件を、どうとらえたか？

　これは、現代日本社会の問題の縮図である。雇用問題の縮図である。安い賃金で雇用され、正規の社員ではなく派遣社員、現場で働く者の不満は直接、トップには届かない。決して届くことは無い・・・

　ここは日本、沖縄と福島・・・どちらも、つい最近、市長選が行われたばかり。いずれも、県知事と反対の路線を行く候補が当選した。

　
　現場の声とトップを行く者の視点のズレ・・・


　それが、地方の自治体で、あるいは、中小企業の中で起きている・・・やがては、国の中で地方と中央のズレ、すでに出ているが・・・日本は今後ますます格差社会になっていくんだろうな・・・と一人、思うワケである。


　老婆心ながら？言っておくと、ズレは小さいうちに軌道修正するに限る。大きくなってからでは全く取り返しがつかなくなるものだから・・・