グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

大量の有機物による環境破壊は、こんな場面にも。

2019-12-16 23:20:22 | Weblog
​​大量の有機物による環境破壊は、こんな場面にも。
深刻な漁業被害や樹木を枯死させてしまうほどのフン害をもたらしてい
るカワウのはなし[​こちら​]の関連として、南方熊楠と昭和天皇 所縁の
神島[​こちら​]関連の回を再録しました。2011年分ですが ご参考に。



​大量の有機物でおこった環境破壊のいち例/2011年11月分​​

昭和天皇と南方熊楠ゆかりの神島・・・その神島の植生および島の形が
危機に瀕しているのをご存知ですか? 

原因は1990年ころからはじまった島への大量の有機物の搬入です。

そう聞くと、いったいだれが、そんなにたくさんの有機物を島に持ち込
んだのだろう・・・と思いますよね。じつはその犯人は、人ではありま
せん。自然界にいる鳥たち・・・じつに1200羽以上にもなるという
ウミウとカワウ、さらに一部はヒメウからなるウの混成群のなせる現象
なのです。

そう、神島の貴重な自然の木々のなかで営巣し始めた海鳥たちのもたら
すフン、その多量のフンによる害が、現在進行形で神島の自然環境を壊
しつつあるというわけですね。

その環境破壊の状況ですが、まずはフンの汚れで 木々の葉や幹が白く
覆われ、光合成がおこなわれにくくなることから始まります。その後は
地表へのフンの集積による水分の浸透が不足気味となり、加えて土壌そ
のものの富栄養化や酸性化、さらにはや一部の成分の異常集積[塩素やナ
トリウムやカリなど]の影響による各種微量要素欠乏の発生による植物体
そのものの生育不良が進行していきます。

結果として、一部の木は季節はずれの落葉をおこし、一部の樹木はすで
に枯死。根を張ることによってその島の土壌を支えていた樹木がなくな
ることによって、島の斜面崩壊なども現実として起こってきているとい
うわけですね。

そこで対策です。

こういった神島の状況をみて、2011年現在、和歌山ではつぎのよう
な対策がおこなわれていますよ[なんといっても神島は、島そのものが
天然記念物なのですから]。 新聞記事でおってみます[注・2019年
現在残念ながらリンクは無効となっているようです]と

 ■ 神島にふん害 テグス糸の再設置検討(2010年1月28日)
 ↓
 ■ 神島にテグス糸張る 田辺、鳥のふん害防止に(2010年2月9日)
 ↓ 
 ■ ふん害にテグス効果 国指定天然記念物「神島」(2010年7月7日)
 ↓
 ■ ふん害防止で釣り糸張る 天然記念物の神島(2010年11月11日)
 ↓
 ■ 神島でまた斜面崩落 9月の台風影響か(2011年10月7日)
 ↓
 ■ 鳥類の飛来防止にテグス 天然記念物の神島保全(2011年10月29日)

といったぐあいになりますが、熊楠ファンとしては なんとかこういった
対策が功を奏することを願っている次第です。


晴れ このまま食料輸入を続け、その残渣を“​まずは土づくり”とばかり
  に、土中に投入しつづけていくものだとするば・・・日本列島も
  いずれは神島の二の舞に?

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg本当は危ない有機野菜」「夢で終らせない農業起業」​