グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

これからのバケツ稲管理で重要なのは。

2023-08-21 17:06:27 | Weblog
これからのバケツ稲管理で重要なのは。
前回[こちら]のつづきです。次回の話の都合でひきつづき2014年
前後の写真を使用しております。ご了承くださいませ。


初夏から秋にかけての、穴森さまお参り時の楽しみのひとつになっ
ているのが、境内におかれているバケツ稲です。

そんなバケツ稲の、こちらが7月末の様子。


 2013年7月末 穴森さまイネ.jpg


そして、こちらが 9月はじめの様子となります。


 穴守さま9月6日イネ.jpg


穂が出揃って モミの充実がすすんでくる、イネの生育ステージで
いえば登熟期という時期にはいったところです。
本年は気温が高温でしたこともあり、平年よりも4~5日ほど生育
が進んでいるような気がします。


のののののののののののの 穴守さま登熟期.jpg


ちなみにかけられているのは、スズメ除けの網。

スズメをはじめとして、鳥獣には

 ​一度味を占めたらどう対策してもずっと同じ水田にやってくる​

といった性質があるようにおもえますので、“早めの網掛け”はイネ
を上手に栽培するうえでの大切なポイントのひとつとなります。

それにつけても 実りの秋。

日増しに垂れ来る稲穂というのは、高くなった空によく似合います
よねー。


晴れ 穂がではじめたころの軟らかい未成熟のイネのモミ。
  スズメたちは、その青いモミのなかにある“甘い汁”が、
  大好き
なんです。甘い汁を吸うという言葉は、 ここ
  からでてきた?のかもなという話を、このスズメたち
  をみるたびにおもいます。

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のの

庭先でのイネづくりを楽しむ。

2023-08-18 10:30:03 | Weblog
庭先でのイネづくりを楽しむ。
はなしの都合で文中の写真はコロナ前のものを使用しました。新
しい本年8月分の写真は次回に掲載となります。


夏場に高温多湿になる日本。東南アジアが原産である「米」とい
う植物にとっては、最適の栽培条件が整います。

つくりやすいんです。

6月に種をまいたとすると・・8月から9月にかけてはだいたい
↓ こんな感じに育ちますよ。


ほら、きれいでしょう。 みごとなバケツイネ.jpg

プランターというかバケツというか、これくらいの大きさの容器
でも、それでも充分に育つのですから頼もしい。

植えたイネの生育にあわせて

 種もみ選び → 種まき → 田植え → 雑草と害虫防除
 → 中干し → 稲刈り → 脱穀 → 籾すり → 精米

という具合に、まるで農家さんのように『栽培』を体感できるの
も魅力的なことです。場合によっては、収穫したおコメを、さら
に餅などに加工もできますし〔いわゆるミニミニ版六次産業化も
可能/笑〕。ほんとにあきない植物なんです。

またイネという植物は、体作りと実作りの時期が、はっきりとし
ているので

 分けつ期 → 出穂 → 開花 → 受粉 → 実の充実 

といった植物全体に共通する仕組みである、身体づくりの栄養成
長期と、そのあとの実づくりの時期である生殖成長期を理解する
ための良い教材となることも大いなるメリットですね。

・・・そして上記の写真ですが、じつはこちらは、東京の羽田の
とある場所で毎年植えられているイネなんですよ。

その場所とは




そう、羽田の 実はこんな場所で.jpg 

穴森稲荷さまです。夏から秋にかけてのお参りときに、このイネ
の生育をみるのが、夏の楽しみのひとつになっております。

ということで今回はイネのバケツ栽培についてのおはなしでした。
つづく・・。


晴れ 夏場の観葉植物としても じつにきれい。とくに出穂前
  のライムグリーンになったときの稲色はとっても爽やか!


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イネの守護神。

2023-08-16 11:01:12 | Weblog
イネの守護神。
イネとイネつくりに関係した神さま、それがお稲荷さまです。

 稲成りに、稲生り(いねなり)で、稲が成育すること、
 また 稲つくりを担(にな)うこと、すなわち 稲荷 。


そうした理由から、古来より人々は伏見稲荷に参詣し、稲荷山の土
を持ちかえります。稲荷山の土を戴いて、それを自分の田畑に撒け
ば五穀がよく稔り、害虫がつかないという素朴な信仰のかたちです。
西日本の代表的なお稲荷さまである伏見神社さまなどの歴史におい
ては

 前つがたは諸国の農民山州伏見稲荷山の土を求田毎に入れば
 保食神の加護にてよく実のるとて皆人ごとに土をもとむ。

といった表現にて、大阪の随筆家であった田宮仲宣・文永壬午年〔
1822〕刊の随筆集に書き留められてもいるようです。のちのち
このような土俗的ともいえる風習が、現在の各地神社でも見受けら
れる「清め砂」や「御神砂」となっていったのかもしれませんね。

そのような日本民俗信仰における稲作の神、お稲荷さま。

仕事がら自分は、個人的に羽田の穴守稲荷神社にお参りさせていた
だいておりますが[以前掲載した不思議な砂の話 の回でご紹介した
「御神砂」は、じつはこの穴守神社さまからいただいたもの。
そんな穴守さまの紋どころには、はっきりとイネの姿が描かれてお
ります。

ののののの 穴守さま 紋章


そして、稲荷神社といったらキツネのお話です。

狐が稲荷神そのものであると誤解されている方もいるかもしれませ
ん。たしかにどこの稲荷社の境内にもおキツネさまばかり/笑。しか
しキツネはあくまでお使い〔中世以前にはキツネの姿はみられなか
ったといいますよ
〕。

穴守神社のご祭神は、紀記などで食物の祖神・農耕の神とされる保
食神、豊受姫命/とようけひめのみこと。 女性神であらせられます。

ということで今回は、 イネとイネつくりに関係した神さまである
お稲荷さまのおはなしでした。つづく。

 
晴れ キツネといえば、前述の稲荷山の土に関して書き留められて
  いる田宮仲宣の別の随筆集に乗っているキツネ憑きについて
  の話もありまして・・・「以前ある人の子にキツネが憑いた。
  この狐、たいしたもので諸氏百家を暗記しており誰もこの憑
  いた狐との問答に勝てなかった。しかしとある人がある質問
  をしたら、あっさりと観念して離れたのだそうです。さあ、
  ここで問題ですが、諸氏百家を暗記していたというその博学
  な狐がわからなかった質問
 です。キツネに憑かれた子を救
  う役目となったとしたら、あなたならなんと問われますでし
  ょうか? 
  で、その随筆に記録されているキツネに問うたその問題とい
  うのが・・・・論語の中で「子曰く」とは何回出てくるかと
  問うと狐は観念してあっさり離れた。
と、いうことでござい
  います笑。

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「水中を自在に泳ぐモグラ」を見た。

2023-08-14 10:44:51 | Weblog
「水中を自在に泳ぐモグラ」を見た。
お盆休みの暑気払いということで2010年分ですが、よろしかったら。


いまから5年以上も前の2005年のこと。

夏は海よりも渓流[かわ]ということで、暑気払いに膝下ほどの清流で
シュノーケリングしていたときのことです。マスクの右手のほうから、
ヒトのこぶしほどの 長い尻尾がついた茶色いタワシ状の物体が流れに
逆らって流れてきたかと思うといきなりすごいスピードで潜水しそのま
ま岸辺の岩陰のほうに泳いでいきました。

 なに?いまのはなんだ?

と、岩陰の先までいってみると、その先には川岸。ということは、あの
尻尾のついたタワシは、いきついた岸から陸に上がって歩いていったこ
とになります。

 姿はモグラみたいだけれど、尻尾があるのをみるとネズミ?

そんな動物なんているはずもない、何かの拍子に水に落ちた野ネズミ
の死に物狂いの泳法をみせられたのかもしれないな・・と勝手に解釈
していたところ、後日そんな生物が実際に存在していることを新聞で
見て知ったのです。

それが ↓ 左下のこの小さい動物である 

長田小学校.jpg

ここ↑ ここ、ニホンカワネズミです。

そう、ニホンカワネズミとは「モグラでもなく もちろんネズミでも
ないのだが、ネズミのような尻尾と水かきのついた足を持ち、清流を
自在に泳ぎ回りながら水中や水辺で魚類・カエル・水生昆虫等の小動
物を捕食し河畔の土中や石の下に営巣するというモグラの仲間である
動物」だったのです。

この清流にしか棲まないというカワネズミ、地方によっては「水中モ
グラ」ともよばれていることを、その5年ほど前の新聞記事[宮崎県
三股町・長田小学校のやまめクラブの活動とともに]は伝えていまし
たよ[こちら]。

いやー、しかしです。
世の中って、ほんとに広いものですね。

まさか水中を泳ぐモグラというか、水中でも生活できるネズミという
か、そんな生き物がほんとに日本にいるなんて。いまではテレビで取
り上げられたり、施設で飼われてるようにもなって[ユーチューブは
こちら]結構有名になりましたが、あれがそれだと知ったときには当
時はほんとにびっくりしたものでした。

ということで今回は[マスコミに登場するのは むしろカッパよりも
少ない]ニホンカワネズミという生き物のご紹介でした。


晴れ 予備知識がないまま、たとえばカピバラやシャンハイハナスッ
  ポンに遭遇したとしたら・・・きっと “ネズミ”や“スッポン”
  の化け物[イコール妖怪]だと思い込んでしまうのも無理ない
  ことだとおもいますよ。うん。

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食料自給率にも多様性があっていい。

2023-08-10 15:00:00 | Weblog
食料自給率にも多様性があっていい。
発表された食料自給率についての2011年8月分の回となります。
過去分ですが、ご参考までによろしかったら。


農作物には、土地利用型作物と労働集約型作物があり、その作物を
使った土地利用型作物農業と労働集約型農業があることを、前回
説明しました。

そこで最近なにかと話題となることが多い日本の食料自給率です。

カロリーで表したり、生産額で表したり、さらに重量で表した自給
率もありますが・・・結論から言えば、いろいろな自給率があって
もいいと私は思います。

その理由は以下のようになります。

たとえば労働集約型作物をつかった労働集約型農業を奨励するとし
たら少ない面積でも生産額はあがるわけですから、当然生産額で計
算する食料自給率は跳ね上がります。平成21年は70パーセント
ということですので、今後の奨励政策いかんによっては、8割近く
になることもあっていいことになります。 

 国内で労働集約型農業を奨励+土地利用型作物は輸入増やむなし

という農業のやり方になりますね 〔反対に土地利用型作物を使っ
た土地利用型作物を奨励していったとすれば、土地利用型作物作物
の価格は、労働集約型作物よりも格段に安いのが現実なのですから、
生産額で計算する食料自給率は減少していくことになります〕。

さて、そこでです。

ここで 人の食べるものの種類の問題というものが、でてきます。
労働集約型作物の代表とされることの多いネギやイチゴなどを食べ
ることだけで、土地利用型作物の代表であるコメやムギ、大豆をた
べなくてもやっていけるのだろうかという基本的なヒトの食に関す
る問題です。

世界的に食料が潤沢であった時代がこれからもつづいていくのであ
れば、労働集約型作物をつかった労働集約型農業を奨励することで、
生産額で計算する食料自給率を上げていくのも良いでしょう。

しかし考えておかねばならないのは、とくにコメやムギそして大豆
の供給不安が おこったときにどうなるのかという問題なのです。
実際のところ、身近なパンや豆腐の値段がじわじわと値上がりして
いることからもわかるように、数年前よりも格段にコメやムギ、そ
して大豆の価格は上昇しているという現実があります。
そのような可能性が高い時代に〔一般の方には目新しいために注目
されがちな〕生産額でみた自給率ばかりを最重要視するというのも
いかがなものかと思うのです。

そして、ここまで説明し終えたところで、最初にお伝えした

 いろいろな面から算出したものがあっても良い

とした食料自給率の表し方についてです。

話題になっている生産額で表すという自給率もあるべきだし、従来
からのカロリーベースの自給率も大事なものだと思うのです。さら
にいえば重量で表した自給率なども、けして不必要なものではない。
大事な国民の食料に関する安全保障の基になる数字なのですから、
どれが正しくてどれがまちがっている・・・などという議論に終始
せず、いろいろな角度から慎重に検討するという意味で、いろいろ
な自給率を検討する道具としてつかっていけばよいのです。『食料
自給率の表し方には多様性があってしかるべき』だと考えていきた
い。それは日本の農業の方向性を見定める指針になり得ますから。

ちなみに農水省の食料自給率に関するページですが・・・カロリー
ベースの自給率の話しばかりではなく、生産額でみた自給率に関し
てももちろんきちんと明示してあることをお知せして、今回の話し
はおしまいです。  今回の話に興味を持たれた方、そのページは 
こちらとなりますよ 。


晴れ むしろ問題は・・・〔自給率の表し方よりも〕農業には
  土地利用型作物型農業と労働集約型農業があるという現実を
  理解していないフリをして話をしている論者や政府のお偉い
  さんがいることなのだと思うのですよね。はい。

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のの