トレイルレースの楽しみの一つに「友達ができる」ということがある。
あまりの苦しさに、近くを走るランナーとその苦しさを共有すると、励みや力になる。
「きついっすね~」「そうっすね~」から会話が始まる。
5月に出た道志村トレイルレースで知り合った2名のランナー。
(彼らは最後数キロで、オレの数百メートル前にいた。どうしても距離が縮まらなかった)
クリッチ君というナイスガイがこのブログでコンタクトしてくれ、
そして昨日6/17、再会し、ともに高尾山で走った。
彼ら含め総勢8名。
うち、道志完走者5名。来月の北丹沢エントリー者5名。
本気度満載のパーティーである。
今回は裏高尾からアプローチ。
地元の人じゃないとわからないところが登山口。
今回は高尾在住のトレイルガイドも一緒。
大変心強い。(後半、ロストしちゃったんだけど!!)
裏高尾から堂所山までアップダウンが激しくすげー負荷が高い。
しかもここ数日の雨で粘土質の路面はヌルヌルツンツルテン。
足を滑らせ宙に舞う者、前方に飛び頭から着地する者、転倒者続出である。
途中、トレイル女子御一行とすれ違う。
話をするとなんと前日22時から走っているんだと。
彼女たち、UTMFのTシャツを着ている100マイラーでした。
こちらは道志村レースの完走記念で走ってる、と言ったら、変態!と言われた。
その言葉、そっくり返します。
裏高尾コースは初めてなんだけど、アップダウウンあり、しかも走れるパートもたくさんある。
じわじわと足にくる。疲れが早くやってくる。
前日ちゃんと走ったのをちょっと後悔する。
陣馬山到着14キロ。
陣馬は2回め。白い馬の像がそびえ立ってる。
まさにそびえ立つ、というか、反り立つ、が正しい表現。
ええええ????な頭の形をしてるのだ。
もともと、陣馬じゃなく、陣場が正解。
北条軍が武田軍の備えとしてここに砦を築いたのだ。
だから陣場山。
それを1950年代に白馬の像を立てた。
で、陣馬山になった。 観光目当てということである。
ここには売店があり、テーブルを多く配置した東屋もある。
ここで昼食休憩。
小雨の降るあいにくの天気。走るにはいいが座っていると徐々に身体が冷える。
さあ、ビールを飲みに山を下りよう!とトレイル再開。
ザックを背負うが、胸ベルトのポッケのファスナーが開いているのに気づく。
ない。iPhoneがない。
すぐに思い出した。
明王峠という陣馬まで4キロの地点で、ティッシュの出し入れをしたんだ。
そのとき落としたに違いない。
場所を特定するため、仲間のiPhoneで「iPhoneを探す」モードにした。
オレのappleIDを入力すると地図が出てくる。
地図に表示された青印がオレのiPhoneの場所だ。
早速、青印目指して走る。どんどん走る。
しかし青印が移動している。誰かが拾って下山している様子だ。
加速して追いかける。 しかし、距離が縮まらない。
iPhoneを拾った人はトレイルランナーなのか???
だいぶ走ってから極めて重要なことに気がついた。
追っていた青印は、自分の現在地だったのだ。
地図を拡大したら、iPhoneのマークが陣馬山にあった。
こういうことだ。
明王峠でオレのiPhoneを拾ってくれた方がいて、そのまま陣馬に向かった。
その途中、電波が弱いところがあり、「iPhoneを探す」には表示されなかったのだ。
それに気が付き、また大特急で陣馬に引き返した。
自分のiPhoneに電話したところ拾った方が出てくれた。
「反り立つ馬」のそばで待っている、と言ってくれた。
ならば急いで行かないと。 お待たせさせるわけにはいかない。
たぶん他の連中より4キロは多く走っている。しかも真剣に(*´ω`*)
iPhoneは無事に戻ってきた。ドロだらけで。
いつもはポッケのファスナーをところどころで確認する。
しかし、この日は抜けていた。こういう日は気をつけないと。
なにかの予兆ってこともある。
先に下山した仲間にやっと追いついた。
というか、待っていてくれた。
みんな揃って再スタート。
ここ高尾山系には、巻道が多い。
アップダウンを迂回してフラットに走る巻道である。
チームは2班に分かれ、即席レースが始まった。
直線チームvs巻道チーム。
分岐はまた合流する。そこがゴール。
オレは巻道チームに入った。
もう登りはノーサンキュー。陣馬引き返しでえれー疲れてる。
第1ヒート。 直線チームの勝ち。
第2ヒート。 1ヒートと違って、思い切り飛ばせる巻道だ。
とにかくバンバン行ける。それに楽しい。
チームは4人。ガンガン走ってると、その巻道に分岐が現れた。
おかしい。
本線と合流せず、また分岐があるということは、これは巻道ではない。
やっちまった。完全ロストである。
ここは巻道チームとなったナビゲートガイドどーもと君のジャッジに従った。
「迷ったら登る」
目指す景信山の方向はGPSで確認できる。
道なき山肌を直登した。
5歳のころ、家の裏に山があってそこは遊び場だった。
「そこに行ってはいけない」と親に言われたことはない。
好き勝手に遊んだ。
そこで大転倒して膝の骨が露出するほど大怪我をした。
それでも、山には行くな、とは言われていない。
影信目指して直登したとき、その5歳の頃の山遊びを思い出した。
腐った葉が土に変わりつつあるときに発するあの香り。
とてもとても懐かしい気分になった。
山はいいな、と思った。
とにかくとても楽しい。道なき山肌を登る、降りるは最高に楽しい。
ロスト場面で不謹慎ではあるけれど、必要最低限の荷物に地図を持って、
こういうところを延々と登る。きっと楽しいに違いない。
レースで眼の前に迫る壁を見て、愕然としながらもココロの何処かでウキウキする。
オレっておかしいのかと思ってたけど、謎が溶けた。
山を登る行為は最高の遊びだったのだ。
山肌を登り終えると、本来の巻道に出た。
巻道を走る。本線に合流した。
景信山頂をパスし、高尾山を目指す。
かなり時間が推してた。
小仏峠分岐で、先に走っていた直線チームが待っていてくれた。
帰宅、ビール乾杯、風呂、を逆算する。
高尾山口には3時には到着していたい。
だから高尾山経由ではなく、小仏から下ろうということだ。
もう疲労マックス。ショートカット大賛成。
このコースは下り林道になる。
下り林道は、がっつり足にこたえるのだ。
サブ3ランナーのクワバラ君が先頭を走る。
サブ3だと足の骨成分や分子構造が明らかに違う。
レーシングサスペンション内蔵で、上体が一切動かないのだ。
なんとか食らいつこうと走るが、1m、1mと離される。
そして林道終了。ロードに入る。
小仏バス停に、なんとBBQステーションがあり、そこの「ビール冷えてます」のノボリに吸い込まれるのが3名。
生き残った5名はロードを高尾山口に向かって走り始める。
クワバラ君、クリッチー君が前を行く。
いやー、ふたりともいい走りをする。
後ろから見てて気持ちがいい。とても楽しそうにリラックスして走っている。
その後ろを追いかける。
だいたい真剣モードで走ると追いつくものだ。今までそうだった。
ダメ。追いつけない。
ウオッチを見る。キロペース4分10~15秒。
まあ、アップダウンのトレイル走ってきて、それでこの速さで走ってる自分もよく走ってる。
いつもなら走っていない。ここは歩いている。
一緒に走る人たちのおかげだ。とてもいい刺激になった。
道志村トレイルレースの後半、追いつけない彼らを目の前に、またもやその場面が再現された。
次はキタタンでどこまで迫れるか!!! 楽しみができた。
甲州街道に出た。
セブンイレブンに寄った。
ビールを買った。
みんなのシューズは泥だらけ。
それもいい。キレイなラリーカーはかっこ悪い。
ドロだらけでナンボだね。
高尾山口から電車に乗り八王子で降りる。
八王子駅から数百メートルの銭湯に向かう。
ドロだらけトレイルの格好で街を歩く。
すれ違う女子高生がこう言ってた。
「うわー、あの人達、まじで走ってたんだ!」
かっこいいいか悪いかはわからないけど、まあ多分かっこ悪いだろう。
汗とドロで足を引きずって歩いてる。
でも、マジで走ってきたんだよ~。
すげー楽しかったよー!
で、風呂入ってビールを飲む。
オレはビールはサブ3だ、という名言を誰かが言った。
北丹沢12時間山岳耐久レースまであと20日。