夏原 想の少数異見 ーすべてを疑えー

混迷する世界で「真実はこの一点にあるとまでは断定できないが、おぼろげながらこの辺にありそうだ」を自分自身の言葉で追求する

新型コロナ(COVID-19)おかしなことだらけ⑩「日本以外の東アジアは頑張っている」

2020-04-20 17:48:53 | 政治
 メディアは、東アジア全体の状況をあまり伝えないが、欧米と比べると感染をかなり封じ込めている。
                          Total Cases      Total Deaths       Tests/1M pop
       感染確認数  確認死亡数  100万人当たり検査数
韓国       10,661    234       10,905
日本       10,296    222        880
シンガポール     6,588      11       16,203
インドネシア    6,248    535        144
フィリピン     6,087    397         511
マレーシア     5,305     88       3,114
タイ        2,765     47       1,440
香港       1,024     4         17,579
台湾        420      6        2,226
ベトナム      268     0        2,119
     (世界統計サイトworldmetersより抜粋)
 上記の表は、4月18日現在の感染確認数、確認死亡数、100万人当たりのPCR等検査数を中国を除いた東アジア主要国(地域)を比べたものである。これを見ると、香港、台湾が確認数、死亡数ともに突出して低く、全体として、欧米と比べれば、一桁下の数字となっているのが分かる。韓国、台湾、香港、シンガポールが比較的封じ込めに成功しているのは、マスメディアで報じられているが、その他の国もなんとか封じ込めている。100万人当たりの検査数が少ないのは、日本、インドネシア、フィリピンであるが、インドネシアとフィリピンは医療水準と財政の脆弱性のためであるので、致し方ないと思われるが、日本については、医療水準と財政の脆弱性は有り得ないので、政府の方針で意図的に検査を制限しているのが見て取れる。
 特に、ベトナム、タイ、マレーシアは検査数も日本よりはるかに多く、未検査の感染者はそれほど多くはないと考えられ、欧米と比べれば大きく感染を抑え込んでいる状況が見て取れる。
 東アジアが比較的抑え込んでいる理由を、ジェフリー・サックス:米コロンビア大学教授会会長 は、週刊東洋経済オンラインで、一般市民の疾病への意識の高さから、検査、検温、マスクの着用等への理解が進み、厳重な行動制限が可能になったことを挙げている。2003年のSARS やデング熱等の流行により、市民の疾病に対する警戒心から、 自主的な防御行動と国家による規制にも理解があったということである。
 この指摘は、断片的にメディアから報じられることでも、至極納得ができると言える。結局、東アジアが欧米より今のところ被害が小さい決定的な理由は、コロナウイルスに対する警戒心の強さから、特に行動制限が早い時期から行われたことによると考えられる。ヒトからヒトへの感染は、人どうしの接触を減らす以外にはなく、それは自粛であれ、強制であれ、行動制限という措置をとらざるを得ないのだ。
 最も早い段階で動いたのは台湾で、昨年12月に異常な肺炎の情報を得て、すぐに中国本土との出入国での検疫を始めている。韓国も1月28日には、国境での権益措置を開始し、2月の初旬には外出制限を課している。その他の、東アジアの国々も、同様に2月の中旬には行動制限を始めている。日本は、まがりなりにも2月25日に政府の「基本方針」が発表され、2月26日にイベント等自粛要請が行われた。
 それに対し、欧米の動きはほぼ1か月、遅れている。外出禁止等の行動制限が発表されたのは、イタリア3月9日、ドイツ3月12日、スペイン3月15日、アメリカ3月16日である。1か月遅れの間に、欧米では市中における感染の拡大が始まっていたと考えられる。
 日本の行動制限は欧米より早いとはいえ、他の国と比較すると、極めて緩やかである。WHO上級顧問・渋谷健司氏はこの状況を「手遅れに近い」「4月8日に出された非常事態宣言ですが、タイミングとしては1週間遅れた」(AERA Dot.4/18)という。また、神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授は 「とりわけ東京で、感染拡大を止めるために最も効果的なのは、いわゆるロックダウンだ」 (ロイター日本語版4/20)という。欧米よりいくらかは早く動き、今のところ欧米より惨禍は小さい日本だが、この生ぬるい行動制限は、終わりの見えないコロナ惨禍を覚悟しなければならないだろう。



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