最新号のHi-Windに、あの日の記事があった。
『Shonan Sweet Spring Storm
ウエイブ番長、石原智央の小さな旅
2010.03.21/逗子、大崎、シークレット、三浦
湘南 ディープ インパクト』
↑ 全然sweetでねえし!
海で会うローカル間ですでに伝説になりつつある、あの3月21日。
またちょっとそのことに触れたくてペンをとった、っつうかキーボードを打ってる。
その日はサンデイウエーバーがぎりぎり臨める、
ビッグウエンズデイならぬビッグサンデイ。
湘南で10年、20年に一度のスペシャルデイ。
番長ですら4.0クソオーバー。
アウトはマストクラスのウネリ。
ブレークはダブル。
風は猛烈なサイドショア。
茅ヶ崎は本当にあの映画のように、ビーチにはギャラリーが集まり、
限られた選ばれし者、かつ、いっちゃってる人々のライディングが展開された。
みんなマトモではない。カタギの人はあんな海に出ない。
でも、それこそ羨望というものだ。
カッコよすぎるぜい! 羨望の眼差しでウエーバーを見る。
オイラも羨望されてーのだ。
今日はその日しかなくて、20年後にはオイラは老人でもはやウエーブはできないはず。
そしたら乗らなくてはいけない。ぜってー乗らなくてはいけないのだ。
でもコワイ。コワスギマス!
オイラは一時不摂生な生活で65キロになったが、
以降改心し、規則正しい生活で57キロまで体重が落ちた。
少し体格のいいレディースと同じである。
まあ、海面を眺めて悩んでてもしょーがない。意を決して出艇した。
出た瞬間、小柄で軽量なオイラに3.9㎡はでかすぎた、と後悔をした。
番長が4.0クソオーバーなら、オイラは3.2以下で十分なのだ。
アウトに出た。実生活では絶対体験できない世界がそこにあった。
心臓がバクバクし、瞳孔はたぶん全開。
マバタキなどできない。
マバタキした瞬間、目の前の風景が変わっているかもしれないからだ。
沈してウオーターのレディーポジションをとる。
風が強すぎてマストがV8エンジンのエグゾーストパイプのように振動する。
多分オイラのチンチンは極限に縮小して、股間だけ見るとまさにレディース状態だった。
ブローって海面が黒くなるでしょ。
でももっとブローがきつくなるとどうなると思う??
目の前の海面が真っ白になり、いたるところスプレーでモヤになるのだ。
空は快晴、目の前はスモーク。
スモークオンザウオーター、ふぁいやいんざすかいっ!!♪
口の中がカラカラになり、無理につばを飲み込もうとすると、
その反発でノドチンコが勃起してノドを塞いでしまうくらいのヤバヤバ感ワールド。
しばらく耐え耐えで乗ってると。。。人間の精神状態とは不思議なものだ。
完全にイッチャッテル自分を自覚できた。
あまりの緊張や恐怖を超えると、それを抑え付けるものが出るんだな。
アドレナリンです。脳内モルヒネです。自己抽出カナビスです。コロンビアハッパです。
その出た物を固めて錠剤にして販売したいくらいオイラは放出した。
末端価格100万円くらい。
あの日出てた連中は笑ってましたなあ。
みなさん、バイニンでした。
実はその後、オイラは数週間、不思議な思想が頭の中でグルグルしてた。
なぜウインドしなくていけないのか、だ。
そこまでして乗る必要があるのか??
その後の4.5、5.0がどうでもいい感じにさえ思えてきた。
もしかしたら、さらに良い波を求めるか、一気にウインド熱が下がってしまうか、
そこまで考えてしまうほど強烈なウインドを経験してしまったのだ。
あくまでオイラの体験上なので、御前崎では当たり前のコンディションかもしれないし、
まだまだ力量が足りないんだな、と思ったら少し救われたんだけど、
もっと救われる理由があった。
それはその夜飲んだビールが人生で一番うまかったことだ。
ビールは『神の水』と身をもって味わったことだ。
酒を味わうには雰囲気と料理というが、それは全くを持ってウソだとわかった。
自分の置かれた状態と誰と飲むかなんだな。
3月21日はそれがよくわかったってことだ。
ウインドは楽しすぎるし、そう思って飲むビールはうめーっす!ってことでオシマイ!
(2009-2010冬シーズンの集大成!iPhone壁紙ちゃん)