パズルの誘惑

 息子がいま凝っているのがパズルで、20ピースとか30ピースくらいの幼児用のパズルを、ときどき猫に邪魔されながら、毎日組み立てて遊んでいる。
 母の話によると、私も同じくらいの頃にはやっぱりそういうパズルをしていたらしいけれど、もちろん、その頃の記憶はない。
 よく覚えているのは、小学生の頃に数日かかって組み立てた500ピースのパズルで、500ピースというのはそのときの自分にとってチャレンジングな数字だったから、それなりの気負いがあった。潔癖なところのある子供で、自分でやり遂げるといったら、1ピースさえ他の人の手でなされるのが嫌であった。そのくせ、内弁慶で家の者には絶対に手を出してくれるなと言っていたけれど、本来あまり気は強くないから、家に遊びに来た友達が、興味本位で一つ二つのピースを仕上げていくのを制止することは出来ないのである。彼女らが帰ってしまってから、友達が組み立てたあたり周辺をもう一度壊してばらばらにして、他のピースと混ぜてから、組み立てなおした。
 絵柄はその頃好きだった、ディズニー映画「わんわん物語」の一場面で、絵本で何度も見た絵だけれど、拡大されたパズルで見ると、夜の街路を照らす街灯の黄色い光は、絵の具を散らしたような細かい点々で表されていたりするのが新鮮であった。
 余談であるが、日本では、完成したジグソーパズルを額などに入れて飾る人が多いらしいけれど、ジグソーパズル発祥の地といわれるイギリスをはじめ欧米では、繰り返し組み立てて遊ぶのが一般的であるらしい。どちらかというと私は欧米派で、一度組み立ててしまったパズルで再び遊ぶことはなかったけれど、のりを塗ってピースを固めて遊べなくしてしまうというのは、なんとも解せないような気がした。
 パズル売り場で子供用のパズルを選んでいるときなど、ふと、隣に陳列された難解なパズルに挑戦してみたいような誘惑に駆られることがあるけれど、やりはじめたら、おそらくいろんなことがそっちのけになってしまうだろうから、手を出さないようにしている。


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