四代目桶屋金之助の世界

おろかなるひとり言
胸を張れるような自慢話などはありません。
照れくさい話や恥ずかしい話ばかりです。

友部正人 『乾杯』

2021-02-25 10:15:23 | 音楽
1972年(昭和47年)2月28日、あさま山荘にて人質救出。
連合赤軍犯人5人逮捕。
夕方のニュースは各局ともあさま山荘からの生中継だった。

この日のことを友部正人さんが歌っている。
『乾杯』※一部省略
♪電気屋の前に30人ぐらいの人だかり
 割り込んでぼくもその中に
 「連合赤軍5人逮捕 泰子さんは無事救出されました」
 金メダルでもとったかのようなアナウンサー
 かわいそうにと誰かが言い
 殺してしまえとまた誰か
 やり場のなかったヒューマニズムが今やっと電気屋の店先で花開く
 いっぱい飲もうかと思っていつものやき鳥屋に
 するとそこでもまた店の人たち
 ニュースに気を取られて注文も取りにこない
 お人好しの酔っぱらいこういう時に限ってしらふ
 ついさっきは駅で腹を押さえて倒れていた労務者にはさわろうともしなかったくせに
 泰子さんにだけはさわりたいらしい

 ニュースが長かった2月28日をしめくくろうとしている
 死んだ警官が気の毒です
 犯人は人間じゃありませんって
 でもぼく思うんだやつら
 ニュース解説者のように情にもろく 
 やたら情にもろくなくてよかったって
 どうして言えるんだい
 やつらが狂暴だって
 新聞はうすぎたない涙を高く積み上げ
 今や正義の立て役者
 見だしだけでもってる週刊誌 
 もっとでっかい活字はないものかと頭をかかえてる
 整列して機動隊
 胸に花をかざりワイセツな賛美歌を口ずさんでいる
 裁判官は両手を椅子にまたがせ
 今夜も法律の避妊手術
 巻き返しをねらう評論家たち
 明日の朝が勝負だとどこもかしこも電話は鳴りっぱなし
 結局その日の終わりにとりのこされたのは
 朝から晩までポカーンと口を開けてテレビを見ていたぼくぐらいのもの

 乾杯 取り残されたぼくに 
 乾杯 忘れてしまうしかないその日の終わりに
 乾杯 身もと引き受け人のないぼくの悲しみに 
 乾杯 今度逢った時にはもっと狂暴でありますように

この日、中学1年生だった自分。
学校から帰るとテレビをじっと見ていた。
犯人逮捕。
捕まった5人の名前が出てくる。
その中に少年A・B兄弟がいた。

翌日、学校での朝の話題はあさま山荘事件だった。
その日、担任から意外な事実を知らせてくれた。
少年Bだったかと思う。(自分の記憶が間違ってなければ)
自分が通う中学の卒業生だった。
少年Bは担任の教え子だった。
そして少年A・B兄弟の父親は学校の先生。
担任の先輩であった。

担任の授業は、少年Bの中学時代の話しになった。
昨日見たテレビ中継は遠い世界の出来事のように思っていた。
しかしそれが身近な事件になるとは思わなかった。

中学1年生の僕たちにとってこれは衝撃的だった。
あさま山荘事件についてテレビなどで報道されると
あの日の授業が思い出される。

乾杯 友部正人  

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
怪談爺さんへ (四代目桶屋金之助)
2021-02-26 10:17:02
少年の逮捕後、この地方では父親や家庭環境などが話題になったかと記憶してます。
担任の先生が少年の父親のことを語ったとき、
少し涙ぐんでいたのが忘れません。
返信する
八丁堀さんへ (四代目桶屋金之助)
2021-02-26 10:12:47
もしこの少年A・Bが私の住んでいる地元の人でなければ、
自分も何も考えずに関心を持たなかったかと思います。
生中継の時に警官や機動隊の人たちが雪の中でカップヌードルを食べていたのがものすごく記憶に残っています。
返信する
住吉さくらさんへ (四代目桶屋金之助)
2021-02-26 10:07:33
コメントありがとうございます。
別人になってしまう人たち。
それはどういう過程で変わっていくのか、
第3者にとって正直なところその気持ちは分かりません。
長いコメントからの感想などコメント返しができなくて申し訳ございません。
返信する
カニさんへ (四代目桶屋金之助)
2021-02-26 10:00:07
恩師の子どもたちが、あのような事件を起こした事はショックだったかと思います。
あの事件から約半世紀がたちました。
いつまでたっても忘れられない記憶として残るのでしょうか。
そんなことを思いました。
返信する
あさま山荘事件 (快談爺)
2021-02-25 18:21:12
当地方在籍の兄弟だった、父親は教師でした、教えお被った先生でしたが、あの事件から、先生は霞んで見えた。
返信する
Unknown (八丁堀)
2021-02-25 17:40:34
こんにちは

重機で吊るした鉄球で壁に穴を開けて・・・
その中継を見てました。子供でしたから、何の考えもなく、画面をみているだけでした。
返信する
別人になってしまった友達 (住吉さくら)
2021-02-25 16:16:15
四代目桶屋金之助さんこんにちは。

私は中学校に入ってすぐ吹奏楽部に入りました。そしてユーフォニアムを吹き始めました。
当時、同じ学年の人でユーフォニアムの人はもう一人いました。男の子でした。
彼は明るい人で、冗談も言う人でした。優しい人で、本当にいい人でした。
彼は私よりずっと上手でした。ですが彼は吹奏楽部を辞めました。私は彼が吹奏楽部の教師に不満を持っていた事を分かっています。
彼とは中3で初めて同じクラスになりました。その時彼は既に別人でした。
彼は誰とも話さず、ずっと一人でした。私が話しかけても何も答えませんでした。彼はまさに廃人でした。私は中学校の時、彼の母親に何かあったという事を誰かから聞いたような気がします。
私は怖かったです。ですが彼が怖かったのではありません。彼が変わってしまった事、そして彼の未来がどうなるかが怖かったです。
私は高校の時に出会った人で、同じ学校にいなかったある男の人に、あの別人になってしまった男の子の事を大人になって彼の事を話しました。するとなんとその人は彼を知っていました。
そして私は彼から驚愕の話を聞かされました。あの男の子はその後、人を刺して逮捕されたそうです。
また、私とは別の高校に通っていたある男の人は、高校の時、彼が同じ学校にいたと言っていました。そして私はその人からも驚愕の話を聞かされました。彼はいつも悪い事をして教師に怒られていたそうです。

悪い事をした人でも元々悪い人だとは限りません。別人になってしまう人もいます。私はその事を最悪の出来事で実感してしまいました。

もし彼に何もなければ、彼も私たちと一緒に関西の代表になり、格好良く拳を握って喜んだかもしれません。そして彼もあの夢の真っ黒なステージに立っていたかもしれません。

私はたまに悪い事をした人よりその人を叩いて楽しむ人の方が嫌な事があります。他人を叩いて楽しんでる人は自分も悪い事をする人になっていたかもしれない事、そして自分が悪い人を叩いて楽しんでいるクズである事に気が付いてさえいないんですよね。
返信する
教師は担任 (カニさん)
2021-02-25 10:58:09
3兄弟の父親は小学校の担任でした
ハンカチを忘れて叱られた記憶が
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