猫の風呂遊び

 暖かいあいだは、入浴はシャワーで済ませていたけれど、だいぶ秋も深まって寒くなってきたから、しばらく前からはお風呂にお湯をためている。
 前にも一度書いたけれど、みゆちゃんはお風呂に入るのが好きだ。もちろん、湯船に入るわけではなくて、浴室に入って来るだけだけれど、人がお風呂に入っていると、浴室のドアの向こうで黙ってうずくまっているのが、すりガラス越しに白い塊になって見える。そうなると、入れてあげないわけにも行かず、ドアを少し開けてやると、その隙間からそっと入ってきて、まずは、浴槽の縁に前足を慎重にのせて、人間が入っている湯船とはいかなるものぞと、くんくんしたりのぞいたりしている。
 手桶に浅くお湯を入れてやると、ちょっと飲んでから、首をかしげて水面をじっと見つめている。いったい何を観察しているのかと思ったら、にゅうと前足を出してお湯の中に差し入れ、手桶の底をつんつんつついている。たぶん、お風呂マットの模様かなにかが、手桶の半透明のプラスチックに透けて見えるのが気になるのだろうと思う。手をすっぽりお湯の中につけてしまうものだから、肉球のあいだにまでお湯がしみて、手桶から出した手を大きくパーに開いて一生懸命舐めている。なのに、また浸ける。また舐める。
 面白いから見ていたけれどきりがなくて、こちらもいい加減のぼせてきたから、マットにお湯をざあと流したら、みゆちゃんは足についた水滴を飛ばしながら、浴室の外に出て行った。
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