ツインピークス

『HEAVY RAIN』や『ALAN WAKE』などのゲーム作品で度々言及・引用されていたので『ツインピークス』を観てみることに。遠い記憶の片隅で両親が観ていたような記憶と以前ＷＯＷＯＷのインターバルタイムに劇中テーマ音楽がかかっていたために、テーマ曲が死ぬほど耳にこびり付いたことが想起される。


―『TWIN PEAKS』ＤＶＤ公式（パラマウント・ジャパン）


デビッド・リンチ作品は『マルホランド・ドライブ』と『インランド エンパイア』のみしか観たことなかった。好きは好きだけどとっつきにくさは凄いなぁと思ってたので、『ツインピークス』はそんなことがなくサスペンスという確固たる切り口があるのでとっつきやすさに驚いた。しかもその中で監督の不条理な世界観がちょちょこと顔を出してるのがとても心地良い。日本の小劇場系ドラマの不条理演出とは根本的に異なった不条理が根を張ってるので笑わそうとしておらず（笑うけど）イラッとしない。

音のしないカーテンに執着するアイパッチ姿のガソリンスタンドオーナーのエドの妻、ネイディーン。丸太を我が子のように抱える通称「丸太おばさん」など変な人物や演出が山のよう。でも一番変なのが一応の主人公である、ＦＢＩのクーパー捜査官。パッと見は神経質そうな典型的なエリート捜査官であるのに、気さくで甘いものに目がないという茶目っ気を見せ、他方では常にボイスレコーダーを携帯しいちいち捜査内容を吹き込んだり、チベット精神世界に傾倒しお告げのような夢を手がかりに捜査をするという変質性も併せ持っている。





この分かりやすい魅力は何かに似てるなぁと思ったけれど、テレビ版＆劇場版『うる星やつら』、ＴＶ版＆ＯＶＡ版『機動警察パトレイバー』及び劇場版『機動警察パトレイバー』とか『攻殻機動隊』の時の押井守監督に近いと思える。外部の力が強いととんでもなく面白いエンターテイメントになる一方で、監督の力が一方的に強くなると劇場版『機動警察パトレイバー２』はまだ良いとして『天使のたまご』とか『イノセンス』みたいな面白くも分かりにくい映画になってしまうところとか特に。


それにしても『ツインピークス』は謎はもとよりそれ以上にこのアメリカ北東部のカナダ国境そばの小都市っていう世界観というか登場人物が魅力的過ぎる。


（追記）シーズン２まで観ると…出演者のインフレ、恋愛関係のインフレ、事件のインフレが強まって楽しみにくくなった。シーズン１の謎説きと街と登場人物の関係性、雰囲気が面白かったのに。ホワイトロッジとブラックロッジの設定やレッドルームは面白い。『ペルソナ』のベルベッドルームってこれだったのか。劇中内劇の『Invitation to Love』がなくなったのは寂しい。というかシーズン１が良すぎた。