サイバー防衛に日本はどう立ち向かうのか[HRPニュースファイル1226]
http://hrp-newsfile.jp/2014/1922/
文/HS政経塾2期卒塾生 服部まさみ
◆看過できない北朝鮮のサイバー攻撃
サイバー攻撃とテロ予告によりソニーの米子会社の新作上映が中止に追い込まれました。
金正恩第一書記の暗殺計画を描いた映画で、6月には、北朝鮮外務省が「無慈悲な対応を取る」との声明を出していました。
サイバー攻撃が発覚したのは11月で、個人や社内情報が盗まれ、ネット上に小出しに流出させることで脅威を増大させていきました。
その後、上映予定の映画館にテロ予告が行なわれた為、17日に上映中止が決定し、19日にFBIが北朝鮮による攻撃と認定しました。
オバマ大統領は、北朝鮮に対し対抗措置をとる方針を示し、テロ支援国家に再認定することを検討していると発表しました。
北朝鮮によるサイバー攻撃は昨年3月に韓国でも起きています。
また、09年7月4日に、北朝鮮は7発のミサイルを発射するのと同時に、ミサイルが迎撃されないように米韓の中枢部に対して、数日間に渡り、16カ国をも経由してサイバー攻撃を行っているのです。
このようなサイバー攻撃は、歴然たるテロ行為であり、決して許されるべきではなく、その責任は拉致問題などの人権侵害と同時に厳しく追及されるべきです。
◆北朝鮮のサイバー攻撃部隊は世界トップクラス
北朝鮮は、20年以上前からサイバーテロ能力を高めており、中露やイランといった協力国と手を組んで、攻撃力を強めてきました。
特に金正恩体制は、サイバー戦について重視し、12年にサイバー攻撃の専門部隊を「偵察総局」の中に新設し、1700人規模のハッカー部隊が所属しています。
その他にソフトウェア開発機関に所属するエンジニアが4200人おり、有事の際は約6000人がサイバー攻撃に動員される態勢になっています。
優秀な子どもは年間500時間の「英才教育」を受け、専門の大学で養成のための特別講義を受けた、選び抜かれた優秀な人材が訓練に参加しています。
北朝鮮のハッカー部隊は、中露や東南アジアの国々に拠点を置いて、現地のハッカーとも連携しています。海外の支援組織が北朝鮮の部隊の代わりに動くこともあるといいます。
北朝鮮のインターネット回線は中国の通信大手、中国連合通信(チャイナ・ユニコム)を経由しているため、今回のサイバー攻撃に関して、米国が中国に協力を要請したとみられています。
国境を越えたサイバー攻撃に一国だけで対応するのは無理で、国際的な協力関係を築いていく必要があります。
◆日本のサイバー防衛の現状
日本も決して他人事ではありません。日本の政府機関へのサイバー攻撃は、昨年度で580万件と前年度の5倍に増えており、約6秒に1回の割合で攻撃を受けているといいます。その9割が海外からのものです。
政府は、積極的にサイバー防衛に取り組んでおり、米国やオーストラリア、英国、NATO、シンガポールなどの国際社会と協力体制を築いています。
先月には「サイバーセキュリティ基本法」が制定され、内閣にサイバーセキュリティ戦略本部が設立されました。現行の国家安全保障会議(NSC)及び、IT総合戦略本部と緊密に連携しながら、各省庁をまとめる司令塔の役割を持った態勢が出来上がりました。
◆日本に必要な強化策
このように日本も少しずつ、防衛体制が作られていますが、深刻さを増すサイバー攻撃に、更なる強化策が求められています。 今後、日本に必要な強化策として、次の3点が考えられます。
(1)予算の見直し
米国のサイバー関連予算は13年の39億ドル(約4680億円)から14年には47億ドルに増加しています。
また、英国も10億ドル(1000億円)という予算を優先的にサイバー防衛に当てています。それに比べて日本のサイバー防衛予算は585億円(14年度)と少ないのが現状です。
(2)専門家の育成
サイバー防衛強化には、特に、専門部隊の育成がカギを握ります。いくらシステムや制度が充実していても運営する人材がいなければ意味がありません。
日本においてサイバー防衛の人材は人数として約8万人不足しているという試算があります。
米国は現行のサイバー司令部に、6200人規模の防衛・攻撃能力を持つ専門部隊を整備する計画を立てています。日本も今後、大学や企業と協力しながら専門家を集め、育成していくことが必要不可欠です。
(3)憲法9条改正
サイバー攻撃への対応は、国家安全保障上の重要な課題です。国家安全保障のためには、国際的な協力が必要であり、現行の日本国憲法では、自国を守ることも、国際社会との十分な協力体制を築いていくこともできません。
自国民の安全と国際社会の平和のためにも一日でも早く憲法改正を目指すべきです。
サイバー防衛協力も明記された日米防衛指針の改定を、国民の安全より公明党に配慮して、選挙に勝つことを理由に延期することなどあってはならないことではないでしょうか。
サイバー防衛には、国を守るために情報を管理する義務と同時に、個人の自由を担保しなければならない難しい問題があります。自由を守りながらどこまで政府が介入するべきなのかというジレンマを常に抱えています。
独裁国家がそのジレンマを嘲笑うかのように揺さぶりをかけています。しかし、この脅威に屈することなく、自由の大国を目指し、平和と繁栄を築いていくことが私たちの使命です。
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◆韓国政府、米軍慰安婦で"ブーメラン対応" 国策で慰安婦を奨励した事実を認めるべき
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8976
米兵を相手に慰安婦をしていたとする韓国人女性122人が、韓国政府を提訴していた問題で、初公判が19日、ソウル地裁で行われた。政府側の弁護人は、「違法行為を立証できていない」と述べ、原告の訴えに真っ向から反論した。
事の発端は、1950年代から70年代にかけて、米軍基地周辺に位置する「基地村」で、米軍の慰安婦として従事した女性が、今年6月に韓国政府を相手取り、ひとり当たり1万ドルの損害賠償を求めたことによる。政府を訴えた理由は、当時の朴正煕大統領が、売春行為を「外貨を稼ぐ愛国者」として奨励した上に、性病を予防するために、診療所を整備するなど、「積極的な関与」があったためだ。
一方の政府側の弁護人は、原告の主張を否定。「国家賠償の成立には、122人それぞれが、個別公務員担当者の具体的な行為などを立証する必要がある」とし、警察の黙認や保健所職員の強制検査と監禁などは、違法行為に当たることを証明すべきだとした。
◎韓国政府は米軍慰安婦を奨励
しかし、この対応は明らかに、従軍慰安婦問題で対日批判を続ける姿勢とは、矛盾していると言わざるを得ない。さすがに韓国側も、それには気づいているようで、同国の「ハンギョレ」紙は、「米軍慰安婦、私たちは日本右翼の妄言に堂々と答えられるか」(8月21日付電子版)という見出しで、ユ・スンフィ議員のインタビュー記事を掲載。ユ氏と言えば、昨年の国政調査で、朴元大統領が「基地村」に関与していた事実を突き止め、国会で初めて米軍慰安婦問題を取り上げた人物だ。
同記事の中で、ユ氏は、「かなり多くの女性が、人身売買や就業詐欺被害に遭って基地村に入って行った。(中略)そこから脱出しようとする女性を救うべき警察は、抱え主と癒着して責任を放棄した」と語っている。
また、米軍慰安婦が、1990年代より「基地村女性」と呼ばれたのは、日本の慰安婦問題と区別するためであったと指摘。「国会に『日本軍慰安婦及び戦時下での女性性売買関連小委員会』があり、私が米軍慰安婦問題にまで拡大して扱ってはどうかと提案している」という。
本誌・本欄で繰り返し述べているが、日本の従軍慰安婦問題には、一切の一次資料による証拠はなく、韓国側の「ウソ」が判明している。当時の日本は、女性を誘拐していた違法業者を取り締っていた事実もある。その点、国策として慰安婦を奨励していた米軍慰安婦問題とは、性格が大きく異なる。だが、韓国政府は現在、被害者に損害賠償や謝罪をする意思はないようだ。
韓国政府は、歴史を直視し、米軍慰安婦の解決に努力すべきだ。もちろん、ウソの歴史観に依拠する反日外交もやめるべきである。(山本慧)
【関連記事】
2014年12月23日付本欄 朝日慰安婦報道の報告書が公表 最大の論点は軍による強制連行の有無
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8972
2014年10月号記事 従軍慰安婦報道 朝日新聞は誤報の責任を取り国民に謝罪を - The Liberty Opinion 2
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8314
2014年2月26日付本欄 「慰安婦を管理していた」韓国公文書が話題に 韓国は自国民にこそ謝罪せよ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7455
◆米中の衝突は不可避? トゥキディデスの罠を回避できるか
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8975
ジャパンタイムズ誌のマーク・バレンシア氏が、米中関係の悪化と、両国の衝突が回避不可能な局面に近づきつつあることを指摘している。
歴史的に見ると、国際社会のトップにいる国はその地位を守るために現状維持を望み、台頭する国はトップにいる国につぶされることを懸念し、既存の国際ルールを自分に都合が良いように変えようとするという。
例えば、古代ギリシャでは、台頭するアテネと、それを恐れる覇権国スパルタの間で戦争が起きた。
アテネの歴史家・トゥキディデスによると、アテネとスパルタのような関係は、「台頭」と「恐怖」が支配し、必ず戦争につながるとした。現代では、トップにある国と台頭してくる国の間に起こる対立や軋轢を、「トゥキディデスの罠」と呼ぶ。中国とアメリカはこの罠を回避できるだろうか。
同氏によると、両国の関係は日を追って悪化しているという。アメリカにとって、中国に世界の覇権の一部を譲ることは、国の安全保障上あり得ない選択だとし、中国はその増大する力に見合った地位を求め続けるとした。
バレンシア氏や、多くの国際アナリストによると、米中関係はある一定の線を越えたら、国民・国家の認識や政策が「対立」へと流れ始め、そこから後戻りをすることは困難だとしている。その一線を越えた場合、両国に残された道は、お互いに真意を隠しながら戦争の準備をするだけだという。
実際、アメリカは「アジア回帰」を中国包囲網ではないとしながら、アジア・太平洋地域の米軍戦力拡大を図っており、中国にいたっては急速な軍拡が何のためなのかを説明していない。建前の裏で、両国がお互いを意識していることは明らかだ。
しかし、さらに重要な問題がある。国際政治には「トゥキディデスの罠」に見られるような冷徹なパワー・ゲーム的側面もあるが、何が正しく、何を国の理想とするかという、アイデアリズム的な見方もある。
米中の対立を見た東アジアや東南アジアの国々が、どのように善悪を見極め、地域の繁栄と平和のために、どちらの国が持つ思想が望ましいかという価値判断も、両国の影響力を左右するだろう。
不完全ではあっても、世界の自由と繁栄を支えてきたアメリカと、自国内でさえ自由を認めず、圧政と人権弾圧を繰り返す中国であれば、どちらの覇権がアジアの未来にとって望ましいかは明らかである。
違う言い方をすれば、いつか終わるであろうアメリカの覇権の次に世界を牽引する国は、アメリカ以上に自由や人権の担い手とならなければならない。少なくとも、中国のような前近代的な思想を持ち続けている国ではないことは確かだ。(中)
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2014年12月17日付本欄 「米中は衝突する」「日本は核を持て」 国際政治学の権威、ミアシャイマー教授が都内で講演
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2014年12月16日付本欄 衆院選後の安倍政権の課題とは? 憲法改正で緊張する米中関係とアジアの未来を拓け
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8903