ようちゃん@ちばらき

ちばらきは千葉県と茨城県の県境地域。利根川と地平線の向こうに見える筑波山が郷愁を誘う今日この頃。

どうする日本!?

2009年01月25日 | てれんこてれんこ
2002年からの日本経済の景気回復は輸出がもたらしたもの。
自動車中心のアメリカ向け輸出と部品や工作機械などの中国向け輸出が
主なものだった。中国輸出は、間接的なアメリカ向け輸出と考えることができる。
その輸出が激減してしまった今、有効需要の拡大策が緊急に必要とされている。

そこで、財政拡大政策を取った場合、いかなる対象に向かうかが問題だ。
公共投資は地方部の道路整備だけではない。
都市における交通インフラストラクチャや住宅環境の整備も必要だ。
そして、日本の都市におけるそれらは、著しく不十分な水準のままに
とどまっている。鉄道と道路の平面交差が多く、開かずの踏み切りが放置された
ままだ。大都市における通勤輸送手段は明らかに能力不足であり、非人間的な
通勤環境が解決されていない。住宅水準は依然として貧弱だ。
高度成長期に建てられた公共建築物などで、耐用年限がきたものが多数存在する。
したがって、日本の都市環境を改善するための投資は、これまでも必要だったし、
これからも必要だ。
しかも、こうした状況を改善するには厳しい時間的な制約がある。
人口構造の高齢化が進むと、経済全体の貯蓄率がさらに低下し、投資余力は
低下する。たぶん、今は、日本経済として大規模な投資を行なう最後のチャンス
である。

ただし問題は、財政支出が増えたとしても、それが都市インフラの整備に
向かうかどうかだ。日本の現実の政治状況を見れば、増大した財政支出が
地方部のムダな公共投資の復活になってしまう可能性は強い。
財政支出は政治的なプロセスで決定されるから、いかなる資源配分がなされるかは
、政治の質に依存する。現在の日本では、経済政策を実行する政治・行政メカニ
ズムにあるバイアスは、無視しえぬ大きな問題だ。

景気対策的な必要性と長期的な資源配分修正の必要性がたまたま一致した
絶好のチャンスを目の前にしながら、政治の無策と混乱のために、その好機を
利用できないで終わってしまう可能性は、極めて大きい。現在の日本が直面
している危機は、経済の危機であると共に、政治の危機である。

週刊ダイヤモンド 2009/01/24 P133