怒れる青虫

 息子を連れて公園へ行く途中の交差点で、歩道の上を横切っている大きな青虫を見つけた。長さが五センチくらいあって、尻尾に黒い角がついているやつで、それがその種類の正常な歩き方なのかもしれないけれど、何となく前につんのめるような、びっこを引いているような歩き方に見えた。とにかくすごくのろいから、青虫が目指していると思われる数メートル先の植え込みまで到達するまでにはかなりの時間がかかりそうで、現に息子も踏みかけたことだし、自転車なんかにあっというまに轢かれてしまう危険性が大いにある。
 そこでまたおせっかいにも移動を手伝ってやろうと思って、植え込みから一本長い草を引っこ抜いて、その上に乗せようとしたのだけれど、これがなかなか乗ってくれない。横で息子は、「(手で)持って」とか勝手なことを言うのだけれど(じゃあ、自分で持てと息子に言ったら、いやだと言った)、さすがに素手で持つのは抵抗があるし、相変わらず草の上に乗せようと頑張っていたら、そのうち青虫が怒り出した。
 体の前半分をすごい勢いで、体が二つ折りになるまで右、左、とぶんぶん振り回す。人間でそんなことをやったらものすごい体力がいるだろうけど、青虫は大丈夫なのかなと思う。だけど、あんまりその「イヤダイヤダ」を繰り返すものだから、もう草の上に乗せるのは不可能になって、仕方なく、葉っぱで転がして、近い方の植え込みの中に放り込んだ。
 青虫が目指していたのと反対方向だったかもしれないけれど、道は危ないから、ありがた迷惑といわずに、そのあたりで満足しておいて欲しい。


※なお、この青虫は、スズメガの幼虫らしい。幼虫図鑑というサイトがあって、縮小画像で調べられるので、とてもわかりやすいからよく使うけれど、結構すごい画像も乗ってるから、いもむし・毛虫系が苦手な人は、見ないほうが無難だと思う。
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