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不登校児は不良品、と
福井県の副知事が発言したことが
物議をかもしている。
事の仔細はこうだ。(朝日新聞記事引用)
「不登校の子ども、不良品」PTA大会で福井県副知事
福井市内で10月に開かれたPTAの研究大会で、福井県の山本雅俊副知事が不登校の児童、生徒について「不良品」と表現していたことがわかった。県高校教職員組合は1日、「生徒や保護者、教職員の思いを踏みにじる問題発言」として、西川一誠知事に抗議文を出した。
山本副知事は10月15日、日本PTA全国協議会などが主催して開かれた東海北陸ブロックPTA研究大会で、開会式の来賓として登壇。児童、生徒を工業製品にたとえながら「東海北陸6県の生徒数は120万人で、そのうちの(不登校の)1万4000人は不良品」と述べたという。
大会には東海・北陸6県から約2000人が参加。大会関係者から指摘を受け、山本副知事はその後、会場で「不適切な発言だった」と釈明した。
メールで抗議を受けた西川知事は「企業活動に携わってきた経験からの発言だったようだが、説明が至らず真意をお伝えできなかったものと思う」と返答している。
山本副知事は米大手化学メーカー、デュポン日本法人の元社長。西川知事に請われ、03年8月に副知事に就任した。 (11/02 01:19)
副知事という権威ある公職にあろう者が、
しかもよりによって全国PTA組織の東海北陸ブロックの研究大会という公の席上での、
このとんでもない発言に大いに驚いたが、
記事最後の件、副知事が民間企業の社長経歴者だったということで、
成る程然もありなむかと合点がいく。
どうやら問題の根は、元気宣言を標榜する福井県の行政姿勢と深く繋がっているのではないかと推測される。
というのも、県では近頃、この山本氏の副知事招請に限らず、
民間企業出身の転職組や退職組の登用にいたく熱心のようなのだ。
民間の知恵とキャリアを地域の行政改革や経済発展の強力な武器にしようという訳なのだろうが、
この話、どこやらの宰相とも似ていなくはないか。
偶々、高校時代の同期生が、今年の春、定年退職して、
県が公募した第三セクターの要職に就いたという話も身近なところであったからか、
(彼は退職時、松下系列子会社の社長だった。)
この副知事発言は強く私を捉えた。
民間キャリアの公への登用といった傾向は、公立高校の校長を民間から公募採用するのに始まって、いまや全国的にいろんな形で推進されているだろう。
民と公が交流し、協調し、知恵を出し合い、地域の活性化を図ってゆくことになんの異論があろう。
いつまでもお役人然と無風地帯で胡座をかいてないで、風雪に耐え抜いてきた民の知恵や活力に自ら洗われるべきは、不可欠とも云えるだろう。
だが、見落としてはならないのは、
民を支配する市場原理はどこまでも<力の論理>だということだ。
その力の論理が、公の、しかも子どもの教育という場面で、
その教育理念、根本姿勢に抵触するような発言を、副知事たる者が不用意にも産み落とした。
これは単なる勇み足程度の発言問題では、おそらくない。
問題の根っこはもっともっと深い。