いわさきちひろ展

 子供を描くのは難しい。少なくとも、私にとってはそうである。息子が眠っているときとか、ミニカー遊びに没頭しているときなんかに、ちょっとスケッチしてみようと思っても、どうもうまくいかない。子供特有の可愛らしさが、ちっとも表せないのである。
 だから、素人の私が言うのもおかしいけれど、いわさきちひろはすごいと思う。ちひろの絵は、子供たちの可愛さそのものだ。その「いわさきちひろ展~未来につなぐ、やさしさのきずな」を、ジェイアール京都伊勢丹の美術館「えき」に見に行ってきた。赤いカーネーションの花を手に、お母さんに抱きつく子供、雪の中を走る女の子、遊具で遊ぶ子供たち。鋭い観察眼の持ち主だと思う。淡い色彩とやさしい線が、子供たちの動きや表情を、的確にとらえている。惹かれたのは、赤ちゃんのシリーズで、ぷくぷくした手を重ね合わせていたり、寝転んで足を上げていたり、私の息子もちょっと前までこんな風だったと思い出す。
 デッサンの作品も興味深かった。ちひろのやわらかな水彩画からは想像できないような、くっきりとしたインクの線で描かれたアトリエの自画像など、ちひろが自分の絵を模索する過程を見るようであった。
 たくさんの絵本を手がけている絵本作家でもある。子供の頃に読んだ、メーテルリンクの「青い鳥」の絵本。その原画も展示されていて、青い鳥の幻想的な絵が、ちひろによるものだったことを知った。
 全部見終わって、心が癒され、軽くなった。
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