マコトさんが、実の両親と縁が薄かったという話は聞いていた。
小さな子どもと接したことがなくて、赤ちゃん抱いたことなんか
一度もないや、って話していたのも知っている。
その話と現実のギャップを差し引いても、
マコトさんの息子の溺愛ぶりは、常軌を逸していた。
「ぬりかべ屋」を畳むという話まで出たほどだ。
実際、赤ん坊が生まれる前後を手伝ってくれた安さんがいなければ、
店は畳まれていたかもしれない。
「未来」みらい と名付けられた男の子をマコトさんは本当に可愛がった。
子どもの写真をお店に貼るのはまだ許せるとしても、
鳴き声が聞こえると、客がいようとお構いなしに赤ん坊に駆け寄るマコトさんに
客はあきれかえった。
再び客足が途絶える。
ユミさんの両親が未来をさらっていかなければ
本当にお店はつぶれていたかもしれない。
ユミさんの母親が放った一言。
「半端なラーメンしか作れない男に、娘を嫁がせた覚えはない」
そして父さんも。
「未来に誇れる仕事をしなさい」
二発のパンチを食らったマコトさんは、
三日経ってようやく立ち直った。目が覚めた。
その代わり、お店の営業時間が変わった。
客のあるうちは、遅くまで開いていたぬりかべ屋が、
8時の鐘を聞くと、暖簾をおろした。
早く閉まることで、店は前より長い行列をしょった。
マコトさんが人を好きになるとお店が変わる。
未来の誕生は、思いがけない方向にぬりかべ屋を引っぱっていくことになる。
小さな子どもと接したことがなくて、赤ちゃん抱いたことなんか
一度もないや、って話していたのも知っている。
その話と現実のギャップを差し引いても、
マコトさんの息子の溺愛ぶりは、常軌を逸していた。
「ぬりかべ屋」を畳むという話まで出たほどだ。
実際、赤ん坊が生まれる前後を手伝ってくれた安さんがいなければ、
店は畳まれていたかもしれない。
「未来」みらい と名付けられた男の子をマコトさんは本当に可愛がった。
子どもの写真をお店に貼るのはまだ許せるとしても、
鳴き声が聞こえると、客がいようとお構いなしに赤ん坊に駆け寄るマコトさんに
客はあきれかえった。
再び客足が途絶える。
ユミさんの両親が未来をさらっていかなければ
本当にお店はつぶれていたかもしれない。
ユミさんの母親が放った一言。
「半端なラーメンしか作れない男に、娘を嫁がせた覚えはない」
そして父さんも。
「未来に誇れる仕事をしなさい」
二発のパンチを食らったマコトさんは、
三日経ってようやく立ち直った。目が覚めた。
その代わり、お店の営業時間が変わった。
客のあるうちは、遅くまで開いていたぬりかべ屋が、
8時の鐘を聞くと、暖簾をおろした。
早く閉まることで、店は前より長い行列をしょった。
マコトさんが人を好きになるとお店が変わる。
未来の誕生は、思いがけない方向にぬりかべ屋を引っぱっていくことになる。