山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

暗い窓から太陽をさがす

2004-11-01 03:01:35 | 文化・芸術
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山頭火のモノローグ

―― へんてこな一夜だった、酔うて別れた妻のサキノを訪ねた、
―― そして、とうとう花園、じゃない、野菜畑の堰を越えてしまった。
今まで越えないですんだのに、しかし早晩、越える堰、越えずにはいられない堰だったが、―― 
それにしても、女はやっぱり弱かった。――
それから、しばらくは彼女の家に転がり込んでいた。――
家業の酒造りの破産で、故郷の防府を追われるように捨て、
この熊本へ流れきて、二人ではじめた額縁屋の店を、
サキノは細々と守りつづけていた。――
だが、その暮らしも束の間だった。
またしてもわしは、酒ゆえの失態を繰り返し、
この熊本にさえ留まることが出来なくなったのだ。――