途中、高速道路を使いました。
スリップしないよう用心して運転しますが、冬用タイヤに交換しているので安心感があります。
次第に空が明るくなり、阿蘇の外輪山の内側(カルデラ内)に入る頃は雪がチラチラと舞いはじめました。
根子岳の登山口に到着し頂上を見上げても、稜線のギザギザは雪雲に隠れて見えません。
今回は根子岳南麓の上色見から地獄谷を詰めて南峰をめざします。
40年ほど前に根子岳に登った時は、夕方頃に南阿蘇辺りから荷物を担いで歩き(夜間ロード)、真っ暗闇の中で牧場にテントを張りました。
翌朝、テントから顔を出すと、真正面に朝日を浴びた根子岳が凄い迫力で私たちを睨みつけていました。
そして根子岳のギザギザした稜線が、
『さあ、来るなら来い!』
とでも言っているように感じました。
私たちは歩いて根子岳の北側に回り込み、崩壊した岩と砂に足を取られながら谷を登り詰めギザギザの稜線に出たのですが、天狗峰の下まで進んだ時、その垂直にそそり立つ岩壁に恐れをなして引き返したのでした。
今回はギザギザの稜線を歩くわけではなく、ましてやあの時断念した天狗峰に登るわけではありません。
しかし、40年経った今でも、根子岳は私にとって懐かしの山であり、ほろ苦い青春の想い出の山なのです。
登る準備を整えた今回の5人のメンバーは、地獄谷へと続くコンクリート道を歩きはじめました。
しばらく歩くと、それまで雪雲に隠れて見えなかった天狗峰が正面に姿を現したのです。