酒呑みの詩(うた)
元旦は、恵方を向きて、向こう1年間の家内安全無病息災を祈り屠蘇を呑む。
1月は、「大寒小寒酒の燗、裸で相撲風邪ひかん」などと強がりを言いながら酒を呑む。
成人の報国精神を願いつつ、酒呑み仲間の新たな参入を大いに歓迎し、また酒を呑む。
2月は、待ちわびた立春を喜び、節分の豆を肴に酒を呑む。
天照大神の国造りに思いを馳せ、天宇受売命(※1)の踊りを想いながら、また酒を呑む。
3月は、上巳(※2)の節句を祝い、女性に義理を欠いてはと白酒にお付き合いして酒を呑む。
「梅は咲いたか、桜はまだかいな」と風流人を気取って、また酒を呑む。
4月は、大きなランドセルの新一年生に「頼むよ!」と呟きながら酒を呑む。
「桜が咲いた」と言っては酒を呑み、「桜が散った」と言っては、また酒を呑む。
5月は、端午の節句を祝い、腕白でもいいから心豊かな児に育って欲しいと酒を呑む。
「目に青葉 山時鳥 初鰹」は「季節に合ったいい句だね」と言って、また酒を呑む。
6月は、「雨は天からもらい水」と自然が織りなす梅雨に感謝して酒を呑む。
茅の輪をくぐり「夏越(※3)しの祓えする人は 千歳の命延(の)ぶというなり」と唱え、また酒を呑む。
7月は、七夕の節句に牽牛と織女の浪漫に浸ろうと天の川を仰いで酒を呑む。
夏負けを乗り切ろうと土用の鰻を食べ、暑い暑いとメタボの腹を抱え、また酒を呑む。
8月は、終戦記念日に国の礎となった戦没者の霊を慰み、不戦の誓いも堅く酒を呑む。
先祖を偲び、来し方を懐かしみ「昔はよかった」と嘆きながら、また酒を呑む。
9月は、重陽の節句と風流を粧い、盃に菊の花びらを浮かべ酒を呑む。
旬の旨み「いも煮会」を作った先人の素晴らしい感性に感心しつつ、また酒を呑む。
10月は、「白玉の歯にしみとおる秋の夜の酒は静かに飲むべかりけり」が酒呑みの神髄。
名月に芋を供えたり、栗を供えたり五穀豊穣を神々に感謝し、また酒を呑む。
11月は、立冬に冬の暖房を尋ぬれば、暖房完備と徳利を振って酒を呑む。
職辞して自由人になればこそ耳の痛い「勤労感謝の日」厚かましくも、また酒を呑む。
12月は、博愛の精神を遺憾なく発揮し、宗派を超えてクリスマスを祝って酒を呑む。
大晦日(※4)、今年は何をしたかって、今になってはもう遅い煩悩憎しと、また酒を呑む。
このように酒呑みは何かと理屈をつけて、一年365日毎日酒を呑む。
(註)※1:あめのうずめのみこと ※2:じょうし ※3:なごし ※4:おおつごもり
元旦は、恵方を向きて、向こう1年間の家内安全無病息災を祈り屠蘇を呑む。
1月は、「大寒小寒酒の燗、裸で相撲風邪ひかん」などと強がりを言いながら酒を呑む。
成人の報国精神を願いつつ、酒呑み仲間の新たな参入を大いに歓迎し、また酒を呑む。
2月は、待ちわびた立春を喜び、節分の豆を肴に酒を呑む。
天照大神の国造りに思いを馳せ、天宇受売命(※1)の踊りを想いながら、また酒を呑む。
3月は、上巳(※2)の節句を祝い、女性に義理を欠いてはと白酒にお付き合いして酒を呑む。
「梅は咲いたか、桜はまだかいな」と風流人を気取って、また酒を呑む。
4月は、大きなランドセルの新一年生に「頼むよ!」と呟きながら酒を呑む。
「桜が咲いた」と言っては酒を呑み、「桜が散った」と言っては、また酒を呑む。
5月は、端午の節句を祝い、腕白でもいいから心豊かな児に育って欲しいと酒を呑む。
「目に青葉 山時鳥 初鰹」は「季節に合ったいい句だね」と言って、また酒を呑む。
6月は、「雨は天からもらい水」と自然が織りなす梅雨に感謝して酒を呑む。
茅の輪をくぐり「夏越(※3)しの祓えする人は 千歳の命延(の)ぶというなり」と唱え、また酒を呑む。
7月は、七夕の節句に牽牛と織女の浪漫に浸ろうと天の川を仰いで酒を呑む。
夏負けを乗り切ろうと土用の鰻を食べ、暑い暑いとメタボの腹を抱え、また酒を呑む。
8月は、終戦記念日に国の礎となった戦没者の霊を慰み、不戦の誓いも堅く酒を呑む。
先祖を偲び、来し方を懐かしみ「昔はよかった」と嘆きながら、また酒を呑む。
9月は、重陽の節句と風流を粧い、盃に菊の花びらを浮かべ酒を呑む。
旬の旨み「いも煮会」を作った先人の素晴らしい感性に感心しつつ、また酒を呑む。
10月は、「白玉の歯にしみとおる秋の夜の酒は静かに飲むべかりけり」が酒呑みの神髄。
名月に芋を供えたり、栗を供えたり五穀豊穣を神々に感謝し、また酒を呑む。
11月は、立冬に冬の暖房を尋ぬれば、暖房完備と徳利を振って酒を呑む。
職辞して自由人になればこそ耳の痛い「勤労感謝の日」厚かましくも、また酒を呑む。
12月は、博愛の精神を遺憾なく発揮し、宗派を超えてクリスマスを祝って酒を呑む。
大晦日(※4)、今年は何をしたかって、今になってはもう遅い煩悩憎しと、また酒を呑む。
このように酒呑みは何かと理屈をつけて、一年365日毎日酒を呑む。
(註)※1:あめのうずめのみこと ※2:じょうし ※3:なごし ※4:おおつごもり