グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

TPPに参加すれば農産物輸出が増える?

2012-10-17 17:57:34 | Weblog
TPPに参加すれば農産物輸出が増える?


2011年6月の当ブログの記事です。TPP関連の参考資料として
再掲載です。

 ↓

「輸出するつもりが、輸入量拡大になったり。」

優秀な日本産のコメであれば中国で飛ぶように売れるといったような、希
望的観測に満ち満ちた説があります。はたして、本当にそうなのでしょう
か。そんな農産物に関する輸出入についての話を、その高品質さゆえに、
昔から 海外に輸出されていることで有名な干し椎茸 を例にとって
おはなししてみます。

さて、干し椎茸です。

椎茸は、生のものよりも乾燥したほうが風味や香り・旨みが増すために、
日に干して、干し椎茸に加工されます。高品質の日本産の干し椎茸は、
本場ものとして人気があり、日本各地の干し椎茸業者が主として香港や
台湾に、昔から輸出をしている
ことで知られています。
なんといっても『道元が南宋に渡った際に現地の僧から干し椎茸を持って
いないかと何度も問われた』という逸話がある
ほどのものであったといい
ますから、いかに当時から日本産の干し椎茸の価値が高かったのががわ
かる話ではありませんか。

そんな干し椎茸の本場である日本に、外国産の椎茸が輸入されることなど
可能なのだろうか・・・と、前述の逸話を読まれた方は思われるかもしれ
ません。

が、現実は厳しいものです。

全国でも有数の干し椎茸の名産地である宮崎県の干しシイタケの生産量
1984年と2008年の数字を使ってご紹介しますと・・・

1984年度 2237トン

2008年度  646トン


と、いう具合に、四半世紀の間に生産量が 1/3 になってしまいました。
名産地の宮崎県でさえこれです。ちなみに全国の生産量でみれば

1984年度 16000トン

2008年度  3867トン


と、こちらは 1/4 になっています。

この生産量の減少の原因がじつは、それは 安価な中国産シイタケが大量
に日本市場に流入した
ことによるのです・・・・。

そして、コメです。
干しシイタケとちがって、本当に喧伝されているように“優秀であるから外国産
に勝てる
”のでしょうか。

わたくしは、この説をはなはだ疑問に感じます。

関税が自由化された場合、コメもまたシイタケと同じ道をたどるのではない
のか、と、思ってしまうからです。お伝えした 農産物の輸出入の現状
〔 こちら 〕から考えても、まあそう考えるのが、妥当でしょう。

たしかに

 高品質の日本のコメは外国に輸出される。

しかし、同時に

 低価格の外国産米も、同時に日本の国内市場に大量に輸入される。

結果として、日本産のコメの生産量は、

 コメの名産地で 1/3、日本全体では1/4以下

となる。それが、輸出のために関税を撤廃した場合の真実となるの
ではないでしょうか。

日本は山国であり耕地がせますぎること。水資源にも陰りがみえてきてい
ること。農業と農村は、土地利用型農業農業ばかりでなりたっているわけ
ではない
ことから考えると、そう思えてならないのです。


◎ そもそもTPPを農業だけの問題としてとらえることからして、
  常識がある社会人とはいえないんじゃないかとおもっちゃったり。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染