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御前崎でがっつり乗った連休後、オイラは秋田出張であった。
取引先の会社に指導を施すという大それた仕事である。
最終日は従業員を食堂に集め集合教育をしちゃったりした。
こういうことする年齢になったんだなぁ、と思ったりもした。
内容がヘビーでそこの取引先と縁を切るかどうするかが前提の仕事なのだ。
そこの会社にいる人たちは、みんなマジメで純粋。
東北の県民性だ。
そこをオイラの判断で切ったら恨みも買うし、
従業員は路頭に迷うし、経営者は債権者に追われる羽目になる。
でもダメなのを承知で付き合っていたら自分の会社にマイナスになる。
とてもとてもヘビーな仕事なのだが、まあこれは誰かがやらねばならない。
恋多き女がいつも男を振るように、
ローリング・ストーンズは転げ続ける石であるように、
ウインドサーファーは新しい道具を毎年欲しがるように、
オイラは取引先を監査し然るべき判断をし続けるのだぁ~。
で、バック・トゥ・湘南。
東海道で藤沢に立ち寄り、地元では有名な居酒屋に行った。
美味しい日本酒を飲んだ。宗玄。
気持ちがふわ~っと解放される。
よいツマミが欲しくなった。
メニューに目をやると、どうしても食べたくなったものがあった。
【くさやの酒浸し】
微塵の迷いもなくそれを頼んだ。
20年ほど前に新島土産のクサヤを食べたことがあるのだ。
びっくりするニオイだったが20年もするとあの強烈さは忘却の彼方、
興味があって是非食べたくなったのだ。
小さく裂かれた身が小鉢に入って目の前に置かれた。
小鉢を手に取り、顔に近づけ、ニオイをかいだ。
思わず大爆笑するほどのニオイ。
まるでウンコそのものである。というかウンコ以上である。
オイラは居酒屋で出すメニューだから、ニオイはあまりしないと思っていたのだ。
しかしそのニオイたるや半端じゃない。
まわりの客が迷惑すんじゃね?と思うくらいなのだ。
一体どういうニオイかというと、
ウンコを食った人がしたウンコを1週間ビニール袋に入れて
真夏の真っ暗な物置で発酵させ、
それに醤油と日本酒を入れた、ウルトラスーパーグレート香ばしいカオリなのだ。
オイラは早速ハシでそのウンコの塊をつまんで口に入れた。
美味しいことはわかっている。
確かに美味しい。 トビウオのうま味が凝縮されている。
問題はその後だ。
クサヤを飲み込んでから、鼻から深~く息を出す。
鼻の奥にウンコが塗りたくられてるような錯覚に陥る。
鼻から出す息で目まいがする。倒れそうになる。
目の前に連れがいたんだけど、オイラの鼻息をかいで
「ふざけんな!」と顔をしかめ、激怒し、やがて臭すぎて笑う。
一瞬意識というか感覚がもうろうとする。
日常生活であり得ない感覚なのだ。
自分の鼻からウンコ臭が出ることなどは!
そこへ日本酒をちびりと飲み込む。
日本酒の味と香りがウンコの刺激臭を和らげ、
ちょうど脱糞した後の安堵感にも似た安心感を思わせる。
クサヤ食べる、鼻から息を出す、酒呑む、これを2,3回繰り返す。
安堵管から、多幸感へと感じ方が変わってきた。
これはまさに食のドラッグである。
ドラッグのやってはいけないという罪悪感は満足感や幸福感を助長させる。
ウンコの、いやいや、クサヤの食べてはいけないかも!が幸福感を助長させる。
ブルーチーズとトスカーナワインが合うように、
臭いものとエレガントなものは合うかもしれない。
藤沢からの帰り電車、小さく息をして周囲に気を配った。
誰かがウンコ踏んだか、ウンコもらした臭いが車内にしたら、異臭騒ぎになってしまうからな。
オイラは翌朝、自分のウンコがどうなっているのか少し期待した。
クサヤと同じ臭いか、あるいはオイラ本来のウンコの臭いか。。。
で、よくわからなかった。
言われてみればクサヤだし、言われてみれば自分のだし。
(↑誰に言われてみたのかな?)
さて、それから週末までホントに鉛のようなヘビーな仕事が続いたのであった。