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なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

ファイトクラブ

2010-04-01 | 休み
名前は知ってるけれど、観たことの無い映画を観るブーム。これって11年も前の映画なのか。エドワード・ノートンはこんな感じの役ばっかりだったんだなぁ。というか何でこの映画を今まで観てこなかったんだろう。ちょっと前に話題になった海外のフリスクのCMはこれのパロディだったと分かった。


ファイトクラブ


面白くて、すっきりする。陰々滅々とした日々を消費財で欲求を満たすことでその他の欲求をすべて代替させてしまっているって少しでも思えたら、映画を観ている間少しだけ軽やかな気持ちになる。部屋にある消費財、所有物を捨てられるのかといえば、それ自体がアイデンティティになってしまっているので難しい。でも裏返せば、それらを捨て去ればそれにこびりつくものも捨てられる。

ファイトクラブの思想や行動を無政府主義っぽく加工はしてるけれど、どう見てもタイラーがやろうとしていることは共産主義革命。所有欲を否定し、ブランド品で固めた自分の部屋を爆破して、痛みや恐怖心もすべて捨て去り職業や地位すらも放棄しろと迫る。そんでもって治安をびん乱し、挙句の果てには資本主義的な大規模チェーンやクレジットカード会社等を爆破するという大ラス。

タイラーの消費社会に対する否定的な意見を聞くと、見田宗介の『現代社会の理論』を思い出した。

面白いのは無政府主義的な破壊を標榜し、暴力描写が盛りだくさんのはずなのにあんまり痛そうじゃない。脂肪吸引された脂肪とかが流れ出したり、血もドバドバ流れ、顔が変形するほど殴られる描写がたくさんあるのに目を背けるような痛みを感じさせるような描写じゃなくて、”ツル”っと入ってくるような滑らかというか、綺麗な暴力描写。いや汚くはあるんだけれど痛くは無い。その点ではお手軽で消費社会的。


物語的カタルシスも大きいけれど、構成のカタルシスがより大きい。前半の演出が後半回収されていき、綺麗に収束する。すんげー気持ち良い。この気持ち良さってどこと無く『アダプテーション』に似ている。あれも前半の演出が後半で物語とともに綺麗に救い上げられていって結末にしても主人公のモヤモヤが打開されてすっきりする。

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