山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

その者自然とし出す事に得たる風体あるべし

2004-11-23 00:55:28 | 文化・芸術
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風姿花伝にまねぶ -<3>

 -七歳-

此の芸において、大方、七歳をもて、初とす。
此比の能の稽古、必ず、その者自然とし出す事に、得たる風体あるべし。
舞、働きの間、音曲、若くは怒れる事などにてもあれ、
風度し出ださんかかりを、うち任せて、心のままにせさすべし。
さのみに、善き、悪しきとは、教ふべからず。 -略-

稽古始めが数えの七歳、現在の就学年齢に相当する。
芸事にもよろうが、物心つく年頃を始めとするのは妥当だろう。
三つ子の魂、百まで。という諺もあり、
此の頃は、とかく早期教育にはしる傾向が強いが、
必ずしも良い結果を招くとも限らない。
物心がついてくる頃に相前後して始めるくらいが、何事によらず良いだろう。
「その者自然とし出す事に得たる風体あるべし」
その子どもが自然にふるまうなかに、自ずと天性に備わっている風体がある。
子どもの本来もっている資質を大切にしよう、よい風体を引き出し、引き立ててゆこうとする姿勢が大切。
「風度(ふと)し出ださんかかりを、うち任せて、心のままにせさすべし」
あくまで無理強いはしない、子どものあるがままに即して、やる気を起させ、引き出していく。
「さのみに、善き、悪しきとは教ふべからず」
あまりこまかく良し悪しを追求しない、させないことが肝要。
のびのびとおおらかに、
眼に見えぬ細心の優しさをもって見守ること-厳しさに通じる


―参照:馬場あき子著「古典にまなぶ-風姿花伝」岩波現代文庫