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オイラは5年前、北東が吹くと三浦野比に通っていた。
北東でクロスオフのスラロームゲレンデ。
芝生でセッティングできるし水道があってまさにビーチパークといったいい雰囲気だった。
そのころはスラローム仲間がいてよく競争したものだ。
セイルサイズは7.3がメインで、『今日はよく吹いたな』なんて言ってた。
ある日、友達が血相変えてビーチに向かってプレーニングしてきた。
ビーチに着くやいなや、道具を放り出し、トイレに向かってダッシュしていった。
数分後、彼は泣きそうな顔でトイレから出てきた。
ハヤテのように駆け込んで、カメのように出てきた。がに股で帰ってきた。
古くて硬化したセミドライは、焦るほど脱げなくて、ウンコがセミドライとケツの間で爆発したらしい。
爆発といってもスローな感じで、肛門から出たウンコが、
肌と生地の隙間隙間へとどんどん入り込みアメーバの細胞分裂のように増殖していったらしい。
まわりにいた連中は、オイラも含めて、『エンガチョ!』と叫んで、
蜘蛛の子を散らしたように彼から遠のいた。
真冬の三浦で彼は極寒の海でセミドライを脱ぎ、ケツまわりとセミドライを洗った。
そいつは転職や結婚を機にウインドから遠ざかった。
ウエーブの楽しさを知る前だったので仕方ないなと思ったけど、
ウンコ爆発で小学生のイジメにように仲間が逃げていったので、
それが原因だとオイラは思っている。
後に本人から聞いたのだが、決して不快な感じではなかったらしい。
むしろ懐かしい妙な感覚で、赤ちゃんの頃のウンコおむつベロベロ状態と同じだと言っていた。
ウンコをもらすと赤ん坊の頃に回帰できる。喜怒哀楽がない、快か不快だけの世界。
素晴らしい!
オイラが精神科医なら学会の発表はこうだ。
『幼少期の精神癒着に対するウンコ癒着の考察~あるウインドサーファーの臨床報告~』
彼はウンコを出し切ってしばらくした後、それはまるで接着剤をケツまわりに塗られた感じで、
その接着感さえ我慢すれば決して悪いものではないと言い張った。
負け犬の遠吠え。北風は微風なれど、3.7オーバーの便意、スラローマー便器に激沈す!
オイラは野比の帰り道、ちょっとウンチ臭い彼とその彼女と3人で鎌倉のすし屋に行った。
彼氏がウンチもらしても、その彼女は怒らず(むしろあきれた)アフターウインドについてきた。
(その彼女は銀座の化粧品メーカーで香水の調合をしていた。
ジャコウの匂いはウンコの1万倍臭いと言っていた。
彼のウンコ臭は蚊のウンコと同じと言っていた。
オイラは蚊のウンコを知らない。)
そこは鎌倉の文学館そばの『小花寿司』といって、たぶん世界で一番旨いすし屋だ。
スキー時代の後輩の実家で、その後輩はSIAの女性デモンストレーターだった。
オイラは先輩風吹かせて店に行った。
小花寿司は故夏目雅子のお気に入りの店で彼女は生前しょっちゅう来ていたらしい。
『いい女優だった。というよりオーラがさすような人だったね。。。』オイラは生エビの握りを食った。
『いやー、ウニうまいっすね!』ウンチ野郎がオイラの話を聞かず今日もらしたウンコを食った。
いや、ウニを食った。
『ここのご主人は彼女の結婚式の仲人だったんだよ。』オイラはイクラを食った。
『いやー、今日海水でウエット洗ったじゃないすか。
このウニそのとき流れ着いたウンコだったりして!』
ウンチ野郎はまたウニを食った。
当時は車でウインドに行って、帰りに平気で居酒屋に行ったりしたんだ。
三浦の城門では浴びるようにビールを飲んだ。
今なら死刑だ。
寿司を食ったら飲む飲む!
胃の中はイクラとエビとトロやヒラメやハマチがビールと日本酒でグチャグチャになっていた。
『じゃ、またね!家に返ってちゃんとケツ洗えよ!』
オイラは赤いエスティマに乗り込みR134に入った。
胃の中のグチャグチャは腸でしっかりフィルタリングされ、
アルコールをたっぷり含んだ水分がちょろちょろ膀胱へ進んだ。
膀胱にはレベルゲージがある。
車のエンジンにオイルレベルゲージがある。あれと同じだ。
酒を飲むとレベル信号が鈍感になる。
アラーム信号が届いたときは、『凄くオシッコした~いのよベイビー』状態になるのだ。
その状態は稲村を越えたあたりでやってきた。
稲村ジョーン、ジョンジョロリン♪ザッツ稲村くらシッコ!(これは今考えた)
土曜の夜はほんと頭に来るほど渋滞する。
女性は子宮で考えるように、オイラの思考はやがて膀胱へ移動して行った。
でもオイラには強力な助っ人がいた。
携帯トイレ渋滞君だ。
そのときオイラにケチケチ根性が出てしまった。
渋滞君を使うのはもったいない。
『今ここで使っても、江ノ島あたりでまたしたくなったら意味無いし!』
車はやがてプリンス駐車場のハンバーガー屋の前に来た。
オイラはハンバーガー屋にどうやって車で乗り付けるのかわからなかった。
有料駐車場に入るという認識が無かったんだ。
『あれ!ここのハンバーガー屋ってパーキングないじゃん!』
あれよあれよでハンバーガー屋を過ぎてしまった。
そしたらその先にトイレを見つけた。
車を路肩に停めて小走りでトイレに向かった。
そこは有料トイレで管理人のオヤジがシャッターを閉める途中だった。
管理人は最悪なオヤジで時間だからといってオイラを入れてくれなかった。
言い争う余裕などオイラには1ミリもなく、ただただ走って折り返したに過ぎなかった。
車に再び乗り、最後の切り札を出した。渋滞君をビニールのパッケージから出した。
男性用と女性用がある。
入り口に小細工がしてあって女性用にだけアタッチメントがある。
オマタにパコッ!と被せるタイプだ。
手の平で水をすくうような感じにしてください。パコッと!
オイラはまたまた教訓を得た。
『車内でオシッコするときは車を安全なところに停めてから』
携帯電話と同じである。
車内オシッコは安全上好ましくない。罰金5000チンになります。
我慢していたオシッコというのは物凄い勢いである。
渋滞君の説明書には『尿をしたあと尿がゼリー状になるまでシェイクしてください』とあった。
シェイクの必要は無かった。
ションベンの勢いでかってにゼリー粉末がカクハンされた。
そのぜりーはスライムのように袋からあふれ出た。
『うおおおお!!!!!!』
車は緩やかに動いていたが、とっさに急ブレーキをかけた。
オイラは足を閉じた。
宇宙生物のようなスライムの落下を食い止めるためキュッ!とももをくっつけた。
これがやばかった。
渋滞君は無残にもオイラの両足に閉じられたため、
内部の宇宙生物を全部吐き出すことになった。
前回は地獄のサタンに送り返してやろうと思ったけど、今回は無理だった。
ウルトラマンは宇宙生物スライムに負けてしまった。
ウルトラマンはカッコ悪いことにまたしてもパンツを膝まで下ろし、
100メーター以上も前方の車と間があいたため、後ろの車にクラクションを鳴らされた。
カラータイマーは消灯してしまった。
オイラはウンコ野郎のことを思い出した。
ウンコは臭いけど、ケツとウエットを洗えば済む。
オシッコスライムは車のシートを滅ぼした。
ただ不幸中の幸いはゼリーがフルーツ味だったことだ。
(ん?味?飲まねーだろ!)
これは究極の選択に似ていた。
ウンコ味のカレーか、カレー味のウンコか、というのに似ていた。
アントニオ猪木に渾身の1発食らうか、小学生に100発くらうか。
ウインドも寿司も台無しの一日でした。
七里ガ浜、あ々無情