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この本が1989年に発行された時に、シリーズの既刊本は
ボウシの威力 石田芳夫
ツケツケ百科 安倍吉輝
一間トビの効用 石倉昇
三々の周辺 趙治勳
スベリ専科 石井邦生
消しと利かし 山城宏
目ハズシ定石 坂田栄男
となっている(表紙の裏に印刷されています)
このように割合細かなタイトルになっているのは、そこに説明されています。
「数ある棋書の中には、詰め込み主義・・・総花的になっている。・・・戦術的・実戦的なテクニック面に焦点を当てた・・・」
なるほどデス。
しかし石田芳夫先生がヨセではなくて、”ボウシ”と言うのも面白いですね。
1989年は今から18年ぐらい前で、その当時この本のタイトルとか「烏鷺うろ・・・」シリーズは知っていたはずですが、前にあげた既刊本も読んでいません。
何か初級者向けみたいな偏見を持っていたのかな?その辺は定かではありませんが、棋力とは関係なく日頃あまりにも当たり前な手法を無自覚に使っていることへの反省を込めて振り返るにも好い本だと思いました。
忘れていたこと、実は知らなかったことなどと逢えるかも知れません。
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”気が利かない””重い””遅い”などの印象と結びついているような気がします。
だから実戦でコスミを打つには、ある意味で勇気が要りますね。
遅くは無いか?、重くは無いか?、こんなヘボイ手を打っていると相手に笑われないか?などなど自信が無いのに見栄は張ります。
もう20年近い前のことですが、当時行きつけの碁会所での対局で、辺の石を中央に出たいけれど、相手の勢力が強いところなので、一間トビだと覗かれて重くされるし割り込みも狙われそう、ケイマでは即ターゲットか?と言う場面で、かなり考えてコスミしかないという結論だった。
だけど、コスミはどうもかっこ悪い・・・しかし他には思いつかないと言うことで「ヘボコスミ」と自嘲気味に言いながら打ちました。
(この話は以前にもしたことがありますね)
まあ、言い訳をしながら何かをするみたいに・・・(言っても言わなくても結果は同じなのに、”自分でも知っている”と言い訳をしています)
ところが私の後ろで牛力力(ニュウ・リーリー中国囲碁協会五段)先生が見ていて
「コスミは悪い手ではありません。第一絶対に切られません」と言われた。
なるほど、「コスミ」の持つ良い面を強調するか、マイナス面を強調するか、お国柄も有るのかなと妙に感心した記憶があります。
そのせいか?コスミには”無い手”に近い場合と「この一手」みたいな場合の、効用・フィットなど極端に分かれそうです。
本の内容に戻って・・・”秀策のコスミ”「この後、何百年たとうとも、このコスミが悪手となることはない」と言うアレです。
何故そこまで自信を持って言われたのかの説明から始まります。
私としてはこの本は良い本だと思います。
影山先生の隠れファンでもありますしね。
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