『本当は危ない有機野菜』 もっと知りたい方のために。。
どうぞ、ご参考に。
本の主張でもある 『有機栽培において、施用する有機物の質と
量を、法律で規制しなければならない』と考えるのは、このよう
な試験結果や現場の現況があるからです。
法律で規制がない、というよりも、むしろ法律でリサイクルが推
奨されているからこそ、データがあまりないのだという現実 を
ご理解いただきたいです。
そして水に住む生物の変化から、水の富栄養度〔有機汚染〕を目
視することはできます。その本が、『里地里山』本と なります。
よろしかったら。
↓
1.有機農業の落とし穴 病原菌汚染
堆肥施用による不安のひとつに堆肥を介した抗生物質耐性細菌の汚染がある。
筑波大では,豚糞堆肥を毎年4t/10aずつ10年間以上連用した圃場では,ま
ったく施していない圃場に比べて全細菌数が約20~30倍,抗生物質耐性細
菌は10倍と報告している。
2.有機農業の落とし穴 蓄積
東京農業大学の試験では
堆肥の多量施用を数年続けていると微量要素欠乏が発生する。有機栽培を
続けている圃場11か所の土壌の物理性・化学性・生物性を10年以上にわた
って追い続けた愛知県農業総合試験場の試験では、生物性や物理性は良好にな
っているものの「化学性については施用有機物中に高濃度で含有される成分が
土壌中に蓄積」していくことを報告し,有機物の施用量について注意を喚起し
ている。一般に飼料中の銅、亜鉛の吸収率は銅が10%、亜鉛が20%程度である。
3.ある農業改良普及所の実験データ
一般に飼料中の銅、亜鉛の吸収率は銅が10%、亜鉛が20%程度である。また、
重金属濃度は濃縮され、銅の場合は、飼料からふんへは4倍、ふんから堆肥
へは2倍になるといわれてる。堆肥中に含まれる銅、亜鉛量は、給与量と子
豚、肥育豚、繁殖豚の頭数構成によって、変動すると思われる
4.コーデックスのガイドラインから見た日本のたい肥の問題点
「慣行の家畜ふん尿には,有機農業で禁止された化学物質が,餌から持ち込
まれて含まれている。コーデックスやEUの規定は,有機農業で禁止された物
質をある程度含んでいる家畜ふん堆肥を使用することを認め,多量に含んで
いるケースを排除している。しかし,日本の規定では,餌にどれだけ多量に
添加しようとも,ふん尿を堆肥化する過程で添加したのでなければ,有機農
業で使用することを認めている。この点は国際的に問題になりうる。 」
5.有機物施用に規制をかけている例 / 群馬県
「現実は理想社会の形成に向けて素直に動くばかりではない。企業等が,有
機性廃棄物を堆肥にして農家に循環利用してもらうことを計画したとしても,
堆肥が売れなかったらどうするであろうか。企業等の中には,農地への堆肥
の施用上限が法律で決められていないことから,金を払って農家と契約して,
莫大な量の売れ残りの堆肥や,廃棄物そのものを堆肥と称して耕作放棄地に
施用したり野積みしたりする可能性を否定できない。現に2003年に群馬県
で通常の施肥量を大幅に超える肥料と称する廃棄物の投与計画が判明し
た。周辺地域住民の心配する事例が発生したのである。幸いこの件につ
いては,行政,警察と地元住民の取組によって未然に防止できたそうで
あるが,循環型社会を目指す陰で恐れられていた出来事であった。」
6. 下水汚泥の重金属過剰について 英国に比較して日本が遅れている実例
「このプロジェクト研究から,イギリスは下水汚泥の重金属影響について,
金と時間をかけてしっかりしたデータを作り,その上で下水汚泥の農地還元
についての政策を見直そうとしている姿勢がうかがえる。日本もこうした姿
勢を見習いたい。 また,土壌の重金属汚染について,日本はEUよりも規制が
ゆるく,畑地の銅や,畑地と水田の亜鉛については何らの規制もない。下水
汚泥だけでなく,家畜ふん堆肥からも亜鉛や銅が投入されている。重金属に
汚染された土壌の修復には時間と莫大な金がかかる。問題が深刻になる前に,
日本も適正な規制を行なうためのデータ集積を体系的に行なう必要がある。」
補足 2007年2月22日 読売新聞
農水大臣登録の汚泥発酵肥料は昨年度現在、全国に約850件あるが、うち
約200件は生産されていない。日本土壌協会の猪股敏郎専務理事は「作物
に合うよう品質を高めるなどの課題を克服できず、苦戦している企業は多い」
と話す。
産廃減らしを急ぐ自治体の期待と場当たり的支援。技術を開発したり販路を
拡大できない企業の力不足。企業の試行錯誤を支援する仕組みも乏しい。
徳島県内では今、数か所の農地に大量投入されたエコ社の肥料をめぐり、住
民が撤去を求めている。
吉野川の中州の一角(国有地)には、平均的な施肥量の30倍に当たる肥料
が投入された。土地の借り主はエコ社の元役員。野菜を栽培し、肥料を宣伝
する狙いがあったが、作物栽培の様子はない。周辺農家は悪臭を訴え、県廃
棄物問題ネットワークの深田君代代表(62)は「肥料に含まれる重金属な
どによる環境汚染が心配。こんな大量投入は、産廃の不法投棄と同じ」と憤る。
7.ちなみにウィキペディア / 有機栽培で使用されるたい肥の問題点
近年の「有機栽培ブーム」に伴い、堆肥の利用が増えているが、堆肥は製法
によりその成分が大きく違ってくるので、取り扱いには十分な注意が必要で
ある。
未熟堆肥による障害
未熟な堆肥を施肥すると様々な障害を及ぼす恐れがある。
酸素障害-易分解性の有機物が完全に分解されていない堆肥を施肥すると、土
壌中で有機物の分解が起こり酸素障害が作物の根や土壌生態系に大きな打撃
を与える。
カリウムの放出
カリウムのみに注目すると、堆肥は速効性肥料である。そのため、堆肥の施
用量は、堆肥に含まれているカリウムの量に制限される。しかし、通常、堆
肥だけを肥料とすることは行われない(堆肥だけを肥料とすると、窒素成分
が不足するからである)。そのため、カリウム過剰が発生しやすくなる。
なお、堆肥を数年雨ざらしにしておくことで、カリウムは雨に溶けて流亡す
る。このような堆肥を施用してもカリウム過剰にはならない。但し、堆肥か
ら流れたカリウムが地下水汚染につながることもある。なお、日本では畜産
農家が堆肥を雨ざらしの状態で積んでおくことは、法律で禁止されている。
抗生物質
動物用の医薬品が家畜に投与された時の排泄物は、抗生物質が含まれている。
この抗生物質入りの排泄物で作った堆肥の安全性はまだ明らかにされていない。
塩類問題
生ゴミ、家畜ふんには塩分が含まれる。そのため、作物に塩類濃度障害が起
こる可能性が指摘されている。
重金属問題
家畜ふん特に豚糞と鶏糞は、比較的銅や亜鉛の重金属が多く含まれる。
8.西尾道徳(にしおみちのり)教授のお話 昭和44年東北大学大学院農学研究科博士課程修了(土壌微生物学専攻),同年農水省入省。草地試験場環境部長,農業研究センター企画調整部長,農業環境技術研究所長,筑波大学農林工学系教授を歴任。現在,明治大学農学部兼任講師。
日本では「家畜排泄物処理法」でスラリーの貯留や家畜ふん堆肥の製造を,雨水を遮断する覆いのある不浸透性の素材で作った施設で行なうことが義務づけられている。しかし,スラリーや家畜ふん堆肥の農地への施用量,施用時期,施用方法などについては,水質汚濁防止の規制を受けるような表流水への直接投入や,悪臭防止法の規制を受けるような悪臭をまき散らす方法での散布でない限り,何らの規制もない。
また,施肥について都道府県が施肥基準(施肥標準)を作成しているが,この基準は農業改良普及センターが農業者を指導する際のガイドラインとして使用されているものの,法的拘束力は全く持っておらず,施肥基準を超える過剰施肥が日常化している。
9.追加資料・・・質問いただいた件について
MENIMOサンの疑問点について は、こちら 。
マロンさんの疑問点について は、こちら 。
窓の菜園さんの疑問点について は、こちら 。
10.おまけ
新型インフルエンザ発生に関する こんなニュース も あります。
「<emoji code="h420" /> 夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
どうぞ、ご参考に。
本の主張でもある 『有機栽培において、施用する有機物の質と
量を、法律で規制しなければならない』と考えるのは、このよう
な試験結果や現場の現況があるからです。
法律で規制がない、というよりも、むしろ法律でリサイクルが推
奨されているからこそ、データがあまりないのだという現実 を
ご理解いただきたいです。
そして水に住む生物の変化から、水の富栄養度〔有機汚染〕を目
視することはできます。その本が、『里地里山』本と なります。
よろしかったら。
↓
1.有機農業の落とし穴 病原菌汚染
堆肥施用による不安のひとつに堆肥を介した抗生物質耐性細菌の汚染がある。
筑波大では,豚糞堆肥を毎年4t/10aずつ10年間以上連用した圃場では,ま
ったく施していない圃場に比べて全細菌数が約20~30倍,抗生物質耐性細
菌は10倍と報告している。
2.有機農業の落とし穴 蓄積
東京農業大学の試験では
堆肥の多量施用を数年続けていると微量要素欠乏が発生する。有機栽培を
続けている圃場11か所の土壌の物理性・化学性・生物性を10年以上にわた
って追い続けた愛知県農業総合試験場の試験では、生物性や物理性は良好にな
っているものの「化学性については施用有機物中に高濃度で含有される成分が
土壌中に蓄積」していくことを報告し,有機物の施用量について注意を喚起し
ている。一般に飼料中の銅、亜鉛の吸収率は銅が10%、亜鉛が20%程度である。
3.ある農業改良普及所の実験データ
一般に飼料中の銅、亜鉛の吸収率は銅が10%、亜鉛が20%程度である。また、
重金属濃度は濃縮され、銅の場合は、飼料からふんへは4倍、ふんから堆肥
へは2倍になるといわれてる。堆肥中に含まれる銅、亜鉛量は、給与量と子
豚、肥育豚、繁殖豚の頭数構成によって、変動すると思われる
4.コーデックスのガイドラインから見た日本のたい肥の問題点
「慣行の家畜ふん尿には,有機農業で禁止された化学物質が,餌から持ち込
まれて含まれている。コーデックスやEUの規定は,有機農業で禁止された物
質をある程度含んでいる家畜ふん堆肥を使用することを認め,多量に含んで
いるケースを排除している。しかし,日本の規定では,餌にどれだけ多量に
添加しようとも,ふん尿を堆肥化する過程で添加したのでなければ,有機農
業で使用することを認めている。この点は国際的に問題になりうる。 」
5.有機物施用に規制をかけている例 / 群馬県
「現実は理想社会の形成に向けて素直に動くばかりではない。企業等が,有
機性廃棄物を堆肥にして農家に循環利用してもらうことを計画したとしても,
堆肥が売れなかったらどうするであろうか。企業等の中には,農地への堆肥
の施用上限が法律で決められていないことから,金を払って農家と契約して,
莫大な量の売れ残りの堆肥や,廃棄物そのものを堆肥と称して耕作放棄地に
施用したり野積みしたりする可能性を否定できない。現に2003年に群馬県
で通常の施肥量を大幅に超える肥料と称する廃棄物の投与計画が判明し
た。周辺地域住民の心配する事例が発生したのである。幸いこの件につ
いては,行政,警察と地元住民の取組によって未然に防止できたそうで
あるが,循環型社会を目指す陰で恐れられていた出来事であった。」
6. 下水汚泥の重金属過剰について 英国に比較して日本が遅れている実例
「このプロジェクト研究から,イギリスは下水汚泥の重金属影響について,
金と時間をかけてしっかりしたデータを作り,その上で下水汚泥の農地還元
についての政策を見直そうとしている姿勢がうかがえる。日本もこうした姿
勢を見習いたい。 また,土壌の重金属汚染について,日本はEUよりも規制が
ゆるく,畑地の銅や,畑地と水田の亜鉛については何らの規制もない。下水
汚泥だけでなく,家畜ふん堆肥からも亜鉛や銅が投入されている。重金属に
汚染された土壌の修復には時間と莫大な金がかかる。問題が深刻になる前に,
日本も適正な規制を行なうためのデータ集積を体系的に行なう必要がある。」
補足 2007年2月22日 読売新聞
農水大臣登録の汚泥発酵肥料は昨年度現在、全国に約850件あるが、うち
約200件は生産されていない。日本土壌協会の猪股敏郎専務理事は「作物
に合うよう品質を高めるなどの課題を克服できず、苦戦している企業は多い」
と話す。
産廃減らしを急ぐ自治体の期待と場当たり的支援。技術を開発したり販路を
拡大できない企業の力不足。企業の試行錯誤を支援する仕組みも乏しい。
徳島県内では今、数か所の農地に大量投入されたエコ社の肥料をめぐり、住
民が撤去を求めている。
吉野川の中州の一角(国有地)には、平均的な施肥量の30倍に当たる肥料
が投入された。土地の借り主はエコ社の元役員。野菜を栽培し、肥料を宣伝
する狙いがあったが、作物栽培の様子はない。周辺農家は悪臭を訴え、県廃
棄物問題ネットワークの深田君代代表(62)は「肥料に含まれる重金属な
どによる環境汚染が心配。こんな大量投入は、産廃の不法投棄と同じ」と憤る。
7.ちなみにウィキペディア / 有機栽培で使用されるたい肥の問題点
近年の「有機栽培ブーム」に伴い、堆肥の利用が増えているが、堆肥は製法
によりその成分が大きく違ってくるので、取り扱いには十分な注意が必要で
ある。
未熟堆肥による障害
未熟な堆肥を施肥すると様々な障害を及ぼす恐れがある。
酸素障害-易分解性の有機物が完全に分解されていない堆肥を施肥すると、土
壌中で有機物の分解が起こり酸素障害が作物の根や土壌生態系に大きな打撃
を与える。
カリウムの放出
カリウムのみに注目すると、堆肥は速効性肥料である。そのため、堆肥の施
用量は、堆肥に含まれているカリウムの量に制限される。しかし、通常、堆
肥だけを肥料とすることは行われない(堆肥だけを肥料とすると、窒素成分
が不足するからである)。そのため、カリウム過剰が発生しやすくなる。
なお、堆肥を数年雨ざらしにしておくことで、カリウムは雨に溶けて流亡す
る。このような堆肥を施用してもカリウム過剰にはならない。但し、堆肥か
ら流れたカリウムが地下水汚染につながることもある。なお、日本では畜産
農家が堆肥を雨ざらしの状態で積んでおくことは、法律で禁止されている。
抗生物質
動物用の医薬品が家畜に投与された時の排泄物は、抗生物質が含まれている。
この抗生物質入りの排泄物で作った堆肥の安全性はまだ明らかにされていない。
塩類問題
生ゴミ、家畜ふんには塩分が含まれる。そのため、作物に塩類濃度障害が起
こる可能性が指摘されている。
重金属問題
家畜ふん特に豚糞と鶏糞は、比較的銅や亜鉛の重金属が多く含まれる。
8.西尾道徳(にしおみちのり)教授のお話 昭和44年東北大学大学院農学研究科博士課程修了(土壌微生物学専攻),同年農水省入省。草地試験場環境部長,農業研究センター企画調整部長,農業環境技術研究所長,筑波大学農林工学系教授を歴任。現在,明治大学農学部兼任講師。
日本では「家畜排泄物処理法」でスラリーの貯留や家畜ふん堆肥の製造を,雨水を遮断する覆いのある不浸透性の素材で作った施設で行なうことが義務づけられている。しかし,スラリーや家畜ふん堆肥の農地への施用量,施用時期,施用方法などについては,水質汚濁防止の規制を受けるような表流水への直接投入や,悪臭防止法の規制を受けるような悪臭をまき散らす方法での散布でない限り,何らの規制もない。
また,施肥について都道府県が施肥基準(施肥標準)を作成しているが,この基準は農業改良普及センターが農業者を指導する際のガイドラインとして使用されているものの,法的拘束力は全く持っておらず,施肥基準を超える過剰施肥が日常化している。
9.追加資料・・・質問いただいた件について
MENIMOサンの疑問点について は、こちら 。
マロンさんの疑問点について は、こちら 。
窓の菜園さんの疑問点について は、こちら 。
10.おまけ
新型インフルエンザ発生に関する こんなニュース も あります。
「<emoji code="h420" /> 夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」