建て替え計画の現場にて
解体が済んで仮整後に
改良工事に取り掛かった状態。
※現場での柱状改良工事
(仮称)和モダンの深い味わいを程よく感じる光井戸と室内に暮らしの庭がある家
今回の建築地では既存の建物解体後に
新築建物の配置位置で
地盤調査を行った際に
柱状改良が必要になる土地でした。
※現場での柱状改良工事
地盤面下の状態について。
そもそも柱状改良とは何なのかというところですが、
住宅建設の際は、
ついつい上物である「建築物」に
注目しがちです。
ですが、設計は多岐にわたり
建築物以外についても、
様々な検討事項があります。
見積もりに
計上する事になる場合も
多いのですが
「柱状改良工」という項目。
地盤
土地の上に建設する建物は、
平均的な木造2階建ての住宅でも
約30トン(294,000N)の重量があります。
この重量を受け止められるだけの
強い地盤がなければ、
建物が傾いたり沈んだりします。
※建物個別の広さ(坪数)や階数、間取りや素材、工法により異なります
また、最悪のケースでは
土地が崩れてしまう場合もあります。
結果として
建物も倒壊する危険があるのです。
そのため、
建物の重量を受け止められない地盤の場合、
地盤改良工事や杭工事、固化を実施します。
地盤改良工事の種類
地盤改良工事は、地盤の状態に合わせ複数あります。
その中から適切なものを選び、地盤補強していきます。
代表的な物には、次の3種類があります。
・表層改良工法
・柱状改良工法
・小口径鋼管杭工法
つまり柱状改良工法というのは、
地盤改良工事の一つです。
柱状改良工法を中心に、
三種類の地盤改良工事の特徴も少しだけ。
表層改良工法
表層改良工法は、
その名前の通り地面の表面部分
に施される改良工事です。
地盤の軟弱な部分が
地表から2m程度に限られる場合は、
表層部分を掘削して
セメント系固化材を混ぜた土で締め固めます。
小口径鋼管杭工法
軟弱地盤に鋼管杭を打ち、
地中から建物を支える工法です。
地中30mまでの地盤補強が可能で、
地中の固い地盤にまで
鋼管杭を打ちます。
工期が短く、
狭小地でも工事が可能な
工事です。
柱状改良工法
一般的な宅地の
地盤改良工事では、
この柱状改良工法によるものが
多くなります。
地上3階以下、
さらに高さ13m以下の建物で、
軒高が9m以下、
延べ面積500平米以下の
小規模建物や、
中規模建築物に適用されます。
砂質土や粘土質の
地盤改良が可能です。
最大改良長は12mで、
改良径は400~1,200mmです。
工法の特徴
地盤改良したい土地の土と、
セメント系固化材を使い
地盤内に柱状の補強体を作ります。
地盤の強さや
建物の重さなどに応じて
何本の補強体を作るか
計算により異なります。
改良径というのは、
補強体となる柱の太さ、
最大改良長は
柱の長さと考えると
分かりやすいかと思います。
最大改良長は12mとなっていますが、
実際には調査の結果に基づき
2~8m程度の深さまで
軟弱な地盤がある場合に
この工法がよく用いられます。
5~10m程度
軟弱地盤がある場合には
小口径鋼管杭工法が
適用となる事が多いです。
補強体は杭基礎とは異なり
建物の基礎にはなりません。
建物が傾いたり沈んだりするのを
防ぐ目的で施工します。
平均的な戸建ての
延べ床面積が
30坪程度(二階建て)でしたら、
杭の長さや工事のしやすい
場所なのかどうか
にもよりますが
最近の相場ですと
柱状改良工事は
70~90万円程度かかります。
地中2mよりも深い位置まで
軟弱地盤がある場合でも、
小口径鋼管杭工法に比べ、
低価格で工事が可能です。
このため、
宅地の地盤改良工事としては、
一般的に施工されています。
杭を打つ工法では杭の先端を、
固い地盤をもつ支持層まで
到達させる必要があります。
ですが、
柱状改良杭の場合には
支持層まで到達できなくても
施工可能なケースもあるのです。
これは柱状改良杭の
軸径が大きいためで、
補強体の周面摩擦力が
大きいためです。
その土地の土と
セメント系固化材を混ぜ合わせ
補強体となる柱を作る工法が
柱状改良工法です。
そのため、
土地の地質によっては
柱状改良工法の
施工ができない場合もあります。
適用となるのは砂土質や
粘土質の土質をもつもので、
有機質土の場合は
柱状改良工法の施工はできません。
これはセメント系固化材が固まらず、
固化不良が
発生することがあるためです。
有機質土の他、
火山灰質粘性土も
固化不良が
発生する危険があります。
地中にセメント系固化材を混ぜた
補強材を埋め込むこの工法では、
原状復帰も難しくなります。
固化させた補強体を
取り除く費用が掛かるため、
賃借地では
施工が難しいケースもあります。
また、将来売却する希望がある場合は、
土地価格の低下の懸念があります。
柱状改良杭の軸径も多いため、
狭小地では施工できない場合もあります。
柱状改良工法は、
軟弱地盤状に建物を建てる際に
実施される地盤改良工事の一つです。
一般的な地盤改良工事の一つで、
多くの宅地の
地盤改良に使われていますが
その都度調査の結果により
土地の状態や建物の規模などを加味して
本数や直径、
深度などが異なります。
施工可能な業者は多いのですが、
一方で施工経験や
技術の差が出やすい工法です。
また、施工後取り除くことが難しく、
一部の地質では
施工できない場合もあります。
施工にあたっては
十分な検討が必要です。
家造りの際には
様々な検討要素がありますが
そういった部分にも
様々な観点からの配慮が大切。
地震や災害といったところからも
どちらの意味でも
絶対はあり得ません。
暮らしの安全面の担保を
どこまで考えるのかも重要ですよ。
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