屋上緑化管理族。甘木主任。
名古屋市と横浜市では、比較的大きな敷地(名古屋市は300
平方メートル、横浜市では500平方メートル以上)に、住宅
を建てる場合、一定の緑化を義務付ける『緑地地域制度』を導
入しています。今後都市部では、このようなヒートアイランド
現象を防ぐためのいろいろな法整備がすすめられていくことに
なるでしょう。
その一環がビ ルの緑化 です。今後は全国規模での屋上緑化と
壁面緑化が進められていくのです。そんな世の中の動きを受けて、
会社内に遠からず存在するようになるのが、窓際族ならぬ屋上緑
化管理族です〔と、わたくしは勝手にみております/笑〕。
そんな近未来の、屋上緑化管理族である甘木主任のおはなしで
すが、台風の北上が心配れているいま、よろしかったらご参考に。
↓
『屋上緑化管理族。甘木主任。』
「主任、例の張り出している枝どうしますか?」
「主任、降雨量も激しい台風のようです」
「主任、雨がつづけば、屋根の限界重量軽くオーバーしてしまいます」
「主任、いま庭園下から点検の結果、B区階下への水漏れです」
「主任・主任・主任・しゅにん・・・、ついに台風直撃の模様です」
・・・といった部下の声が聞こえた気がして、おもわず跳ね起きた甘木。
どうやらラジオで歌番組を聴きつつ、寝入ってしまっていたらしい。
いやな夢だった。
ただでさえ猛暑続き。きついといって嫌われがちな庭園管理の人員確
保で追われた夏をようやく越したと安堵したばかりだというのに。
疲れてるのかも、いや疲れて当然だよな
と、甘木は苦笑した。なにせ、ガーデニングや樹木の管理を体験したの
は、屋上緑化の主任に推された3年前に初めて体験したのだから。とり
あえず屋上にある管理事務所の窓を開け、窓の外のグリーンを眺める。
気持ちの安らぐ一瞬、ラジオのスイッチを入れなおした甘木の耳にはい
ったのは、
『台風◎号は明日未明にも関東地方に上陸のおそれ・・』
というラジオの声・・・正夢だった。
「手のあいているものをすぐに集めるよう」・・・甘木は通常は部屋に
一人しかいない部下に言い残して屋上緑化管理室(プレハブ)のドアを
閉めた。
ノコ、電動ノコを手にもち階上にある甘木の脳裏には前回の台風時に、
この屋上庭園に植えられてい樹木の枝の一部が地表に落下している
光景が鮮明によみがえっていた。
さいわいにも、ケガ人はださなかったが、こんどの台風は前回より
も大きいからな。
ややあせりつつ、しかし慎重に甘木は仕事にかかった。
モッコクをはじめ目星をつけておいた背の高い樹木の枝を切り捨てて
ゆく甘木。すっかり庭仕事が得意になった自分に苦笑する場面だ。
-----
建築物に緑化を施す場合、積載加重がきめられています。たとえば
基準値の1/2の重量しかかかっていない場合ついつい安心してし
まいがち。。
しかし、平均雨量の数倍の降雨があったり、降雪があったり、そして
台風の直撃があったとしたらどうでしょう。土は水分を含むと数倍の
重さになります。まして頼みの綱の排水溝に、たまたま泥や植物が
つまったとしたら・・。
さらに恐ろしいのは風。風は高層建築になるほどその危険度を倍増
させてゆきます。緑化に使用されている植物の背が高いものなら、
なおさらです。一番の危険は樹木の落下。台風の強風はおもわぬ方向
の風力を生み出します〔想像しにくいといわれる方は、屋上で竜巻が
まわっているところをイメージされたらいかがでしょう〕。
-----
モッコクの枝の切除に成功、さらにせり出した部分に生えている、伸び
すぎた松の枝にとりかかった、そのときだった。急を聞いて集まってく
れた急場しのぎの部下たちの声に応えようと、振り返った甘木が足をす
べらせたのは。
落ちていく甘木。
しまったぁぁぁぁぁぁぁぁ
甘木の声が高層ビルの谷間に響く。留めの安全金具を命綱につけて
いなかったという、主任らしからぬ初歩的な、痛恨のミスであった。
・・・そして翌日。
台風は 逸れた。
◎ 準備を万全にしたときに限って台風が逸れたり、反対に準備
がおろそかになっているときに限って台風が直撃したり。
世の中っていうのは、皮肉なこともおおいものですよね。
遅すぎる台風の速度を何度も何度も聞いきかされている
と、そんなふうな記憶ばかりがよみがえる気がします。
「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
名古屋市と横浜市では、比較的大きな敷地(名古屋市は300
平方メートル、横浜市では500平方メートル以上)に、住宅
を建てる場合、一定の緑化を義務付ける『緑地地域制度』を導
入しています。今後都市部では、このようなヒートアイランド
現象を防ぐためのいろいろな法整備がすすめられていくことに
なるでしょう。
その一環がビ ルの緑化 です。今後は全国規模での屋上緑化と
壁面緑化が進められていくのです。そんな世の中の動きを受けて、
会社内に遠からず存在するようになるのが、窓際族ならぬ屋上緑
化管理族です〔と、わたくしは勝手にみております/笑〕。
そんな近未来の、屋上緑化管理族である甘木主任のおはなしで
すが、台風の北上が心配れているいま、よろしかったらご参考に。
↓
『屋上緑化管理族。甘木主任。』
「主任、例の張り出している枝どうしますか?」
「主任、降雨量も激しい台風のようです」
「主任、雨がつづけば、屋根の限界重量軽くオーバーしてしまいます」
「主任、いま庭園下から点検の結果、B区階下への水漏れです」
「主任・主任・主任・しゅにん・・・、ついに台風直撃の模様です」
・・・といった部下の声が聞こえた気がして、おもわず跳ね起きた甘木。
どうやらラジオで歌番組を聴きつつ、寝入ってしまっていたらしい。
いやな夢だった。
ただでさえ猛暑続き。きついといって嫌われがちな庭園管理の人員確
保で追われた夏をようやく越したと安堵したばかりだというのに。
疲れてるのかも、いや疲れて当然だよな
と、甘木は苦笑した。なにせ、ガーデニングや樹木の管理を体験したの
は、屋上緑化の主任に推された3年前に初めて体験したのだから。とり
あえず屋上にある管理事務所の窓を開け、窓の外のグリーンを眺める。
気持ちの安らぐ一瞬、ラジオのスイッチを入れなおした甘木の耳にはい
ったのは、
『台風◎号は明日未明にも関東地方に上陸のおそれ・・』
というラジオの声・・・正夢だった。
「手のあいているものをすぐに集めるよう」・・・甘木は通常は部屋に
一人しかいない部下に言い残して屋上緑化管理室(プレハブ)のドアを
閉めた。
ノコ、電動ノコを手にもち階上にある甘木の脳裏には前回の台風時に、
この屋上庭園に植えられてい樹木の枝の一部が地表に落下している
光景が鮮明によみがえっていた。
さいわいにも、ケガ人はださなかったが、こんどの台風は前回より
も大きいからな。
ややあせりつつ、しかし慎重に甘木は仕事にかかった。
モッコクをはじめ目星をつけておいた背の高い樹木の枝を切り捨てて
ゆく甘木。すっかり庭仕事が得意になった自分に苦笑する場面だ。
-----
建築物に緑化を施す場合、積載加重がきめられています。たとえば
基準値の1/2の重量しかかかっていない場合ついつい安心してし
まいがち。。
しかし、平均雨量の数倍の降雨があったり、降雪があったり、そして
台風の直撃があったとしたらどうでしょう。土は水分を含むと数倍の
重さになります。まして頼みの綱の排水溝に、たまたま泥や植物が
つまったとしたら・・。
さらに恐ろしいのは風。風は高層建築になるほどその危険度を倍増
させてゆきます。緑化に使用されている植物の背が高いものなら、
なおさらです。一番の危険は樹木の落下。台風の強風はおもわぬ方向
の風力を生み出します〔想像しにくいといわれる方は、屋上で竜巻が
まわっているところをイメージされたらいかがでしょう〕。
-----
モッコクの枝の切除に成功、さらにせり出した部分に生えている、伸び
すぎた松の枝にとりかかった、そのときだった。急を聞いて集まってく
れた急場しのぎの部下たちの声に応えようと、振り返った甘木が足をす
べらせたのは。
落ちていく甘木。
しまったぁぁぁぁぁぁぁぁ
甘木の声が高層ビルの谷間に響く。留めの安全金具を命綱につけて
いなかったという、主任らしからぬ初歩的な、痛恨のミスであった。
・・・そして翌日。
台風は 逸れた。
◎ 準備を万全にしたときに限って台風が逸れたり、反対に準備
がおろそかになっているときに限って台風が直撃したり。
世の中っていうのは、皮肉なこともおおいものですよね。
遅すぎる台風の速度を何度も何度も聞いきかされている
と、そんなふうな記憶ばかりがよみがえる気がします。
「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」